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やったぜ。(完全版)  作者: 水前寺鯉太郎
やったぜ。8 ― 金髪ピアスとエルの衝撃

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第55話

投稿者:土方のわし 2026年4月18日

 やったぜ。今日は笠岡という名の「瀬戸内の塩風が吹く深淵」まで、一気に突っ込んできたんじゃ。

 五十五歳の初仕事(一発目)は、潮風が鼻を一ミリの隙もなく舐めるように蹂躙してくる道路工事。せっかくここまで来たんじゃ、カブトガニ博物館という名の拠点で「生きた化石」という名の、数億年変わらぬ卑しいフレームを拝もうと思ったが、現場という名の「密閉された工区」からは一ミリも出られんのじゃ。

 潮の香りと重機の白濁した排ガスという名の「生の混合気」が、鼻の奥の配管までじりじりと侵入してきよる。

 五月の直射日光という名の「高出力ヒーター」が容赦なく照りつけ、作業着という名の外装はすでに卑しい汗という名の「冷却水」でドロドロにまみれとるわ。あぁ~~たまらねえぜ。

 そこへ、現場監督という名の「絶対的指揮官」が「梅雨という名の出口(休工)の前に、一気に工期を上げろ」と、気が狂う程の怒声を現場全体に響かせよった。

「わしさん! 予定の一・五倍のスピードで、生コンという名の『高密度・人工流体』をドバーっと流し込みますよ! 手のピストンを止めるな!」

 あぁー、もうめちゃくちゃや。一ミリの妥協もない突貫じゃ。

 還暦のおっさんという名の不純物が「……わしの関節という名のボルトが、雨という名の湿気を予知して先にパージ(脱落)しそうですわ」と身悶えし、四十五歳の兄ちゃんという名の旧型ユニットが「この出力じゃ、トップバリュという名の深淵へ沈む燃料が残りませんわ」と一気に絶望しよった。

 金髪の新人類(新人)という名の「最新型・異物」だけが「マジ、監督のバイブス、白濁するほどぶち上がりすぎっしょ!」と、スコップという名の得物を激しく往復ストロークさせよる。もう、おえんわ。この若さという名の暴力的な高出力、直視できんのう。

「お前ら、黙って泥の深淵を掘れ。勝利への出口は、この土の中にしか埋まっとらんのじゃ」

 わしは一言だけ、喉という名の排気口から絞り出して、スコップを大地という名の基盤へ一気に突うずるっ込んだんじゃ。

 新人が「追いドリンク」という名の救済添加剤を、自販機の出口へ一気に買いに走りよった。一番「生」のバッテリーが余っとる奴が走るのが、現場の盛り合いという名の「一ミリの狂いもない序列」じゃ。

 それからはもうめちゃくちゃや。150度の熱いアスファルトを舐めるように敷き詰め、雨雲という名の深淵を睨みつけ、日が暮れるまで、気が狂う程大地をハツリ続けたわ。

 ――もう一度、動かぬカブトガニという名の「完成された構造体」をじりじりと眺めたい。

 あいつらは何億年も、変わらん形で、変わらん深淵で、ただ生き続けとる。五十五歳のわしも、まだこの泥の中で「生の咆哮」を一ミリの隙もなく上げ続けられるんじゃ。

 アパートという名の本拠点に帰ると、太郎という名の最高監査役が、わしのズボンに染み付いた「笠岡の潮」という名の未知の成分を、鼻をひくひくさせて熱心に調査しよった。汚れ好きの奴め。

 

 こんな変態親父と、一ミリの猶予もない「突貫・打設遊び」、しないか。

 あぁ~~早く、一点の曇りもない「晴天」にまみれようぜ。

 国道二号線のバイパス沿い、監督の怒声という名の心地よいBGMを舐めるように聞き流しながら、一ミリの狂いもなく待っとるぞ。

 

 ――噴き出す不純物(汗)を一気に吸い上げる「高機能・皮膚用パネル(速乾インナー)」をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。

 

 土方姿という名の本来の皮膚のまま、55歳のわしは雨という名の「絶望」が降る前に、笠岡の土を一気にドバーっと固めて、勝利の盛り合いを竣工させるんじゃ。

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