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石の民〜幽体離脱無双〜  作者: つぶり
第二章

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16/16

貴石占い

私はラナと〝アゼ〟のおばちゃんの家へ

向かっていた。


川べりでは、小さい子たちが石を積んで

遊んでいる。

瀬を堰き止めたり、向こう岸まで

橋をかけようとしては、

水に押し切られていた。


私も小さい頃はよくやったな。

もう今は大きいので、やらない。


―でも、これだけは言わせてもらう。


「ちょっと、その石じゃ小さいわよ。

その奥の、それ。そこに置いて。

…そう、それでいいの。次は隣に塔を建てない?」


大きな石を運ぶのは私達が担当。

子ども達は鼻を垂らしながら

小さな石を積み、

しばらくすると水中塔と

石の桟橋が完成した。


少し離れて確かめると、

まあまあ満足のいく出来栄えかしらね。


所々、水を通す部分を付けるのがコツなのよ。

全部堰き止めると水が

溢れて超えちゃうからね。

それから、水中の石は大きめで、

荒く積むのがよろしい。

〝石積み〟の名は伊達じゃないんだから。


いつの間にか、私達もびしょ濡れだ。


「いけない、〝アゼ〟のおばちゃん家に

行くんだった。」


隣でラナが呆れた顔をしている。


「バイバーイ」「また遊ぼう」

「冷える前に上がるのよ」


川の中から皆が手を振っていた。



「どこで道草食ってたんだい」

〝アゼ〟のおばちゃんが開口一番に

そんなことを言う。

子ども達の相手をしただけなのに、

不服だわ。

黙って差し出された手拭いで

顔や身体を拭き、

小芋の蒸したのをつまむ。


〝アゼ〟のおばちゃん家に来る

楽しみの一つがこの小芋だ。

皮は薄く塩気があって、

実はほっくりと、ほのかに甘い。


ラナと競うように食べたら、

すぐになくなってしまった。

美味しかったな。


私達が食べ終わると、

おばちゃんは小さな手提げ袋を

持って来て、ござの上に中身を開けた。


色とりどりの小石が散らばる。

屋内なのにキラキラ、ピカピカ

光を反射している。


「うわーっ、キレイ」

「おばちゃん、これ何?」

私達は身を乗り出す。


「占いに使う石だよ。女たちだけに

伝わるものさ。」


「どうやって使うの?」

「見ててごらん」


〝アゼ〟のおばちゃんは、小石を

手の中に納め、

ハーッ、と息を込めた。


そして膝の上に小石を撒く。

膝からこぼれずに残ったのは、

透明な水晶のかけらが三つ、

紫色の瑪瑙が一つ。


「天気を占ってみたよ。

水晶が多いから、

明日はだいたい晴れだね。」

「私もやりたい」

「じゃあまずはラナからだね。

占いたいものを念じて、

息を込めるんだよ。」


―ハーッ、バラバラ。

おばちゃんより膝が狭いので、

残った石は少ない。


水晶が一つ、琥珀が一つ。

「何を占ったの?」

「今日のご飯。」

「おばちゃん、どうやって読んだらいいの?」

「あらかじめ、どの石が何を意味するのか

決めておくのさ。ラナ、もう一度やってごらん」


―ハーッ、バラバラ。

ラナの膝には地味な石ころが残った。

「今日も団子汁だわ」

ラナが肩を落とす。

「知ってたけど」


「次は私ね。」

私は小石を集め手のひらに乗せた。

キレイだな。


兄さまを占ってみるか。

水晶を、兄さまとする。

―フーッ。

「えいっ」

小石をぶちまけた。


ええと、膝の上には。

黒曜石、紫色の瑪瑙、地味な石ころ。

水晶は膝下に落ちてしまった。

ぞくっと背筋が凍る。


「フィオナや、何を占ったんだい」

「…ううん、私も今日のご飯。

おばちゃん、膝に残らない石には

どう言う意味があるの?」

「占いに関係ないか、

あるいは、占いたいそのものだった場合は

手元に残らないと言うような意味だね。」


私達は〝アゼ〟のおばちゃん家を出た。


『これは生涯身につけるものだ。

お前たちそのものと同じだよ。

決して無くすんじゃないよ。』

〝アゼ〟のおばちゃんはそう言って、

私たち一人ひとりに

小石の袋をプレゼントしてくれた。


革の小袋で、青い糸で渦巻きみたいな

模様が刺繍してある。袋も可愛い。


だけど私の心には、

先ほどの占いの結果が

引っかかったままだった。







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