初めての装備と、初戦闘
《アイテムボックス(小)、『始まりの町』マップを手に入れました!自動的にアイテムボックス(小)が装備されました!》
俺の頭にインフォが鳴り響く。
始まりの町ってのは今いるここのことだろう。
アイテムボックス(小)ってのもデフォルト装備って感じかな。
落ち着いたところで、辺りを見渡してみる。
……改めて凄いな。現実と勘違いしてしまいそうだ。
目の前には噴水があり、公園のようになっていて、プレイヤーが賑わいを見せている。
待ち合わせをしている人、チャットで盛り上がっている人、装備を買おうとしている人等、様々だ。
「ステータスオープン!」
そう言うと、目の前に透明な画面が出てくる。お約束だが、本当に出るのね……
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プレイヤー名:Xx漆黒xX
職業:冒険者
レベル1
HP 1000
MP 100
筋力値 10
知力値 10
敏捷値 30
器用値 10
精神値 10
体力値 10
skill
鑑定level1 弓 level1 小刀 level1
火魔法level1 投擲 level1 関節技 level1
武器
右手:
左手:
防具
頭:
体:
手:
足:
靴:
装飾品:
所持品『始まりの町』マップ アイテムボックス(小)
所持金 10000azl
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所持金は10000追加されてるし、武器と防具が欲しいな。それからはVRMMOの初めての戦闘だ!
さて……今いる場所は『始まりの広場』か。とりあえずこの剣マークのところへいってみよう。
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買ってきました。
防具は初心者のローブを、武器は初心者のナイフと木の弓を購入。
鎧は敏捷に制限がかかるため、魔法使いが着ると思われるローブを選んだ。
俺は、当たらなければなんとやらを目指してるからな。
ちなみにだけども、着用する時はアイテムボックスから選べばいいのだが、実際リアルと同じく着た感じがある。凄いね。
重鎧とかどうなるんだ。
……さて、HPポーション、MPポーションも買ったし、お金が結構結構減った気が。
まあいい!さっさと狩りに行こう。初戦闘だよ初戦闘!
マップを見ると、北にいかにもなポータルゲートのようなものがあったため、それで転移した。
《『始まりの草原』に移動しました!》
「これはまた、すげーな」
目の前には、奥が見えない程のかなり広々とした草原に、数えられないプレイヤー達。
PTを組んでいるもの、ソロのプレイヤー等がこのフィールドで、所狭しと狩りに勤しんでいる。
緊張感といい、先ほどの町とは雰囲気が全く違う。
……なんか楽しくなってきたな。
とりあえず、少し前にいるスライムらしきものを見てみる。
〈スライム level1〉
うん、そのまんまか。鑑定スキルが上がったら敵の情報もわかるようになるのかな。
そこらの石ころを投げて当ててみる。
あ、こっちに向かってきた。
〈スライム level1 アクティブ〉
『アクティブ』ってのは多分こっちに敵意があるってことだろう。
スライムは足が遅く、動きが非常に鈍い。
……そしてそれが俺を油断させた。
「うおっ」
スライムは、俺の腰辺りにジャンプからのタックルを仕掛けてきたのだ。
反応が遅れた俺は、痛みと共にちょっとした距離を吹っ飛んだ。
「あー、もうHPが50も減ったか。そりゃそうだよな……」
そう呟きながら、腰の初心者のナイフを手に持つ。
「さあ、こいよ!」
そう言うと同時にまた、スライムはタックルをしようとする。
タックルの方向から直ぐに逃げ、対象を失ったスライムはその勢いのまま地面へとダイブ。
「もらった!」
地面で動かないスライムにナイフを突き刺す。
「ふう……」
スライムのHPゲージがなくなるのを確認し、汗を腕で拭う。
戦闘による痛みも現実と相違ないように感じる。
スライムからタックルを食らった時は、その痛みに焦りを感じた程だ。
《初心者のローブを取得しました!》
「初狩りのドロップ品が被りかよ・・・」
嘆きながら、回りをもう一度見渡す。
このフィールド、人が多すぎるせいでこっちまでモンスターが寄ってこない。
人がいない狩場は……北に進むしかないか。
進んでも進んでも、人がいる。
……大丈夫かこれ?
不安に駆られながら、俺は先へ進んでいくのだった。