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短編集

魔法使いの弟子

作者:

「はじめましてそして突然ですが今から貴女私の弟子です」

「・・・・・・・は?」

二人の出会いはそんな会話から始まった。




人生って何が起きるか分からない。これ、あたしの経験に基づいた座右の銘。

たった十七年しか生きてないあたしだけど多分、誰も経験したことのないような過去を持っている。

十四歳の時に現代の日本から異世界に召喚されて魔法使いの弟子になった、なんてきっと誰も信じやしない。


だけどそんなお伽話のような話があたしの現実。

しかもお約束の魔法陣に吸い込まれてとか光に包まれてとかじゃなく、学校帰りに小腹が空いてコンビニで購入したジュ−シ−肉まん(やや高め)に嬉々として噛り付いた次の瞬間には見慣れた通学路ではなく石畳の暗くて窓のないしかも床には訳のわかんない模様の描かれた部屋に突っ立っていたというなんとも締まりなない召喚のされかたでしたね。ええ。しかも召喚した「魔法使い」・・・・現、師匠で当時は胡散臭い奴・・・イヤ、今も胡散臭さは変わってない・・・・?はあたしに怪我がないことを確かめた上で綺麗な顔に麗しい笑顔で。

「召喚はできますが送喚はできません」

とほざいた。



あたし、暴れました。そりゃ暴れ回りました。これでもかってくらい暴れまくった。

さらにあたしの怒りに油を注いだのが奴があたしを召喚した理由。



『弟子が欲しかったって何よそれ!!!』



ふざけんな!弟子なら異世界産のあたしじゃなくて自世界産から選べ!ワザワザ異世界から問答無用で弟子を召喚するのがわからん!っうかあたしは異世界の魔法使いなんて怪しげな奴の弟子になんてなりたくない!

あまりにも馬鹿馬鹿しいかつ酷い理由にあたしは更に暴れまくった。いや〜〜〜〜あんなに心荒んだのは人生初だよ。初!



盛大に暴れ、罵り、「帰せ!」と喚くあたしに自称師匠の魔法使いはにっこり笑った。・・・今ならそれが危険色を孕んだ警告笑顔だってわかるんだけど初対面のあたしにそんなこと読み取れるはずもなく・・・・。


魔法ってズルイよね!一般人太刀打ち出来ないじゃん!

強制的に眠らされたり痺れさせられたり拘束されたりを数回繰り返した結果。暴れる体力をなくしたあたしに魔法使いはゆっくりと手を差しのべ天使のような穏やかな笑顔で神のお告げを伝えるような神々しさを纏い、優しく囁いた。


「私の弟子になるのなら衣食住は保証しますし、あらゆることから貴女をお守りすると我が真名において誓約いたします。しかし弟子になって頂けなければ貴女を守る理由はないので容赦なく追い出します。因みに、こちらの世界の世間は冷たく物騒です。貴女のような若いお嬢さんは呆気なく人さらいに遇ってしまいますね。きっと。ああ、人さらいに遭った女性の末路って知っていますか?」

その後もぺらぺらとここを追い出されたらどういう末路を辿るのか懇切丁寧に説明してくださいましたよ!ええ、そりゃもう無駄なぐらい微細漏らさず詳細に!

あれはもう、恐喝だ!

選択肢なんてないじゃないか!

「どうしますか?」

涼しい顔で手を差し出す奴を睨み付ける。弟子なんて嫌だ。だって人の意思無視して異世界の人間を召喚するような奴だよ?危ないじゃん。

危険性は色々思い浮かぶし目の前の人物はどうにも信用ならない。だけど・・・どう考えてもその手を掴む以外の選択肢が見つからない。

「わかった、弟子に、なる」

断腸の思いで手を掴んだあたしに魔法使いが微かに笑った気配がした。

その日からあたしの異世界魔法使いの弟子ライフが始まったのである。

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