種と雨雲
友人から植物というお題を貰い20分以内に書いた即興ものです。
僕は種。
大杉の種。
けれども周りに土はない。
僕はアスファルトの上にいた。
「すごく硬い」
太陽がサンサンとふりそそぐ。
「暖かい」
それでも僕は種だった。
雲が出る。
まだまだ僕は種だった。
「すごく寒い」
だんだん雲が多くなり、光が消えた。
どんどん冷える。
「寒い」
それでも周りに土はない。
僕はお空を仰ぎ見た。
「太陽さん太陽さん、お顔をお見せくださいな」
お空に向かってそういうと、誰かの声が聞こえてきた。
「雨もなかなか良いもんだぜ」
と、話しかけてきたのは雨雲さんでした。
雨雲さんは出て来ると、皆から太陽さんを隠してしまう悪ガキでした。
「いい迷惑です」
僕はその心そのままに、言葉を伝えます。
「雨雲もいいもんだぜ?」
雨雲さんは同じことを繰り返します。
馬鹿なのでしょうか?
僕はズバリ訊いてみます。
「貴方は馬鹿ですか?」
すると、雨雲さんは怒ってしまいました。
ざあざあ、ざあざあ……。
大雨が降り注ぎ僕は流されます。
流れ着いたのは土の中。
そして、数年後。
僕は大杉になりました。
雨雲さん、ありがとう。
ご批評、またはお題がありましたらお気軽にお送りください。
よろしくお願いします。