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悪徳領主ルドルフの華麗なる日常 作者:増田 匠見(旧master1415)
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悪党三人組の華麗なる受難は続く(前編)

作者、少々迷走中……
 ファーゼスト・フロントを抜け出して二日、俺達はパウロさんの馬車に揺られながら街道を進んでいた。

 手元に金貨が数十枚あるとはいえ、『麒麟』が提示した金貨の枚数には程遠く、また金を稼ぐ当ても無い。

 まぁ取り合えず、今はパウロさんを自宅に送り届ける事を優先しよう。

 奇妙な縁で行動を共にする事になったこの善人は、病気になった連れ合いのために、犯罪の片棒を担がされそうになるなど、どこか危なっかしく見える。
 俺自身も、パウロさんには世話になっている事もあり、今は道中の護衛を買って出ているのだ。

 今日の昼には、目的の街に着くだろう。
 それからの予定は考えていない。
 もう、いっその事開き直って、手元の金を好き放題使ってしまおうかとも思えてくる。

「兄貴ぃ、街道の先で、何か争うような音が聞こえるッス!どうしやす?」

 どうしたものかと考え事をしていると、ネズミがトラブルを伝えてきた。
 荷台に立って、目を凝らして見ると、一台の馬車が野盗に襲われているのが見える。
 馬車の護衛は数人しかおらず、対する野盗は十人程で襲撃を仕掛けている。

「ちとまずい、野盗の数が多過ぎる。あまり持ちそうにないな」

 護衛は、二倍近い人数差にも負けずに、よく粘っている。
 しかし、人数の差はいかんともしがたく、そう間も無い内にやられてしまうだろう。
 もしそうなってしまえば、次は俺達の番だ。

 ここは、あの護衛達が時間を稼いでいる間に、身を隠してしまうのが賢い選択だろう。

「大変じゃないですか!急いで助けないと!!」

 ……だが、御者をしているパウロさんは、現場に駆けつける事を迷わず選択した。
 パウロさんは、手に持った鞭を馬に走らせ、馬車のスピードを上げる。

 やれやれ、こっちは四人しかいないというのに、どうやって助けるつもりなのだろうか。

「デク、合図をしたら突っ込んで、相手を倒せ!分かったな!!」

「わ、わがっだど」

「ネズミは、隠れながら敵のリーダーを探して無力化しろ」

「了解ッス」

「パウロさんは、そのまま脇を通り過ぎて行ってくれ!!」

「わ、分かりました」

 まぁ、その選択、俺は嫌いじゃねぇがな。

「……どうせ短い命だ。使うんなら、好きに使わねぇと」

 そう、小さく呟き、戦闘に備える。

 予想外の戦闘ではあるが、何も無謀な戦を仕掛けるつもりはねぇ。

 作戦はこうだ。
 いくら野盗の人数が多いとは言え、襲われている馬車の護衛も含めれば、人数の差はだいぶ埋められる。
 加えて、相手は俺達に気が付いておらず、背を向けて油断しているため、巨体のデクが突撃していけば、被害を与えられるし、混乱もするだろう。
 その間に、ネズミには伏兵として動いてもらい、相手の指揮系統を断つ。

 デクの突撃から、相手の混乱が収まるまでの間に、人数差をひっくり返せるかどうかで、戦況は決まる。
 時間との勝負だ。

 そうこうしている間に距離は縮まり、争う集団が目前に迫ってきた。

「行け!デク!!」

 合図と共に、俺達は飛び降り、パウロさんはそのまま通り過ぎて行く。

「ヴォォォォォォォ!!」

 腹の底に、重たく響くような咆哮が上がる。
 魔物も怯えて腰を抜かす程の、デクの雄叫びだ。

 いきなり現れた、恐ろしげな巨体を前に、野盗達が浮き足立つ。
 そこへ、すかさずデクが体当りをぶちかまし、次々に野盗達を撥ね飛ばしていく。

 ポンポンと木の葉のように舞い散る野盗。
 圧巻である。
 心なしか、馬車の護衛達も浮き足立っているようにも見えるが、気のせいだろうか。

「……おっと、ぼーっとしてる場合じゃねぇな」

 場の全員がデクに気を取られている隙に、野盗の一人に背後からこっそり近付き、手の平で口を覆って声を出せなくしてから『眠りの雲スリープ・クラウド』の魔術を唱えた。

 本職の魔術師のように、広範囲に強力な『眠りの雲スリープ・クラウド』を出現させる事は出来ないが、胸一杯に吸い込ませる事ができれば、人間の一人分ぐらい、俺の拙い魔術でも十分効果を発揮させられる。

