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悪徳領主ルドルフの華麗なる日常 作者:増田 匠見(旧master1415)
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悪徳領主の商品 その二

投稿が遅くなったのは、御柱たんのせいです。
御柱たんのネタが降ってきたため、急遽短編を書き上げました。
恨むなら御柱たんを恨みましょう(・∀・)ノ
「ロバート殿、王都から我がファーゼスト領までは遠かったでしょう。旅の疲れはどうですか?」

 魔道具の灯りに照らされた応接室で、私は一人の男性と向かい合って座っていた。
 男の名はロバート=オオクラ=トヨトミ。
 王都で政治に携わる法衣貴族の一人だ。
 トヨトミの姓が示す通り、宰相のジョシュア閣下の親戚で、ミドルネームのオオクラは、彼が財務関係の上級貴族である事を示す。

「普段王都に引き込もっているので、長旅は久し振りで堪えましたが、先程頂いた夕食でそれも吹き飛んでしまいましたよ」

「それは良かった。ちょうど先日、一流の料理人のレシピを手に入れる機会がありましてね、今日はそれを振る舞わさせて頂きました。」

 オオクラの名を正式に継いでいるのであれば、彼にはかなりの裁量権があり、更に財務を担当しているとなれば、仲良くするに越した事はない。

「何とレシピをですか。あれ程の料理のレシピです、手に入れるのに、さぞかし苦労したのでは?」

 多少問題はあったものの、料理を食べただけで手に入れたレシピだ。
それでロバート殿の関心が得られたのだから、トニーには本当に感謝せねば。

「いえ、それ程でもありませんよ。たまたまその料理人と縁があっただけで、それ程の苦労はございません。そうだ、もし良ければレシピをお持ち帰りになりませんか?」

「なんと、よろしいのですか?」

 フハハ、あんな物で良ければいくらでも持って帰って結構だ。
 レシピなんぞ、次から次へと生まれて来るのだから問題はない。
 むしろ、率先してレシピを広めて欲しいぐらいだ。

「ええ、王都から遠路遥々ファーゼスト領へやって来たのですから、是非お土産にお持ち帰り下さい」

 王都でレシピが広まれば、それだけレシピを作った料理人の価値が上がる。
 だが、料理人は既に我がファーゼスト家が囲っており、新しいレシピは誰も手に入れられない。
 クククッ、そうなれば新しいレシピには一体いくらの値段が付くだろうか。

「ははは、ルドルフ殿にかかれば、料理のレシピもお土産扱いですか。流石、王国の麒麟児は言う事が違う。ルドルフ殿、それではありがたく頂きます。」

「ふふふ、喜んで頂けたようで何よりです」

 ロバート殿は、まだこちらの思惑には気が付いていない様子。
 貴族家の当主になって、まだ日が浅いと聞くので、こう言った腹芸は勉強中と言った所だろうか。
 トヨトミの姓を名乗るのだから、もっと勉強を積んで、宰相のジョシュア閣下の力になれるように、是非頑張って欲しい物だ。

「ルドルフ殿、この度は急な来訪にも関わらず、このような歓待を頂き、誠に感謝致します」

「なんの、シュピーゲル家の次期当主と、紳士倶楽部のオーナの紹介を受けていらっしゃるのですから、私としても、正式な客人を迎えるのは当然の事です。お気になさらず」

 そう言って、私はロバート殿に受け答えた。

 さて、ロバート=オオクラ=トヨトミ伯爵が、何故ファーゼスト領にやって来たのかと言うと、それは彼があるものを探し求めているからだ。

 それは、我がファーゼスト領の商品・・

 クククッ、それもわざわざシュピーゲル家を通して、あの・・『紳士倶楽部』に依頼して求めているのだ。
 ロバート殿は顔に似合わず、中々いい趣味・・・・をしていらっしゃる。
 事前にどういった商品・・を求めているのか、知らされていなければ、まず期待に応える事は出来なかっただろう。

