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ゲーム 5
この街は治安が悪く、夜になると危ない。
いろはは暗い道のりを走って約10分で帰宅した。
『ピンポーン。』
はあはあと息を切らしながらインターホンを鳴らした。
『バン!』
彩子は不機嫌そうに扉を開けた。
「あんた!
何時だと思ってるの!?
早く入りなさい!!」
叱責されたいろはが中に入ると彩子はすぐ鍵をかけた。
「全く!
門限は19時まででしょ!
それに今この街で夜遅くに犯罪が起きてるのよ!
何かあったらどうするの!」
そう説教されたいろはは頭の中が真白になった。
「部活もしないし友達も作らないし…!
ねえ、聞いてるの!!」
「…るさい。」
「…え?」
「五月蝿いよお母さん!!
いつも過保護ばかり!!
部活なんかしなくても私はある程度なら勉強できる!!
友達なんかいなくても恋人がいれば私は生きていける!!
私はお母さんの人形なんかじゃない!!
お母さんなんか大嫌い!!」
そういうといろははかけ足で自室のある二階へ登った。
彩子は困った顔をした。
いろはのベッドからは籠もった声が聞こえた。
「もう、どうすればいいか分からない…。」