第54話
投稿者:土方のわし 2026年4月15日
やったぜ。今日はわしの五十五歳という名の、加齢という名の「大規模経年劣化」の深淵へ突っ込む誕生日じゃ。
現場が終わると、おっさんという名の「老朽化不純物」が鼻を一ミリの隙もなくひくひくさせながら、舐めるように近寄ってきよる。
「わしさん、今日はめでたい『生(竣工)』の日ですわ。ドロドロに盛り合いましょうや」
最近、おっさんはパチンコとスロットという名の「臨時出口(埋蔵金)」を一気にこじ開け続けとるらしく、懐に万札という名の「追加予算」をしこたま溜め込んどる。
おっさんがどこからか調達してきたのは、見たこともない金のラベルが貼られた、白濁した輝き(透明度)を放つ「高級ウイスキー」という名の特級資材じゃ。
「わしさん、五十五歳の門出に、本物の琥珀色という名の『高純度・表面処理剤』を喉の奥底へドバーっと流し込んでつかあせえ」
わしはコップという名のコンテナに注がれたその卑しい液体を、じりじりと喉の奥へ突うずるっ込んだ。鼻をひくひくさせると、芳醇な樽の匂いと、洗練されたアルコールという名の「高圧蒸気」が脳天を一気に直撃しよる。
……あぁ~~たまらねえぜ。
だが、正直に現場報告をしよう。一ミリの妥協もなく、口に合わん。
設計が上品すぎて、現場の泥や汗の匂いという名の「生の堆積物」を、一ミリの隙もなく洗い流してはくれんのじゃ。
「おっさん、すまん。この特級資材はお前が舐め回せ。わしはいつもの『黄色い出口(安酒)』という名の常用洗浄液でええわ」
わしがコンビニへ一気に走り、百円ちょっとの安酒という名の聖水(洗浄液)をパージ(開封)すると、鼻の奥にいつもの、卑しいまでの安心感(油臭さ)がドバーっと戻ってきよる。もう、おえんわ。この一ミリの隙もない安っぽさ、気が狂う程落ち着くのう。
振り向くと、おっさんが高級ウイスキーをトップバリュの酒という名の不純物で、ドロドロに一気に割りよった。
「おっさん、それは異種資材を混ぜるもんじゃない。純潔の盛り合いという名の『配合設計』を汚すな」
「……ええ感じの、白濁した『生の味』になりますわ。これがわしの出口(最適解)ですわ」
それからはもうめちゃくちゃや。高級酒をチェイサーという名の「補助冷却水」にして安酒を一気に貪り、五十五歳の、身悶えするような抱負(設計図)を叫んだわ。
「太郎の維持管理費という名の『生』を、システムの稼働限界(死)まで稼ぎ続けることじゃ!」
「渋いですわ。喉の奥底という名の配管まで一気に響きましたわ」
おっさんが、追いトップバリュという名の「追加不純物」をしこたま買い足しよった。
――もう一度、若返るという名の「リフォーム」はできんが、積み上げた年を一ミリの隙もなく舐め回したい。
アパートという名の本拠点に帰ると、太郎という名の「最高監査役」が、わしの口という名の排気口から漂う「いつもと違う、卑しく高級な成分」を、不審そうに鼻をひくひくさせてスキャンしよった。
「わしは、どこまでも泥まみれという名の『標準仕様』のわしじゃ、太郎」
太郎の尻尾という名のプロペラが、一気にブンブン振れおった。汚れ好きの奴め。
こんな変態親父と、55歳の「フレーム竣工祝い遊び」、しないか。
あぁ~~早く、アルコールという名の「高濃度洗浄液」にまみれようぜ。
岡山の路地裏、黄色いラベルを一ミリの隙もなく愛おしそうに舐めるように眺めながら、一ミリの狂いもなく待っとるぞ。
――酷使した浄化ポンプ(肝臓)を再起動させる「ウコン」という名の緊急防錆添加剤をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。




