厨二病の男子 3
「熱はないみたいね。少し休んでなさい。」
先生が体温計を見ながらベッドで横になっている青山に話しかけた。
小さくこくりと相槌を打つ。
「私ちょっとレポート書かかないといけないから、
ここ空けるけど、青山くん見ててもらっていいかしら?」
「いいですよ。今日部活休むし。」
「ありがと。すぐ戻ってくるから。」
青山は目を閉じて落ち着いている感じだ。
こじらせてなければただの男子高生なのにな。
ゲームとかやりすぎてこうなってしまったのだろうか?
中学の時に周りから相手にされなかったとも聞いたことあるし、
一人の世界に閉じこもってしまったのかもしれない。
「魔王・・、ありがと。」
「大丈夫か?青山。痛いか頭?」
「良くなってる。ちょっと悪魔がいたずらしたんだろう。」
・・・こんな時もまだ言うのか。
そして何やらもぞもぞして、ふとんから右手を出してきた。
「手を・・手を握ってくれ。」
「はっ??」
「パワーをくれ。」
パワー??何を突然・・まあいいか、言うとおりにしてやろうと思ったが
ちょっと意地悪してみたくもなった。
「手を握って欲しかったら、俺の事「進」って呼んでみろ。」
「!!」
「ほら早く。」
「・・・・すすむ」
「やっと名前呼んでくれたな。いいよ俺のパワーお前にやるよ。」
両手で右手を握ってやる。
「どうだ。青山?」
「あたたかいパワーがくる。」
笑顔の青山をみてなんかすごく可愛いかもと不覚にも思ってしまった。
「ちょっと寝る。」
「お休み。」
目を閉じて少したつと寝息が聞こえてきた。
手はまだ握っているが、疲れはしない。
青山もみんなと一緒に楽しい高校生活を送ってくれればいいと思う。
俺なりに努力をしてやろうと誓う。
「ごめんね、渡辺くん。」
どうやら先生が戻ってきたみたいだ。
青山の手を握っている俺を見て、
「あらあら、青山くんったら子供ね。」
と微笑んだ。
「後は大丈夫だから帰って。」
「お願いします。」
手をそっと外してふとんの上に置いて、
名残惜しいなあと思いもう一度寝てる青山を見て
保健室を出た。