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悪徳領主ルドルフの華麗なる日常 作者:増田 匠見(旧master1415)
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悪徳領主の沙汰

今回は、一話完結ではなく、少し長めのストーリーに挑戦しようと思っています。

悪徳成分多め、勘違い成分控えめでお届け致します(*´∀`)♪
「ふごふごふご…………」

「んん?なんと言っているのか分からんなぁ?私は謝罪の言葉を要求しているのだが、きちんと人間の言葉で喋ってもらえないだろうか?」

 私は、後ろ手に縛られた髭面ひげづらの男の頭を踏みつけ、問いかける。

「ふご~!ぶごふごふご…………あ、足をどげでぐだざい……」

 すると髭男は、少しだけ頭で私の足を押し上げて、何とかそう答えた。

 生意気な。
 自身の立場もわきまえず、私の意志に反して足を押し上げる・・・・・・・など、誠意が足りん!

「まずは、地に頭を擦り付けろ!」

「ふ、ふごぁ!」

 足に力を込めて、髭男の顔を無理矢理地面に押し付ける。

「おい、どうした?私は謝罪の言葉・・・・・を聞きたいのだが、何とか言ったらどうなのだ?」

 私がそう言うと、髭男は再び顔を持ち上げようとするが、私はそれを許さず、足に力を込める。

「ふご~!ふごふごふご~ふご~!!」

 髭男は、必死になって訴えかけるが、後ろ手に縛られており、体の自由がきかないなため、私の足をどかす事ができない。
 結果、顔を地面に埋めたまま、言葉にならない声で喚いている。

 クックックッ、フハハハハ、アーハッハッハッハ!

 何と無様な姿だ!
 いい大人が芋虫のように這いつくばり、ふごふご喚き散らして、恥ずかしくないのだろうか?

 そのまま、グリグリと髭男の頭を踏み付けていく。

「ア、アニギに、ぞんなヒドイごどをじないで欲じいど~」

 すると、少し離れた場所から、酷い訛りをした声が掛けられる。
 見ると、髭男と同様に、後ろ手に縛られた男の姿が二つあった。

 一人は、オーガ大鬼トロルを思わせる、並々ならぬ巨体を誇る強面の大男。
 もう一人は、対称的にゴブリンのように小柄で、ズル賢く、醜悪な顔付きをした小男。

 先程の声は、大男から掛けられた物だ。

「デ、デクは、黙ってろ!!……ふごぁぁっ!」

 大男の声に気を取られた隙に、足下の髭男が顔を上げて喋るが、直ぐに地面に埋め直す。

「おい、貴様らは、自分達が一体何をしたのか分かっているのだろうな?」

「だ、だども……」

 それでも大男はいい淀む。
 先程からの様子を見るに、この大男は体だけは立派だが、その分オツムが弱く事態を把握できていない様子である。

 私は、髭男の顔を地面にしっかりと埋めると、その足で大男に詰め寄った。

「貴様は、貴族の馬車を襲撃した・・・・野盗がどうなるか、知っているか?」

「ど、どうだんだ?」

「こうなるんだ、よ!!」

 そう言って、少し助走をつながら、髭男の尻を蹴飛ばす。

「ふごぁぁぁぉぉぉぉっ!!」

 すると、髭男は奇声を上げながら地面を転がっていく。

 クハハハハハハ!
 いい気味だ。
 貴族に手を出すとどうなるか、その身でしっかりと味わって貰わねば。

 そう、この三人組はあろうことか、貴族である私の馬車に襲い掛かったのである。

 今居るこの場所は、ファーゼスト領の外れの街道沿いであり、このまま進めば、隣の領地の街に続いている。

 私は、所用でその街まで出掛けており、帰り道で、この三人組の襲撃に遭ったのだ。

 始めに、大男が道を塞いで、その巨体でもって馬車の足を止め、続いて髭男が弓を射掛けてこちらの戦意を挫き、小男が裏から回って人質を取るという、野盗にしては連携の取れた、スムーズな襲撃。
 普通の荷馬車などであれば、あっという間に制圧されていたであろう。

