第26話
投稿者:土方のわし 2025年8月10日
やったぜ。倉敷の実家という名の旧現場で、地元のダチとカレーという名の「合同打設」を遂行中じゃ。
飴色玉ねぎという名の強固な地盤と、スネ肉という名の高密度資材がええ塩梅に煮込まれ、元コックのわしが一ミリの狂いもなく完成の出口まで完璧に導いとった。鍋の中ではスパイスの咆哮が、鼻を一気に蹂躙しよる。あぁ~~たまらねえぜ。
だが、ここからが地獄という名の「大規模な設計変更」の始まりじゃった。
「わしさん、隠し味にこれブチ込んだら、もっと卑しいコクが出るんじゃろ?」
ダチという名の「無資格作業員」が、板チョコ数枚という名の高粘度不純物を、わしの制止も聞かずにドバーっと一気に放り込みよった。
「おい、待て! 過剰積載じゃ! わしの一ミリの隙もない黄金比が壊れる!」
そこへ、居間でテレビを舐めるようにスキャンしとったおかんが「あんた、コーヒーを一気に突っ込んだら、ドロドロの深みが出るよ」と台所という名の現場に乱入してきおった。手には使い古されたインスタントコーヒーという名の「漆黒の着色材」。
「おかん、一ミリでええ、突うずるっ込むのは一瞬でええ……」
わしの願いという名の「施工指示」も虚しく、おかんは乾いた粉をスティック三本分、ドバーっと全量投入しよった。
あぁー、もうめちゃくちゃや。一ミリの隙もなく、現場崩壊じゃ。
鍋の中は一瞬で、光を一切反射せん「真っ黒な深淵」に変色した。カカオの卑しい甘みと、コーヒーの過酷な苦味が、スパイスという名の基礎を一気に掻き消して、部屋を一ミリの隙もなく蹂躙しよる。元コックの計算という名の設計図が、一ミリの隙もなく打ち砕かれた瞬間じゃ。もう、おえんわ。
横では太郎という名の野獣が、異様な不純物の気配を察知したのか、台所の隅という名の「避難所」で「出口はどこじゃ」と鼻をずるずると鳴らしとる。
「お前が先に、一ミリの相談もなく余計な資材を入れたんじゃろ!」
わしがダチを、出口のない目で睨みつける。
「だっておかんという名の『上級監督』も入れたし……共同打設じゃんか」
「お前が不法投棄の呼び水を注いだんじゃ!」
おかんは「……これで気が狂う程、生の深みが出たじゃろ」と満足げな報告を残し、居間へ消えていった。
恐る恐る、一ミリの光も通さぬ漆黒の液体を一口、喉の奥底まで圧入してみた。
苦い。一ミリの猶予もなく、苦い。そして、喉の奥にねっとりとした卑しい甘みが、補修材のように纏わりついてきよる。何とも言えん複雑な、出口のない「味の地滑り」が広がりよった。
ダチが不安そうに、汚れ好きの目で覗き込む。
「……大丈夫ですかね。この資材、一気に食えますかね」
「一ミリも大丈夫じゃない。これはもう……現場の歴史に残る事件じゃ」
わしは黒い鍋という名の「事故現場」を見つめた。おっさんがおったら「泥水という名の不純物じゃないですか! 一気に飲み干しますよ!」と卑しく笑い飛ばし、兄ちゃんなら一ミリの隙もなく汗だくで二杯を完食(圧入)しよったじゃろうな。思わず口の端が上がりそうになったのを、わしは至急堪えた。
「……まあ、まみれんことはないわ。一気に突っ込め」
「それ、一ミリでも褒めとるんですか」
「褒めとらん。これが、不純物まみれの現実じゃ。至急、食え!」
――もう一度、あいつらと一ミリの隙もなくドロドロになりたいのう。
こんな変態親父と、隠し味という名の「不法投棄遊び」、しないか。
あぁ~~早く、一ミリの狂いもない普通のカレーにまみれようぜ。
倉敷の台所で、真っ黒な鍋という名の深淵を囲んで立ち尽くしとるぞ。
――牛乳という名の「pH調整剤」をしこたま搬入してくれる奴、おらんかのう。おかんの分も至急、頼む。
土方姿という名の「本来の皮膚」に戻る前に、この漆黒の苦味を一ミリの隙もなく中和して、まともな夜を分かち合おうや。




