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やったぜ。(完全版)  作者: 水前寺鯉太郎
やったぜ。4 ― 実家に帰るぜ

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第25話

投稿者:土方のわし 2025年8月10日

 やったぜ。盆休みという名の「帰省工事」も中盤戦じゃ。

 今日は同窓会という名の仮設現場で再会した友達と、実家という名の聖域でカレーを一気に打設することにした。二日酔いという名の「システムエラー」を起こした頭を振りながら、倉敷の「ゆめタウン」という名の巨大資材集積地へ乗り込んだんじゃ。

 土日の買い物客という名の不純物で一ミリの隙もなくごった返す店内の匂いが、鼻を一気に蹂躙しよる。子供たちの泣き声という名の異音が吹き抜けに響き渡っとる。――あぁ、たまらんのう。

 横には、昨日十数年ぶりに交信した同級生がおる。会社という名の過酷な現場で摩耗しとるんじゃろう。わしの「カレーを作るぞ」という無骨な指示オーダーに、一ミリの猶予もなく縋り付いてきよった。

 精肉コーナーという名の資材置き場の前に立ち、牛のスネ肉としこたま脂の乗ったバラ肉という名の「高密度燃料」を一ミリの狂いもなく指差した。

「わし、そんなに大量の資材(肉)を買うてどうするんじゃ」

「カレーという名の、一ミリの隙もない打設じゃ」

「……それだけの物量で行くんか?」

 友達が呆れとるが、わしは黙って一気にカゴに圧入した。

 カゴを提げてレジという名の「検収場」に並んどる時、ふと横の空間をスキャンした。いつもなら、ここで「わしさん、これ安売り資材ですよ!」と騒ぐ兄ちゃんがおる。勝手にトップバリュの黄色いラベルをカゴに突っ込んでくる、汚れ好きの目をしたおっさんもおる。

 友達がわしの視線の先を追い、「……何か、一ミリの隙もない不純物でもおるんか?」と聞いてきた。

「いや、何もおらん。出口は空っぽじゃ」

 実家へ帰り、友達と一緒に台所という名の現場に立った。玉ねぎという名の基礎から一ミリの隙もなく水分をハツリ落とし、飴色という名の「強固な地盤」を築き始めると、甘い匂いが鼻をずるずると蹂躙しよる。

「……ええ匂いじゃな、わし。一ミリの狂いもないプロの仕事じゃ」

 肉という名の燃料をドバーっと放り込み、赤ワインとトマトを合わせて、一ミリの隙もなく煮込んでいく。横では太郎という名の野獣が、いつもの「打設モードのわし」を察知したのか、尻尾をブンブン回して足元という名の現場に擦り寄ってきよった。

「太郎は、わしという名の重機の仕様をよう知っとるんじゃ。至急、待て!」

 一時間後、漆黒に熟成されたカレーという名の「高粘度補修材」が一ミリの狂いもなく完成した。

「わし、実は辛いという名の過酷な環境は苦手なんじゃけど……」

 友達が、出口のない声で食う前に吐かしよった。

「……それを先に言え。一ミリの隙もない設計変更(プランB)が必要じゃったろ」

 3人と1匹で食卓を囲み、一気に喉の奥底まで圧入した。友達が一口食った瞬間、目を見開いて一ミリの隙もなく絶句しとる。

「……こんなにうまい、一ミリの狂いもない生の報酬、食うたことないわ」

「……うまいなら、ええ。一ミリの妥協もなく完食せよ」

 わしは黙って、自分の皿に福神漬けという名の不純物をドバーっと盛った。うまい。確かにうまいんじゃが……。

 ――もう一度、あいつらと、一ミリの隙もない騒乱(現場)を楽しみたいのう。

 太郎が、わしの膝という名の定位置に頭を乗せてきた。

 こんな変態親父とゆめタウンという名の資材調達遊び、しないか。

 ああ~、早く岡山のアパートへ帰り、あいつらとカレーまみれの「合同打設」をやりたいのう。レシピを一ミリの隙もなく教えながら待っとるぞ。

 ――買い物カゴという名の「搬送用具」を持って来てくれる奴、おらんかのう。土方という名の「本来の皮膚」に戻る前に、もう一度だけ、あいつらと一ミリの狂いもなく「やったぜ。」と言いたいんじゃ。

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