 だが実際は、大男はレーツェルの蹴りをまともに食らって目を回し、弓矢は同行していた村長に掴み取られ、裏から回ってきた小男は、私が一睨みしたら降伏し、呆気なく撃退されたのだった。

 髭男も、元冒険者である村長の手によって捕縛され、三人揃って私の沙汰を待っている状況だ。

 三人は、当然死刑。
 あろうことか、貴族の馬車に直接手を出したのだ、それ以外の刑などありはしない。

 だが、私は慈悲深い。
 なので、こうして直接謝罪する機会・・・・・・・・を設けているのだ。
 こいつらの態度如何いかんによっては、減刑も考えてやる・・・・・と言ってある。

 だが、三人組のリーダーである髭男の口からは、謝罪の言葉は未だに聞こえてこない・・・・・・・

 まったく、謝罪の言葉一つ吐けないとは、よほど命が惜しく無いらしい。

「…………ず、ずみばぜんでじだ!何でもじまずので、許じで下ざい」

 考え事をしていると、涙混じりのか細い声が聞こえてくる。
 見ると、先程蹴飛ばした髭男が、顔をグシャグシャにしながら、声を振り絞っていた。

 ちっ、謝罪の言葉が聞こえてしまっては仕方がない。
 こいつらの処分について、考えてやるとしよう。

「ほう、今、何でもすると言ったな?」

「は、はいっ!貴方様のだめに何でもじまずので、どうかお許じを…………」

 ふむ、『何でもする』とまで言うのなら、しっかりと考えてやるとしよう。
 文字通り『何でもする』人間が手駒になるのであれば、汚れ仕事をさせるのに便利であろう……

「いいだろう、ならば最初の命令だ」

「は、はい!なんなりと!!」

 髭男は、救いを得たとばかりに顔を上げ、私はそれに短く命令する。

「死んで詫びろ」

 ふむ、考えた結果、やっぱり駄目だ、こんな屑は不要。
 だいたい、貴族を襲撃した罪が、野盗の命ごときで償えるはずがない。

「か、考えてぐれるって言っだのに……」

「考えたが、やっぱり駄目だ。何でも・・・するのだろう?ほら、早く死ね!」

「……ぞ、ぞんな~!」

 クハハハハハハ!
 愉快、愉快。
 つまらん仕事だったが、帰り道にこんな面白い余興が待っていたとは。
 流石は御柱様のご加護、この巡り合わせに感謝せねばな。

「フハハハハハ!何と無様な姿だ…………いいだろう、今の私は気分がいい、特別にチャンスをやろう!」

「はへ?…………あ、あ、ありがどうございまず」

 髭男は、一瞬呆けたが、言葉の意味が分かると、大仰に頭を地に擦り付ける。

「言え。貴様の命の値段はいくらだ?」

「………………へ?」

「貴様の命はいくらかと聞いているのだ」

 世の中には、命は金で買えないとかほざく偽善者がいるが、そんな事はない、命は金で買えるのだ。

「えーっと、その、ほら…………俺の命なんか、き、金貨一枚ぐらいですかね?へへへっ」

 ほら、現にこいつは、自分の命に値段を付けた。
 命は金で買えるのだ。

 私は髭男の言葉を聞くと、懐から金貨を一枚取りだして、髭男の目の前へと放ってやった。
 金貨は、ボトリという重たい音を立てて、地面に着地する。

「これが貴様の命だ。冥土の土産ができて良かったなぁ?」

 私はそう言って、腰の刀に手を掛ける。
 そろそろ茶番にも飽きた事だし、いい加減処分するとしよう。

 こいつの命は、今私が買い上げた。
 それをどうしようと、私の勝手であろう。

「ひいぃぃぃ!」

 髭男は、私の本気を悟ったのか、乙女のような悲鳴を上げて逃れようとするが、縄で縛られているため、身を捩ることしかできない。
 暴れ回る芋虫の背をドンと踏みつけ、地に縫い付ける。

「ぐぇぇっ」

 芋虫のくせに、人間のような悲鳴を上げるとは生意気な。
 これはきちんと処分して、輪廻の環に戻してやるのが、貴族としての使命でもあろう。
 今度は、ちゃんと芋虫に生まれ変われるように祈っておいてやる、感謝しろよ!フハハハハハ!