 一通り世間話も済んだ事だし、私は本題を切り出す事にした。

「そう言えば、何でもロバート殿は、とあるものを探しにファーゼスト領にいらっしゃったとか?」

 すると、ロバート殿も居住まいを正して、私と相対する。

「ええ、実はその事なのですが……その、どうやら誤解があるようでして……」

 だが、出てきた言葉は歯切れの悪い物だ。

「おや、紳士倶楽部のオーナーからは、あるものを探していらっしゃると伺いましたが、違いましたか?」

「いえ、それは違わないのですが…………その、私は別に十歳ぐらいの少女を探している訳では…………」

 なるほど、年端も行かない少女を求めているというのは外聞が悪く、なかなか口にはしづらい物だ。
 それを汲み取り、察して対応するのは貴族の必須技能。

「ロバート殿、分かっております」

「ルドルフ殿、いや、本当に申し訳ない」

 ロバート殿はそう言って、頭を一つ下げる。

「人は誰しも、他人には言えない事の一つや二つあるものです。」

 だが、腹芸の苦手なロバート殿には、一つ勉強をしてもらう事にした。
 貴族が、他者に弱味を見せるとどうなるか、もっと危機感を持つべきだ。

「…………ルドルフ殿?」

 私の言葉に、ロバート殿の声色が変わる。

「貴方が何をでようとも、良いではありませんか。例えそれが周囲の理解を得られなくとも、大切なのは貴方がどう思っているかでしょう?」

 さて、ロバート殿の性癖が社交会に流れたら、一体どれだけ愉快な事になるだろうか。
 もし、ロバート殿の政敵にこの話を持って行けば、一体いくらの値段がつくだろうか。

「………………まさか、ルドルフ殿」

「フフフ、ご安心下さい他言は致しませんよ。ロバート殿とは良い関係・・・・でありたいですからね」

 ……まあ、ジョシュア閣下の親戚に、そんな事はしないがね。
 これを機会に、今後は気を付けてもらいたいものだ。

「…………」

「さて、今日はせっかくロバート殿のために、ご用意させて頂いたのです。ゆっくりと品定め・・・して下さいませ」

 難しい話は一先ひとまず置いておき、ロバート殿には商品を見て頂こうか。
 先日仕入れたばかりの商品だが、きっとロバート殿の期待に添える事だろう。

「…………ルドルフ殿、宜しくお願い致します」

「では早速。……入れ」

 そう言うと、部屋の扉が開き、メイド姿をした一人の少女が姿を現し、ロバート殿の前に来ると、ぎこちなさの残る一礼を披露し、にっこりと微笑む。

「な、何と…………」

 少女の微笑みに、ロバート殿は声も出ない様子。

「お気に召されましたか?」

「……ルドルフ殿、この子の年齢は?」

「八歳です。…………どうぞ、他にも何かご質問等があれば、直接お聞き頂いて構いませんよ」

「……それでは」

 そう言うと、ロバート殿は少女の前まで進み、身を屈めて目線を合わせながら、優しく語りかけ始める。

 内容は他愛も無い事ばかりだ。

 名前は?
 身体は健康か?
 病気は無いか?
 両親はいるか?
 今まで何をしてきたか?
 何ができるか?

 等々、奴隷を見定める時の一般的な質問ばかり。

「ルドルフ殿、もう結構でございます」

 一通りのやりとりに満足したのか、ロバート殿はそう言って席に戻ってきた。

「もういいぞ、戻れ」

 私がそう言うと、少女はまた、ぎこちない一礼をして部屋から去っていった。
 ロバート殿は、扉が閉まるまで、その後姿を名残惜しそうに見つめていた。

 フフフ、どうやら気に入って頂けたようだ。

 だが、これだけで終わってしまっては、商売人としては二流だ。
 相手の期待に添う物を提供するのは商売の基本だが、相手の期待以上の物を提供するのが一流の商売人と言うもの。

「ところで、話は変わるのですが、ロバート殿は親子が離れ離れで暮らす事をどうお思いですか?」

 タイミングを見計らい、思わせ振りな言葉を投げ掛ける。

「ルドルフ殿、それは一体どういう意味ですか?」

「そのままの意味ですよ。遠い遠いどこかで我が子がどんな目に遭っているか、親はどんな気持ちでしょうね?」

 どこぞの紳士の玩具おもちゃにされる少女という物も、それなりに負の念を回収できそうだが、そこに一味加えるとどうなるだろうか。

「…………」

「何か辛い目に遭っているなら、どうか、一緒に居てあげたい。出来る事なら代わってあげたい。それが親心と言うものではないでしょうか?」

 親とは、子を何よりも大切に想うもの。
 子を玩具にされた親と言うのは、何を思うのだろうか?
 親が玩具にされるのを見て、子は何を思うのだろうか?

「…………まさか」

「はい、そのまさかです。……母親も一緒に召し上がって・・・・・・はいかがですか?」

 はたまた、二人同時に玩具にしてしまう何て言うのも、なかなか悲劇的かも知れない。

「ルドルフ殿……貴方は、一体なんと言う事を…………」

「おや、お気に召しませんでしたか?」

 ロバート殿、私のご提案する趣向は如何だろうか?

