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PK職っていいものですよ?  作者: aaa168(スリーエー)
『ラロック・アイス』編
39/46

昇進・ミッション③

連続更新です!次は日曜かな……



開いてませんでした。


はああああ……


マジ勘弁。



「……ふう」



一度、息をつく。


こういう時こそ、冷静になるんだ。


考えろ、この窓が開く可能性を。



――――『……あら、気のせいかしら……』――――



思い出す、先程の出来事。


――あるじゃないか。一つの『鍵』が。


あのメイドさんこそ、窓を開く鍵。




「やるしかないか」




メイドさんを気絶させよう!




――――――――――



そういうわけで、俺は窓の上当たりに待機状態。


さっきメイドさんが出てきたんだし、メイドさんが出てくるでしょ。


か弱い女性なら、俺程度の攻撃でも不意打ちなら気絶させることは出来るだろう。プレイヤーじゃないからな、メイドさんは。



コンコン、と本の軽くナイフの柄で窓を叩く。


静かに、誘うように。




「……っ」



息を潜める。


何故なら、こちらへ向かう音が聞こえてきたから。


あと1m、程なく窓を開けるはず。



――鍵を開ける手が見えた。


無防備な窓から、メイドが続いて現れる。


ほんの一瞬だけ、目が合った。



「――!うっ……」


上から、メイドの首元を手刀で触れるように仕掛ける。


恐怖を感じる間も与えず、一瞬で気絶させた。


半裸の男がずっと家に張り付いてたら怖いだろうし。理解するのは起き上がった後だろう。




「っと」



窓枠に乗り、意識が切れたメイドさんを抱える。


倒れて音でも出たらダメだからな。


そのまま、スルスルっと部屋の中へ。



っと、入る前に靴を脱ぐ事を忘れずに。


こんな粘着テープ張ってるような靴のままだと音も出るし動きづらいからな。



「……ふう」



第二関門通過成功。


部屋は図で見たように小さな部屋で、落ち着いた雰囲気の本棚と机、大量の書きかけの紙。


この屋敷の主人の部屋だろうか。


そして、分かりやすい場所に大事そうな木箱がある。


逆にいえばそれしかない、何か他に盗めるものがあったら盗ったんだけどな……まあクエストだし?


んで……またその箱には鍵が掛かっているようだ。



さて。



次は最終関門、目的の品の入手及びこの屋敷からの脱出だ。



早速開錠……と行きたい所だが、一旦落ち着こう。




□□□□□□□□□□□□□


≪スキル説明:ピッキング≫


悪の職業専用スキル。


発動し成功した場合、あらゆる鍵を開錠する事が出来る。


失敗した場合は、周囲のNPC、プレイヤーに気付かれてしまう。


レベルが上がると、成功確率と開ける事の出来る鍵が増えていく。


□□□□□□□□□□□□□



『失敗した場合は、周囲のNPC、プレイヤーに気付かれてしまう』



つまりこの付近に他の誰かが居たらヤバい。


と、言う訳で聞き耳ね。



「……いるな」



静寂なこの屋敷だからこそ、音は分かりやすい。


一階にあと二人。二階は……いないようだ。


これは好機。さっさとやってしまうか。



《ピッキング成功確率は50%です。ピッキングを行いますか?》



俺が鍵に手をかざすと、そうインフォさんが言う。


5割、5割ね……はい、と。



《ピッキングに成功しました!》


閉じていた鍵が開き、中の品が見える。


よっし。嫌な予感が頭を過ったが何とかなった。



〈屋敷の主人の宝(クエスト品)〉



出てきたのは、綺麗な紫色の宝石のようなもの。


頂戴させて頂こう。



《屋敷の主人の宝(クエスト品)を取得しました!》



さて、さっさと帰りますか!




―――――――――――――




「grrrrr……」



何の危険もなく地に降りれば、後の危険はあの番犬だけ。



バレないように匍匐前進は欠かさない。


最後だからこそ慎重にね。



……ん?


あいつ、何か臭いを嗅いでいるような……



近付いてきてない?



「……」



気のせいじゃないわこれ。確実にこっち来てる。


このクエスト品のせいか?ったく最後の最後まで……


しかし数々の修羅場を超えた俺なら、もう焦ることもないだろう。


……仕方ない、少し勿体ないが……




「grrrr……」



近付いてくる番犬は、臭いを嗅ぐのを必死で周りを見れていない。


今がチャンス。俺は鞄からカスの残った塗布毒の瓶を取り出す。


それを――俺とは真逆の方向へと投擲した。




「grrrrrrr!!」




パリン、と瓶が割れた音に反応し走っていく番犬。


あれはかなり臭いが強いだろうからな。


匍匐前進から切り替え、俺は走る態勢に。



「疾走!」



疾走スキルを発動し、俺は最初の道まで全力疾走する。



おつかれさまでした!





―――――――――――――



《クエストを達成しました。闇ギルドに移動します》



俺が最初の位置に戻れば、そうインフォさんが言ってくれた。


いつ言われるかドキドキしちゃったよ。


俺の身体は、瞬く間に消えていく。


―――――――――――――――



「……帰ってきたか」



やはりというか、戻ってきた場所は闇ギルドだった。


この暗さと静かさは逆に安心する。



そして、俺の目の前まで歩いてくる最初の強キャラローブ。



「クリアお疲れ様。見事だった。特に非殺で依頼を達成したのは素晴らしかったぞ」



労いの言葉と、それに一言。


ゲーム的に言えば、各々のプレイヤーでクエスト中優れていた点を言ってくれるのだろう。


何で知ってんの?とかいう野暮なツッコミはしないようにしよう!



「ありがとう、んで当然報酬はあるんだよな?」



分かりきっているが聞いてみる。



「……このクエストで、お前の実力は確かに確認出来た。報酬は3つある」



おお、三つ?



「一つは30000azlだ、存分に利用すると良い」


金か、まあ嬉しいよね。


「二つはお前に見合った衣装の進呈だ。お前の依頼中の行動に見合わせて用意した」


おお、何だろ。これは全くどんなものかわからん。楽しみ。


「三つ。それは――お前の昇進だ。これよりお前は見習い盗賊から盗賊へと昇進出来る」



少し勿体ぶった後、俺にそう言う。


分かってたけどね。


いやあ、長かった……



《おめでとうございます!依頼『昇進・ミッション』を達成しました!》


《おめでとうございます!貴方は『見習い盗賊』から『盗賊』へとジョブチェンジしました!》


《盗術スキルを取得しました!》


《奪取スキルを取得しました!》


《偽装スキルを取得しました!》


《潜伏スキルのレベルが上がりました!》


《依頼達成により、30000azlを取得しました!》


《依頼達成により、『闇ギルドのローブⅠ』を取得しました!》



続々と告げられるインフォ。気持ちいい。


これで、俺も一人前の盗賊か。



「これで、お前も一人前の盗賊だ」



満足気にそういう強キャラローブ。


だから俺の心を読むなと……ま、いっか。



「これまで利用出来なかったこのギルドの場所があっただろう。それらが解放されたはずだ。闇ギルドの正式な一員として、存分に利用してくれ」



確かに色々あったな、楽しみ。



「以上で終了となる。ご苦労だった」



そう告げた後、ギルドの裏口みたいな所に帰っていく強キャラローブ。


いやあ長かった。しかしまあ色々増え過ぎ。嬉しいけど。


と、いうわけで。


もう俺を邪魔する者はいない。



報酬確認タイムだ!




ブックマーク、評価を頂けると本当に嬉しいです。


色々増えたので説明は次ですね。


スキルも色々ありすぎると逆になあ……

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