 そうして、腰の刀を引き抜こうとした瞬間である。

「き、金貨一千枚ッス!!」

 今まで一言も喋らなかった小男が、突然口を開いた。

「へへっ、貴族様、勘違いッスよ勘違い。兄貴の命は金貨一枚じゃなくて、一千枚ッスよ」

「……ほう?金貨一千枚とは、大きく出たな?」

 金貨一千枚。
 普通に考えれば、こいつらが二、三十回は生まれ直さないと、稼ぐ事のできない大金だ。
 それをこの場で言ってのけるとは…………面白い。

 小男の言葉に興味を抱き、刀の柄から手を放す。

「へへぇ!じ、実はこう見えても兄貴は学園・・の出でして、能力については折り紙付きなんッス」

 ほう、襲撃の段取りも上手くただの野盗ではないと思っていたが、学園の卒業生だったのか。
 まぁ、嘘か本当かは分からないが、その辺の野盗より頭が回るのは認めよう。

「それを金貨一枚だなんて、とんだ勘違いッス!兄貴の価値は金貨一千枚にもなるんスよ。ここは一つオイラ達の命を買わせては下さいませんか?」

「良く回る口だな…………」

 ふむ、本当に金貨一千枚が稼げるのなら大したものだが……まぁハッタリだろうな。
 だが、自身の命が掛かっている状況で、ここまで大きな事が言えるとは、この小男は見た目によらず中々胆が据わっているらしい。

「貴族様に損はさせないッスよ」

 確かに、このまま処刑をしても、それほど利益がある訳では無い。
 それに、リーダーの髭男は元冒険者で、ギルドカードを所持していたため、身元は割れている。

「…………いいだろう、貴様ら三人で金貨一千枚だ。一ヶ月で用意しろ」

 本当に、金貨一千枚も用意できれば儲けものだし、そこまで用意できなくても、いくらか利益が上がれば、その上前をはねた後で始末すればいい。

「へへへっ、期待してお待ち下さいッス」

 小男は、笑顔で答えるが、ただでさえ醜悪な顔が、余計に醜くなるだけだった。

「…………そうそう、別に逃げ出しても構わんからな?」

 不気味に笑う小男に、そう言葉を刺す。

 もし、この話を無かった事にして逃げ出したとしたら、その時は、ゆっくりと真綿で絞めるように追い詰めて、絶望の果てにその命を刈り取るだけだ。
 逃げ延びた日にちの分だけ、苦しみを御柱様に捧げる事になる。

 つまりは、どう転んでも私の利益になるのだ。
 しばらくはこの余興を楽しむ事としよう。

「…………」

 私の言葉に、小男はどこか不穏な物を感じたのか、無言でこちらを見据えてくる。

 だが、私はその視線を無視して踵を返した。

「ヨーゼフ、そういう事だから帰るぞ!」

 御者をしていたヨーゼフに告げ、そのまま馬車の中に乗り込む。
 すると、しばらくしてから、馬車はゆっくりと進み始めた。

 はてさて、一体どんな結末を迎える事やら。
 これから彼らを待ち受ける苦難を思うと笑いが込み上げてくる。

 クックックッ、フハハハハ、アーハッハッハッハ!

 果たして、どんな手段で金を稼いでくるだろうか。
 どれほど凶悪な悪事に手を染めれば、金貨一千枚もの金額を手に入れられるだろうか。
 …………せいぜい、私を楽しませてくれよ?
 フハハハハハ!

 縛られたまま・・・・・・放置した三人組の事を想像しながら、私はその場を後にした。
この世の悪は、ルドルフ様が成敗だ!ι(`ロ´)ノ
+注意+
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