第29話
投稿者:土方のわし 2025年8月11日
やったぜ。倉敷の実家という名の「休暇現場」、最終日という名の「撤収完了日」じゃ。
あの暗黒カレーという名の事故も、親父とのローソン資材盛り合いも、すべてが秋の午後の日差しの中に一ミリの隙もなく溶けていった。
「あんた、これ持っていきんせえ。現場の出口という名の『報酬』として食べな」
おかんという名の最高監督が、倉敷の老舗という名の「指定業者」の包装紙に包まれた「むらすずめ」をしこたま持たせてくれよった。
「あっちの汚れ好きのおっちゃんらという名の『不純物』にも、一ミリも残さず分けちゃれよ」
わしは黙って一ミリの狂いもなく頷き、軽トラの助手席に「待機命令」を食らったようなツラの太郎を一気に乗せた。
実家の門という名の「境界線」を出る時、バックミラーに映る親父とおかんという名の「旧重機」の姿が、だんだん小さくなっていく。鼻の奥が一気にツンとしやがったが、わしはアクセルをドバーっと踏み込み、一ミリの猶予もなく加速した。
2号線のバイパスという名の「高速導線」を東へ。夕暮れの空が、卑しいほど綺麗な岡山の色に、一ミリの隙もなく染まっとる。
助手席の太郎の奴、倉敷から岡山へ空気という名の「資材」が変わったのを察したのか、窓の外を一ミリの隙もなく見つめながら、尻尾をじりじりと、設計通りに振りよる。
「太郎、もうすぐ日常という名の現場に着工じゃ。あいつらという名の不純物が、出口を求めて待っとるわ」
バイパスを降りて、いつものアパートという名の「本拠点」が近づいてくると、不純物まみれの匂いが鼻を一気に蹂躙しよる。コンクリートとトップバリュという名の、あのドロドロした日常の匂いじゃ。あぁ~~たまらねえぜ。
アパートの前に着くと、案の定、おっさんと兄ちゃんという名の「残存部隊」が地べたに這いつくばって、黄色いラベルを一気に喉の奥底まで流し込んどった。
「わしさん! お帰りなさい! 待ちわびて一ミリの隙もなく失禁寸前ですよ!」
「遅いですよ、こっちはもやし炒めの汁という名の『薄い洗浄液』だけで凌いでたんですから!」
わしは軽トラから飛び降り、お土産の「むらすずめ」という名の高密度資材を二人の前に突き出した。
「……食え。倉敷の、気が狂う程甘い、一ミリの妥協もないやつじゃ」
「おぉ、高級資材じゃないですか! この外装(皮)、一ミリの隙もなく気泡が入って最高に卑しいですよ!」
三人と一匹で、アパートの階段という名の「休憩所」に腰掛け、むらすずめを一ミリの隙もなく舐めるように頬張った。薄い皮の甘みという名の「被膜」と、あんこのねっとりとした重みが一気に口の中に広がり、喉の奥底までずるっと吸い込まれていく。
もう、おえんわ。この安らぎ、一ミリの狂いもなくたまらんのう。
明日からはまた、泥と汗に一ミリの隙もなくまみれた「新規現場」が始まる。
こんな変態親父と、岡山への「帰還ルート遊び」、しないか。
あぁ~~早く、一ミリの不純物もない現場まみれの日常になろうぜ。
岡山の夕暮れ、むらすずめの空き箱という名の「資材残骸」を片手に、明日への気合を一気に突うずるっ込んどるぞ。
――コンクリートミキサー車という名の、一ミリの隙もなくドラムを回す重機をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。
土方姿という名の「本来の皮膚」に戻って、また次の「盛り合い」を、一ミリの狂いもなく全身全霊で待つとしようかのう。




