ある雑誌の人気コーナー
ある大きな大陸の
ある小さな国の話。
【王宮のここからここまで! ~夜会には危険がいっぱい!?~】
ついにやってきた!
今夜は、どの貴族たちも好奇心を膨らませて、待ち望んでいた夜会。
そこにいたのは何週間も獲物を食べていない飢えた獣と、その獣にねらわれたあわれなか弱いうさきちゃん、であった。
-当日の現場より-
さて、今回“黒薔薇の姫”に狙われた、あわれなか弱いうさぎちゃん。
それは、リリーシェル・シュテンベルクである。
そう、夜会のメインであった、あの“王の隠し子”だ。
彼女は、今回の夜会で正式に王の子と発表され、第二王女となった。
どうやら、王妃<“黒薔薇の姫”の母>の元侍女が、彼女の母親らしい。
ではなぜ、二人は王宮に住んでいなかったのか。
それは、侍女が王の赤子を身ごもったと知ると、王妃がすぐに王宮から追い出したからだった。
その後、追い出された侍女は無事赤子を産み、街で小さな店を経営し生活していた。
今まで彼女は街で針子として働いていたのだ。
さて、街の針子から国の王女となった、
シンデレラガールのリリーシェル。
彼女の容姿は、王とそっくりな金髪に緑眼。
ふわりとした髪質や、くりっとした二重も王にそっくり!(これで彼女が王と血が繋がってない、とは誰もいえないだろう)
王の色素をそのまま受け継いだフロックス王子とまさに姉弟!というかんじである。
ぜひ、一緒にいるところをそばで見たい。
また、淡い桃色のドレスが彼女の柔らかな雰囲気とよく似合う。
緊張でピンクに染まった頬は、おもわず頬ずりしたくなる。
なれないドレスや夜会で、ぷるぷる震えているのも、庇護欲をかきたられる。それに……
おおっと、話がずれてしまった。この続きが知りたい方は67ページで!
さて、ここ数週間、悪事の噂が流れなかった、飢えた獣----もとい、“黒薔薇の姫”。
「あの“黒薔薇の姫”が!?」「もうこの国は滅ぶ……!」と、たくさんの人々に心配されていた。
だが、みなさん安心してほしい。
どうやらその間“黒薔薇の姫”は次の獲物のための準備をしていたらしいのだ。
そこで「なんの準備だ?」と聞くのは野暮なことである。
今回の夜会も“黒薔薇の姫”存在感は、とてつもなかった!
ドレスの色は通り名にふさわしく、黒。身体にぴったりとしたデザインも、彼女の魅力を最大限にひきだしていた。
そして、“黒薔薇の姫”といえば、
みんなのアイドル、アーネスト・ダーウィン!
主をひきたてるかのように、ところどころ金をあしらった白の正装。
その華美な正装も、普通の者が着れば服に着られている感がぬぐえないのに、彼は見事に着こなしていた。
また、この二人が入室したとき“黒薔薇の姫”がしゃべるまで誰一人うごかない・しゃべらない、というのは、もうお約束である。
(というか、二人の圧倒的な美貌・存在感に意識がとんで、うごけない・しゃべれないのだ。実際、あまりの衝撃に失神したものや、一時心拍停止になるものが続出する。今回も初デビューした者を中心に数名被害が出た)
絶世の美貌。
黒と白。 悪と善。
たしかに、優しいアーネスト・ダーウィンをふりまわしている、わがままな“黒薔薇の姫”を悪くいうものは多い。
だが、彼女ほど彼にふさわしい者はいないだろう。
容姿はもちろん、性格でも。
おおっと。
これ以上いうと、アーネスト・ダーウィンのファンクラブたちに命をねらわれかねないので、ここまでにしておくが。
ああ、ちなみに。話がそれてしまうのは、わたしの個性なのでご愛嬌。
話をもどそう。……と、その前に。
忘れていた、もしくは知らないあなたに、もう一つ。
さて、可愛らしい第二王女に、妖艶な“黒薔薇の姫”。
実は、16歳と17歳!
一歳しか年が変わらないというのだから驚きである。
(特に“黒薔薇の姫”が17歳ということが。)
では、今回の見所!
この夜会で、彼女へ“黒薔薇の姫”の一言。
「わたし、あなたが来るのをたのしみにしてたの。これからよろしくお願いいたしますわ」
まさに宣戦布告、いや、獲物をおいつめはじめる、合図。
そして、極めつけは、あの微笑。
おもわず吸い込まれてしまいそうな、底知れない瞳。
その瞳はすべてを見透かしまうような鋭さがある。
口元が微笑んでいることでそれがより強調され、「どんな仕打ちをされるのだろう」と、いっそう恐怖をかりたてられる。
“黒薔薇の姫”の妖艶な雰囲気も、余裕のあるその態度も、さらにそれを煽った。
----まるで 「逃がさない」 と、いっているようで。
はたして、うさぎちゃんは飢えた獣から逃げ切れるのか……!?
次号も、ご期待!!
by アルレロト雑誌 記者 リディア
この夜会に参加していたものは、のちに発行されたある雑誌の記事を読んで、“ああ、たしかに。うまく的を射ているな”と、書いた記者を絶賛した。
------そして、この記事を知ったルクレティアは寝込むことになったのだか、それはまだ後の話。
人気を聞きつけた侍女、ネリネに伝える
↓
ネリネ、興味をもつ
↓
買う
↓
ほくほく顔のネリネ
↓
ルクレティアに見せる
↓
数分後、ベットの中でうなされているルクレティア
+
嬉々として介護をするアーネスト
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平和?
ありがとうございました。次話もよろしくおねがいします。