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PK職っていいものですよ?  作者: aaa168(スリーエー)
『ラロック・アイス』編
27/46

調子にのりました。


《ラロック・アイス・スノウフィールドに移動しました!》




さっさと準備をして、俺はまたクマさんの場所へと向かう。



いやいや、あれだけ高く売れたらね、行くしかないよね。


レベル上げにするとかなり効率は悪い。というかあれだけ時間かけて一匹となるとな……


まあでも金稼ぎに関しては別だ、次も売れるかは分からないけどもやってみる価値はある。



作戦としては、最初に大量に落とし穴を作っておいて、出来たらクマさんを落としまくるという方法だ。


安全、効率を考えればある程度作って一匹仕留め、また穴を~が良いんだが、一気に最初で作っておいた方が楽だしな。



よーし、そうと決まれば掘りまくるぞ!



〈ジャイアントベアーlevel25 アクティブ〉



おー危ない危ない。すぐそこにクマさんが。



例の石の影に隠れて……しっかり周りを見て、右ヨシ左ヨシ!よしOK。


気配を遮断し、ひたすらに地面に向かう。



―――――――――――――



《採掘スキルのレベルが上がりました!》


《潜伏スキルのレベルが上がりました!》


あれから30分、穴は10個程。スキルが上がった。


穴がかなり場所を取ってきたので、そろそろ別の場所に作らなければ。


ここ付近のモンスターはバーバヤーガとジャイアントベアーの二匹が主であり、バーバヤーガが落とし穴に引っかからないのは調査済みだ。


まあ浮いてるし。


そしてバーバヤーガとジャイアントベアーの徘徊エリアは被らない。


まあつまり、バーバヤーガの徘徊エリアで落とし穴を作っておけば、大量に穴をストック出来る。


後はその場所にジャイアントベアーを誘い込めばいいって事よ。バーバヤーガの攻撃は気合で避けます。



ちなみに穴を作る時には、気配察知スキルのおかげでモンスターが近付いてきた時にすぐ分かる。優秀だね。


よっぽどの事が無ければ恐らく死ぬことはない……だろう。よーし、引き続き掘りましょう。



――――――――――――――



《採掘スキルのレベルが上がりました!》


《罠作製スキルを取得しました!》


引き続き穴を20個程作製。見たことのないスキルが出てきた。


採掘スキルだけかと思ったらね、出てきたわ。


罠作製、か。まあ確かにこれ罠だよなあ……



□□□□□□□□□□□□□


≪スキル説明:罠作製≫



レベルに応じた罠を作製する事が出来る。



レベルが上がると罠作製時間が減少し、罠の質も上昇する。



≪現在作製できる罠作製≫


落とし穴:必要MP20 クールタイム30秒 


ある程度の穴に発動でき、落とし穴を作製する。


穴を攻撃されると落とし穴は解除となる。


□□□□□□□□□□□□□



うん、まあ予想通りだ。


MP消費が意外と少なくていいね。


ただ結局穴を自動で掘ってくれるわけじゃないからな……


まあいいや、さっそく発動してみよう。


えーっとさっき作った穴に注目して――



「落とし穴作製!」



そう唱えると、魔法発動の時ようなロードが続き……ポンと効果音のようなものが鳴る。


と同時に、丁度雪で蓋をしたかのように穴が全く見えなくなった。



〈『落とし穴』〉



そこを注目すると、分かりやすく名前と穴のアイコンのようなものが出る。こりゃあ恐ろしい。これ多分俺にしか見えないやつだ。


よく見てみれば、穴の縁に円状にそった線が見えるが……これは警戒していないと分からんな。結構恐ろしいスキルかもしれないね。


俺も認識出来るとはいえ、下手こいて引っ掛からないようにしなくては。



「よ、よーし」


若干引き気味になってしまったが、恐らくダメージも前よりかはかなり増えるはず。テンション上げていこう。


「落とし穴っと」


間違って踏まないようにしながら、俺は引き続き落とし穴を作製していく。


同時進行で穴掘りも忘れずに。


おっと、クマさんとダルマにも気を付けてな。



――――――――――――――


時が流れ……一時間半ぐらいだろうか?



「ふーっ」



疲れた。俺の周りは、総勢30個程度の落とし穴が広がっており、苦労した跡が残っている。


汗などかいていないが額の汗を拭う動作をしてしまうな。


ゲームだけれども結構くるね。また前みたいにVR酔いしないようにしないとね。



「……よーし」


俺は一息入れた後、インベントリを開く。


ポテチにハンバーガー?のようなものにドーナツなどなど……様々な間食。


そしてコーラの色をしたコーラ味のコーラのような飲み物。コーラではない。多分ね。



……そう、休憩タイムである。予め屋店で買っておいたのだ。ははっ、何しろ今の俺は金持ちなんだぜ?


あたり一面にそれを広げ、口に入れていく。



「う、うめえ……!」



この空間は、この世界でしか出来ない夢の空間だ。


栄養度外視のジャンク全振り。リアルなら体が拒否するね。



大量の俺製落とし穴を肴に、ポテチを頬張りコーラを流し込んでいく。


昔の俺も、ネトゲしながら食うこれがご馳走だったっけな。



ああ、久々に味わうこの感覚、幸せ過ぎる。こんな幸せあっていいのだろうか。


いやあ――やっぱり、VRは最高だぜ!





――――――――――――――



「うっ、おえ……」



前言撤回だ……VRだからって調子に乗りすぎた。


なんだこれ。VRだろ?VRなのに胸焼けとかあるの?いや胸焼けとかではないな。なんか気持ち悪い。ひたすらに。


しかも全然食った気しないから満足感もない。なんだこれは。地獄か?


本当に味とか感触だけなんだな……まあそりゃそうか。


実際これで満足感もあったら現実で死んじゃうし。



くっそ……なんだよこの気持ち悪さは。



《状態異常:過食となりました。一定時間敏捷が低下します》



インフォさんが俺の問いに答えるようにそう告げる。



「ま、まじっすか」



初の状態異常が食い過ぎっておい。


勘弁してくれ……そこまでリアルにしなくても良いんだよ?


ステータスを見れば、敏捷がマイナス二割程されていた。これは痛い。



「……掘ろう」



上がり過ぎた俺のテンションは急降下で止まらないのだが、手を止めるわけにはいかない。


うむ、きっと体を動かせばすぐに治るさ。必ず。


そうと決まれば、散らかした間食達を――



「おっ、なんか雰囲気変わったな」

「うわ見てあれ!熊だー!こわっ!」

「なんか魔法使いみたいなのもいるわ!」

「おいおい気を付けろよ、アイツもうアクティブだ」

「バフかけ直しとくか……」



腰を上げようとしたその時、感じる気配に五つの声。


恐らく――『最前線』と呼ばれる奴ら。


冷や汗が背中を伝っていく。



……最悪の事態とは、連なって起こるモノ。


それを俺は、改めて思い知ったのだった。

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