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石の民〜幽体離脱無双〜  作者: つぶり
第二章

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13/13

赤い石

オレは意識を身体に戻す。

足音を殺し、魔物に近づく。

ゆっくりと呼吸を整え、

弓を引き絞る。


確信を得た瞬間、矢を放った。


ヒュン


空気を切り裂き、たちまち矢は

ウサギの肉体に突き立つ。


仕留めたか?!


——ウサギの頭がこちらを向いた。


眼が無いのに見ている。

 ドゥン、と森が震えた。


周囲の空気が、振動というより

“怒り”そのものに変質していく。


木々の葉が逆巻き、枯葉が舞い上がる。

オレは咄嗟に地に手をついた。


そのすぐ上を、見えない衝撃が掠める。


ビシッ

背後では、直撃を受けた木の幹に

亀裂が生じ、めきめきと音を立てつつ、

ゆっくり倒れた。


矢は効かない。それにこの攻撃。

一体どうすれば…!


ウサギの口が歪み、

白い歯が並んだその隙間から、

ねばつく息が吐き出された。


『……オマエ……ミツケタ……』


 低く、擦れた声。

オレの腹の底を冷たいものが走った。


 ウサギの姿がぶれ、二重に見える。

影が大きく膨らむ。


——来る。


黒い半身から無数の棘が伸び、地面を抉る。

棘の先端は、触れた枯葉を黒く腐らせた。


 「〝気楯〟」


 両掌を押し出し、気を楯状に展開。

棘が楯に突き刺さり、ジジッと焼ける音が響く


——割れる

盾に亀裂が入った瞬間、

ウサギの口が裂けたように開く。


 『グ……アァ……!』


嗤っている。腐蝕した息が吹きつける。


「があぁっ」


楯ごと溶かされ、

オレの左腕に黒い痣が広がる。

冷たく、焦げるような痛み。


敗北の予感が背中に広がり始める。


その時ふと、探知で感じた“棘”の

波形を思い出した。

もしかしたら。


地面に両の掌をつき、気を集める。

〝棘〟の波形を逆になぞるような形で

制御波を作り、そのまま地脈に送り込む。

ウサギの足元から白い光の

輪が立ちのぼり、囲んだ。


「〝逆相〟」

『…ギーッ!…』

白光は黒い霧を覆うように広がり、

打ち消して行く。

ウサギの姿はぶれ始め、

白いウサギと、黒い何かが分離し始めた。


下腹に赤黒く脈打つ光が、

2つの存在を結びつけているのが見えた。


素早く駆け寄り、石刃をウサギの

腹に突き立てる。

切り口に手を突き入れ、

赤黒く脈動する核を掴み

引き抜いた。


その瞬間。

黒い存在はかき消え、

全身白い毛皮で覆われたウサギが

目の前に横たわっていた。


掌を見ると、透き通った鮮やかな赤い石が

残されていた。



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