「……素晴らしい、何と素晴らしい!!まさか、ルドルフ殿にそう言って頂けるとは……」

 フハハハ、ロバート殿は、やはりとんでもない紳士・・だったようだ。
 王都の貴族は、一体どれだけの闇を抱えていると言うのか。

「そこまで喜んで頂けるとは、提案した甲斐があると言うものです。また後で、母親とも顔を合わせる機会を設けましょう」

 クククッ、本当に王都の貴族様はいい趣味・・・・をしていらっしゃる。

「是非、お願い致します。だが、しかし……」

 ロバート殿はそう呟くと、目を瞑り、じっと何かを考え始めた。
 そして、しばらくするとゆっくりと言葉を紡ぎ始める。

「………………ルドルフ殿、厚かましいお願いではございますが、あと二年……いえ、一年で結構です。お時間を頂けませんか?」

 そう言えば、ご要望は確か十歳の少女・・・・・
 ちょうど、少女が大人の肉体へとを変貌を遂げる年齢か。
 それは、子供が大人になり始める頃合い。

「では、ちょうど十歳の誕生日まで、ファーゼスト家で面倒を見ましょう。そして、あの子が十歳になった日に誕生日プレゼント・・・・・・・・を差し上げるのです。いかがでしょうか?」

「よろしいのですか!?」

 ロバート殿がそこまで拘るのであれば、一年や二年、私の所で面倒を見る事ぐらい構わない。
 それに、その間多少いい生活を送らせてやるのも、いい案かもしれない。
 絶望とは、幸せとの落差が大きければ大きい程、昏く深くなる物なのだから。

「ええ、あの子に素敵な誕生日・・・・・・を迎えさせるのです。中々の趣向でしょう?」

 十歳を迎えるその日に、あの少女は何を失うのか。

「素晴らしい……なんと素晴らしい趣向だ!……私は、ルドルフ殿を勘違いしていたようだ。私の周りには中々理解してくれる者がいなかったが、どうやら貴方は違うようです!」

 ロバート殿は、感極まった様子で喜んでいる。
 やはり紳士・・の考える事は、計り知れないな。

「ロバート殿。私で良ければいくらでも力になりましょう」

「何と言う頼もしい言葉! ありがとうございます、今日はルドルフ殿に会えて、本当に良かった。」

 私も、あなたのような本物の紳士・・に出会えて嬉しく思う。

「いえいえ、こちこそロバート殿に喜んで頂けて何よりです」

 御柱様への供物を、せっせと作り出してくれるのだからな、フハハハ。

「ルドルフ殿、今後何かあれば是非私を頼って下さいませ。このロバート=オオクラ=トヨトミ、出来る事なら何でも致しましょう!!」

 おやおや、そんな事を気軽に言ってはいけませんよ?
 財務を担当する上級貴族なのだから、私のような悪徳領主に言質を取られては、何を要求されるか分からないですよ?
 まあ、これもロバート殿の勉強だと思い、今回は彼の言葉に甘える事にしよう。
 クククッ、彼の出来る事・・・・がどれ程の利益を生むか、中々楽しみである。

「心に留め置いておきます。……さて、話がまとまったところで一杯いかがですか?」

「是非、頂きます」

 細かい話はさておき、ヨーゼフを呼んでワインを開ける。

 はてさて、今回の商品の対価に何を要求しようか。
 財務を担当しているのだから、ファーゼスト領が王国に納める税金でも誤魔化してもらうかな。
 いくら払っているか知らないが、私が稼ぐ金は莫大だ。
 それなりの金額を納めているはずなので、今回はかなりの利益が見込める。

 クククッ、それにしても王都の貴族というのは、業の深い者が多いようだ。
 あんな少女に何をするのか。
 おまけに母親も一緒になど、身の毛もよだつ所業だ。

 年端も行かない少女が受ける絶望と、その母親が受ける絶望はどれ程の物になるだろう。
 彼女らの行く末を思うと笑いが込み上げてくる。

 クックックッ、フハハハハ、アーハッハッハッハ!

 せいぜい苦しんで、御柱様の贄となるがいい。

 フフフ、フハハハハハハハ!!

 ファーゼストの夜は暗いが、王都の闇は、なお昏いらしい。
ドラゴン○ールGTで、「天丼、カツ丼、親子ドーーーン!」って言うのを、ふと思い出した。(´・ω・`)


御柱たんの短編は、『ファーゼストの悪魔がカップ焼きそばを作るようです。(物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ企画)』という題名です d(`・ω・´)
いいか、笑うなよ?絶対に笑うなよ!?
(自らハードルを上げるスタイル 汗)
http://ncode.syosetu.com/n9835do
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