SRPG Studio の仕様をまるで知らない人間が、AIを使ってプラグインを作れるのか試した記録
◆
そもそもの発端はとあるディスコードサーバーで、ある人が個人開発のゲームの話をしたことからはじまる。
ある人──これをAさんとする。
AさんはSRPG Studioという結構古いゲームエンジンを使って仲間たちとSRPGを作っているのだが、ここしばらく進捗が停滞しているらしい。ちなみにSRPG Studioで作れるゲームはざっくばらんに言うとファイアーエムブレムみたいなやつである。
プログラム担当の人の体調が良くなかったり、そもそも何年も開発しつづけているから多くの人が中だるみしてしまっていたり。
そんな中、じゃあAIを作成支援に使ったらという話が出た。出したのは私だったか、他の人だったか……。が、AさんはAIは二年前にAIでの作成を試していて、当時のAIではポンコツもいいところで使えねえなという結論に達したらしい。
私はその結論に対してちょっとした疑問を抱いた。なるほど二年前ならばポンコツかもしれない。しかし現在のAIならばどうだろう。当時と現在ではAIの性能差は段違いで、大雑把に例えるならばラディッツとセル編悟空くらいの差がある。
まあそんなわけでAIの利点やらを書いていた私だが、なんとAさんがプログラム担当の人にそれを伝えた様で、その人から質問をされてしまった。
質問は三つ。要約するとこうなる。
一つ。AIを推奨しているあんたは何者で、プログラミング経歴はどれほどのものか。ちなみに質問者ご本人はアマチュアと専門学生時代を合わせて十四年選手、普段はUnityで作っているガチの人である。
二つ。以前試した時は成果物が動かないことが多発し、動くよう直すには結局スクリプトの知識が要るから「最初から自分で書いたほうが早い」で却下した。この時間・精度・専門性という三重の壁に、解決策はあるのか。
三つ。SRPG Studioはマイナーなエンジンである。つまりAIの学習データに元コードがほとんど無いはずで、生成精度はメジャーなエンジンより著しく落ちると予測される。この原理的な困難にどう対策するのか。そもそもそちらはSRPG Studioをどれだけ知っているのか。
・
・
・
質問に対して私は一般的な回答を返そうとおもったのだが、肝心な事に気づいた。
──そもそもAIはSRPG Studioというエンジンのプラグイン生成が可能なのかどうか
それを全く検証していないのだ。
だから私はまずそれを自分でやってみることにした。
幸い本体の体験版は無料でDL出来る。
私の手元にあるものは本体の体験版、そしてclaude codeのみである。
それ以外には何もない。SRPG Studioの基本的な知識すらもない。
言うまでもなく無謀である──だが私には秘策があった。
それは、私がSRPG Studioについて全くの無知であっても、AIがSRPG Studioについて知悉していればええやんけという根も葉もないモノであった。
私がしたのはまず無料版が入ってるフォルダのパスをコピーし、それをClaude codeに見せて「このゲームエンジンでの開発に特化したCLAUDE.mdを書いて」だ。
ちなみにCLAUDE.mdとはAIに対する作業指示書というか社訓というか、要するに「この作業場ではこう振る舞え」を書き置いておくファイルのことである。AIは仕事のたびにまずこれを読む。読んでから動く。だからここに何を書くかで、AIの挙動はまるで変わってくるのだ。
極論言えば、あなたは小難しい事は何もわからないド淫乱ビッチとして振舞えとかけば、私がなにを聞いても「えーわからなーい(笑)それより〇〇〇(淫語)」みたいなことをほざくクソみたいなAIが出来てしまうのである。
そんなわけで私はまず、SRPG Studioを使用しての開発に特化したAIを作成する事にしたのだった。
◆
結論からいってこれは非常にうまくいき、四本のプラグインを作成させた。
一本目。「ダメージを99に固定するプラグインつくって」。三分で出てきた。修正ゼロ。動いた。
二本目。攻撃時にユニットからカーソルが飛んでいって、着弾してから攻撃が始まる演出。これも三分、修正ゼロ。
三本目。攻撃時にユニットから半透明の矢印が飛ぶやつ。「矢印とかの素材はそっちで適当にみつくろって」という雑な指示を投げたところ、五分で出てきてそのまま動いた。修正なし。五分もかかってない。
四本目。アニメーションに関するプラグイン。斬ったら斬撃エフェクトが出てくるとか、倒したら爆発するとか。これも余裕であった。AIは画像や動画からコマ割り画像を作成し、それを並べる外部エディタを作った。それで作り上げたモーションセットをSRPG Studioに取り込み、小規模ながらアニメーションのプラグインも作成できた。なお斬撃素材も爆発素材も、元の画像は全部AIに作成させている。いうまでもなくしっかり動作した。
要するに大成功だったのだ。
◆
最後に。
私自身については多少はcodeを書けるとはいえ、SRPG Studioは見た事も聞いたことも触ったこともない。SRPG Studioの使用方法みたいな説明書は存在するが、それも一行も読んでいない。
しかしAIに目的は何で、その目的達成のために何を揃えて、何が出来るようにして──というような指示が明確であるならば、こんなド素人でもプラグインの一本や二本は平然と作れてしまう。
ただその上で感じた事なのだが、ゲーム作りは大変なんだなという事が実感として理解できた。AIに作らせるにしても相応の対話が必要なのだ。例えば今回、先にSRPG Studio特化のAIを整備していなければ開発は上手くいかなかっただろう。だが、それでもなお、ではある。AIフルでぶん回したとしても、あんな細かい動作の一つ一つを作っていくのはクソ面倒くさい。そら年単位で開発するよなという話。ゲーム制作者は偉大だな!
それはともかくとして、まずは土台だ。
一に土台で二に土台、三四も土台で五も土台である。
AIが十全に能力を発揮出来る土台をどう作るかが肝で、これはもうAIを使って行うあらゆる事に言える。
これは能力とかの問題ではなく、意識の問題だ。
まあともかく、今回の私の目的であるAIの一定の有用性は示せたように思う。