 野盗は、俺の手から発せられた魔法の雲を、直接吸い込み、少ししてからぐったりと動かなくなった。
 そうして一人、また一人と、静かに敵の戦力を無力化していく。

「ヴォォォォォォォ!!」

 すこし離れた場所では、デクが野盗を捕まえては放り投げ、捕まえては放り投げと繰り返し、どんどんと戦力を無力化していく。

「………………」

 気が付けば、野盗は全員地に伏しており、ほぼ、デク一人で戦況を覆してしまっていた。

「……よし、計算通り!!」

「んなわけないでしょう、何、調子の良い事言ってんスか?」

 今までどこにいたのか、出番のなくなったネズミが顔を出す。

「いいんだよ、結局、俺の作戦がハマったって事だろ。ガハハハハ!」

 何にせよ、被害なく戦闘が終えられた事に違いはねぇ。

「……おい、お前達は一体何者だ!?」

 馬車を護衛していた内の一人が声を掛けてくる。
 俺達がいきなり現れたせいか、警戒の色を浮かべている。

「おっと、そんな警戒しなさんなや。あんた達が野盗に襲われているのを見て、助けに来たんだよ」

「っち、余計な真似を」

 敵意が無い証として、両手を上げながら話しかけるが、護衛の男は地面に唾を吐きかけ、警戒を解かない。

「おいおい、せっかく助けてやったってぇのに、その態度は無ぇんじゃねぇか?」

「ふん、予定外の事はあったが、始末してしまえば同じ事か……」

 護衛の男は、物騒な事を呟いて、武器を構えた。
 すると、他の護衛も武器を向け始め、俺達を逃がさないようににじり寄ってくる。

 おいおいおいおい、なんだなんだなんだ?
 冗談じゃねぇ、何で、俺が武器を向けられなきゃならねぇんだ?

「ちょっ、意味が分からねぇ。何がどうしたってぇんだ!?」

「説明する義務はない。運が悪かったと思って……グボハァァァッ!!」

 護衛の男達が刃を振り上げた瞬間、彼らの身体は宙を舞った。
 そのまま、数メートルの高さから落下し地面に叩きつけられる。
 男達は、衝撃に呼吸を忘れ、口をパクパクさせながら空気を求めている。

「おで、突っ込む。相手、倒ず。あにぎ、合っでる?」

 そう言って無邪気に笑いかけてきたのはデクだった。
 一通り野盗を撥ね飛ばした後に、その足で護衛の男達も撥ね飛ばしたようだ。

「野盗を倒せって、意味だったんだがな……」

「じゃ、じゃあ、おで間違えだ?失敗じだ?」

 急に不安そうな顔を浮かべるデク。

「まぁ、結果オーライ、かな?」

「結果オーライって、何だど?おで、叱られる?」

「良くやったって、意味だよ」

 そう言って、頭を乱暴に撫でてやると、デクは大げさに喜びを表す。

「兄貴ぃ、それで、どうするッスか?」

 デクとじゃれ合っていると、ネズミから声が掛けられる。

「どうするったって、なぁ?……どうするよ?」

 辺りを見回せば、野盗も護衛も関係無く倒れ伏しており、無事なのは馬車が一台のみ。
 だが、助けた側からも襲われた事を考えると、馬車の中からは厄介事の匂いしか感じられない。
 正直な所、このまま何も無かった事にして、立ち去ってしまいたい。

 そう考えを巡らせていると、ふいに馬車の扉が開き、中から年頃の、若い娘が一人で降りてきた。
 服装は街娘のそれだが、顔立ちは整っており、どこか品の良さが見て取れる。
 貴族の落とし胤か何かだろうか。
 厄介事の匂いが、一層強くなった。

 娘は辺りを伺い、野盗と護衛達が倒れているのを見ると、何処かホッとしたような表情を浮かべ、続いて、俺達の姿を見付けると固まったように動かなくなる。

「……よう」

 取り合えず声を掛けてみるが、娘は固まったまま動かない。

 なんだか良く分からないが、これはチャンスではないだろうか?
 このままここに居たら、厄介事に確実に巻き込まれてしまうだろう。
 なら、場が動かない内にさっさと去ってしまうのが得策だ。
 護衛も、特に怪我をさせた訳ではないので、大丈夫だろう。

「よし、こうしよう。あんたは何も見てないし、何も知らない。そんで、俺達はこのまま何事もなくこの道を通り抜ける、オーケー?」

 向こうにしてみれば、俺達という不確定要素はいなくなって欲しいはず。
 予想通り、娘は俺の提案に、こくこくと頷いた。

「皆さん、大丈夫ですか~?」

 そこへ、パウロさんの馬車が引き返してきた。
 戦闘が収まった事を察して、様子を見にきたのだろう。

「「パウロさん」」

 俺と娘の声が重なる。
 ……なんで?

「フレデリカじゃありませんか、こんな所でどうしたんですか!?」

「パウロさん助けて下さい!」

「フレデリカ、落ち着きなさい。ザックさん達は、見た目は怖いかもしれませんけど、いい人ですよ」

 パウロさん、それは酷ぇ言い種じゃねえか?
 ……否定できねぇけど。

「違うんです、私、こっちの人達に無理やり連れて来られたんです!!」

 そう言って、フレデリカが指を差したのは、倒れている護衛の男達。

「…………え?」

 護衛だと思っていた人物が、実は誘拐犯?

「あと、なんか、野盗も護衛もグルみたいッスよ」

 そこにネズミが、更なる爆弾を耳打ちしてくる。

「…………え??」

 誘拐犯と野盗が仲間だった?
 どういうこと???

 どうやら俺達は、また厄介事に巻き込まれたようだ。
ひょっとしたら、後日大幅な修正を行うかもしれません(^_^;)

……たぶん、大丈夫だと思いますが(;・∀・)
+注意+
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