筆者あとがき:氷姫と猫と私の初挑戦
みなさん、拙い作品をお読みいただき、ありがとうございます!初めて悪役令嬢ものに挑戦した新米作者です。
「氷姫令嬢と灰色の使者」は、私の中で長い間温めていたアイデアでした。悪役令嬢といえば、ふわふわした金髪に青い瞳、高笑いが定番ですが、あえて「氷のように冷たい黒髪の令嬢」を主人公にしてみました。クラリスが最初は嫌な奴なのに、なぜか応援したくなる…そんなキャラクターを目指しました。
執筆中、一番苦労したのは「毒舌なのに憎めない」さじ加減です。何度も書き直して、友人に「まだ嫌な奴過ぎる」「今度は優しすぎる」とダメ出しされました(笑) 実は家で飼っている気まぐれな黒猫をモデルに、ツンデレ感を表現しようとしたんです。
アッシュの名前は私の祖母が昔飼っていた猫から取りました。灰色の毛並みに青い瞳…実在した猫です。祖母は「猫は人の心を見抜く」とよく言っていて、それがこの物語の核になりました。
また、母と娘の関係性にも特にこだわりました。クラリスの母の最期の言葉「心まで氷にしてはいけない」は、実は私自身の母が幼い頃に言ってくれた言葉です。強くあることと冷たくなることは違う—この言葉を物語のテーマにしたかったのです。
薔薇園のシーンを書いているとき、なぜか涙が止まらなくなりました。予定していなかった展開でしたが、物語が自分の手を離れて勝手に進んでいくような不思議な体験でした。クラリスとエマとアッシュが私の頭の中で生き始めた瞬間です。
実は続編も考えていて、クラリスが学院で起こす「優しさ革命」や、アルトレイド家の秘密の歴史についても描きたいと思っています。いつか書けたらいいなぁ。
最後に、悪役令嬢ものが好きな皆さんへ。王道から少し外れた今回の作品を楽しんでいただけたなら幸いです。完璧を装いながらも、内に優しさを秘めた人々への応援歌になればと思います。どんな高い壁にも、小さな猫は登れるのですから。
次回作も応援してくださると嬉しいです! コメント欄でみなさんの感想や、他におすすめの悪役令嬢作品があれば教えてくださいね。一緒に悪役令嬢沼を深めていきましょう!