第58話
投稿者:土方のわし 2026年7月20日
やったぜ。今日は次郎という名の、一ミリの隙もなく震える「極小・精密バイブス(命)」を連れての、初めての走行試験(散歩)じゃ。
七月の熱気が、アスファルトという名の「灼熱の祭壇」からドバーっと一気に立ち昇り、鼻を一ミリの隙もなくひくひくさせると、焦げたゴムという名の不純物と、野良犬のマーキングという名の「卑しい芳香成分」がドロドロに盛り合っとるわ。あぁ~~たまらねえぜ。
だが、わしの前には一ミリの猶予もなく、巨大な「暗黒の深淵」が横たわっとった。
側溝のグレーチング……あの量産型・鋼鉄製の「あみあみ」じゃ。
次郎の奴、その「鉄の檻」の前でじりじりと足をシステム停止させ、白濁したような瞳を震わせおった。
わしら土方にとっては、毎日ドロドロの安全靴で踏みにじっとる、ただの「排水出口」に過ぎん鉄板じゃ。だが、次郎という名の極小ユニットにとっては、そこは喉の奥底まで一気に吸い込まれそうな「暗黒の監獄」に見えとるんじゃな。
「……次郎、これしきの鋼鉄格子、一ミリの隙もなく一気に突うずるっ込め!」
リードという名の「通信ケーブル」を舐めるように引いてみたが、次郎は四本の細い足を、一ミリの狂いもなく突っ張らせて、身悶えしながら出力拒絶しよる。もう、おえんわ。この小さき者の「生の意地」、気が狂う程もどかしいのう。
太郎という名の「先行導入・大型重機」はといえば、そんな次郎を嘲笑うかのように、あみあみの上を「やったぜ。」と言わんばかりの正常稼働(ドヤ顔)で、ブンブンと尻尾を振って一気に渡りきりおった。汚れ好きの兄貴分め。
あぁー、もうめちゃくちゃや。一ミリの出口も見当たらん。
次郎が動かん。わしは側溝の横で、55歳の経年劣化しおった肉体をじりじりと屈め、次郎の白濁した瞳を舐めるように、一ミリの隙もなく見つめ続けた。
通行人という名の「外部監査役」が、土方姿の変態親父がチワワと至近距離で見つめ合っとる姿を、不審者という名の「システムエラー」として鼻をひくひくさせて通り過ぎていきよる。
それからはもうめちゃくちゃや。次郎を一気に抱きかかえて深淵を空中パージ(飛び越え)させ、そのままローソンという名の「緊急資材補給所」へとドバーっと吸い寄せられたわ。買ったのは、次郎への懐柔策という名の「高密度・高級ジャーキー」と、いつもの黄色いラベルという名の聖水(洗浄液)じゃ。
――もう一度、次郎が己の足(駆動部)で、未知なる出口を切り拓く姿を喉の奥底まで流し込みたいのう。
アパートの床という名の「拠点」で、ジャーキーという名の「生の報酬」を貪る次郎を舐めるように眺めながら、わしは安酒を一気に喉の奥底まで流し込んだわ。
こんな変態親父と、深夜の「側溝・突破遊び」、しないか。
あぁ~~早く、一ミリの段差もない「平坦な道」まみれになりたいのう。
岡山の路地裏、あみあみの横で、次郎の振動(震え)が収まるのを舐めるように監視しながら、一ミリの狂いもなく待っとるぞ。
――極小ユニットの進路を一気に確保する「高分子・段差解消ユニット(スロープ)」をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。
土方姿を脱ぎ捨てて、55歳のわしは次郎という名の「震える勇者」を、ドバーっと全力でリードの出口まで導いてやるんじゃ。




