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ある王国の日常  作者: 晴耕雨読。
王女と彼と、ゆかいな仲間
3/18

ある国の王女の宝石

「日常のひとこま」と少しつながっています。


 まだ読んでいない方はそちらを先に読むことをおすすめします。


※サブタイトルを少しかえました。内容は変わっていません。

 



  ある大きな大陸の


  ある小さな国の話。






  


  

  

 小さいが緑が豊かなその国に、それはそれは麗しい男性がいる。


 襟首にかかる長さのうつくしい銀髪。

 知性を感じさせる瞳は、深い海のいろ。

 すらりとした長身だが、ひ弱な印象をあたえないのは、服の下に隠された、しなやかな筋肉があるからなのだろう。

 剣を腰にさげ、背筋をのばして立っている姿は、おもわず魅入ってしまう。

 無駄のない、きれのある動きは、つい目で追ってしまう。

 実際、そういう人が大勢いた。

 そしてなにより、麗しい顔にいつも浮かべている微笑み。

 その微笑みはまるで物語に登場する------



-----天使のよう。



 すべてをつつみこむような微笑みはどこかほっとする。

 その安心させる微笑みと麗しい姿を裏切らず、女性に優しく、紳士的。

 現実にいる人物にたとえるなら、彼は


 “天使のよう”ではなく“まさに聖人”。



 吟遊詩人は彼をこう謳った。


 その美しさに羨望をこめて。


 その立場に憐れみをこめて。



 “黒薔薇姫の宝石”と。



 周りの人々は知らない。


 そのつつみこむような微笑み。

 それは、自分の容姿を知りつくした、すべてが計算されたものだということを。


 いつも微笑みを保っているということは、自分の思考を読めないようにするための、ある意味の無表情であることを。


 彼が今まで助けてきた人々のほとんどが、権力をもった貴族だということを。



  

「王女。これを」

「? なによ」

「以前、“ハンカチを落とされた”でしょう?」

「……あぁ、“あれ”ね。というかわたし落としてないわよ」

「そのハンカチを“拾って”くれた者からだそうです」

「まさかのスルー!

 ………これがハンカチ?」

「あいにく、私には宝石やシルクの布地にみえます。しかもけっこうな数の。大丈夫ですか?」 

「……最後の問いかけ、どういう意味なのか聞かないでおくわ……。

 この送り主、以前言っていたお姫様のところからよね?」

「おそらく、そうかと」

「こんなに高価なものをたくさん…」


「不思議ですね。あの件、結局は犯人は王女のまま、噂は広まったのに」


「!?」

「ああ、それと。事が起こった次の日に、その落ちてあったハンカチを渡されたので“ありがとうございます。”と言っておきました」

「!!!!!」




その実は

黒薔薇の姫に対して周りが勘違いしているのを知っていながら、誤解を解くどころか、わざとよけいこじらせていることを。


   

だれも知らない。 

 


 

「謝罪の品を送って借りを返そうとするなんて。貸しを作った意味がないじゃありませんか。直接謝罪にこさせますか」


「むしろ、あなたがわたしに謝ってほしいわ」 




 


  

 そして

 彼には大きな秘密があるということは、

  

 黒薔薇の姫さえ知らない。



  

 

 王女・教育係(略)が物語の中心になりますが、


 もっと主要人物をだす予定です。




 次話もよろしくお願いします!




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