ゲーム 3
時は新学期が始まった9月。
この日は午前中に帰った。
帰宅部で成績が比較的良い、いろはは部活も補習もない。
思えばいろはは夏休みは暇だった。
『ピンポーン。』
帰宅したいろはは家のインターホンを鳴らす。
その時気付いた。
『あっ!』
自分宛てに手紙が届いているのだ。
『きっと勇輝くんからだろう。』
封筒に記されてある差出人の名前を見た。
『えっ?勇輝くんのお母さん?』
何故か差出人は勇輝の母、水瀬優子となっている。
「おかえり!
どうしたの?
早く入りなさい!」
「あ、ただいま!」
いろはは急いで手紙を懐に隠した。
そして家に入った。
自分の部屋に入ったいろはは、はさみを探し手紙の封を解いた。
そして読んだ。
『いろはちゃんへ。
今日和。
小学生以来で覚えているかどうか分かりませんが勇輝の母、水瀬優子です。
勝手に手紙の封を切り、読んでしまいごめんなさい。
実を言うと驚くかも知れませんが今、勇輝は行方不明です。
勇輝を虐めていた人達が関与したのかと疑われ、警察沙汰になりましたが違いました。
折角手紙を送ってくれたのにこんな心配するような内容ですみません。
私は勇輝は生きていると確信しています。
あの子は昔からあんな感じなので心配ですが。
また勇輝と遊んでくれると嬉しいです。
本当にありがとう。
優子より。 』
シンプルなレターセットに釣り合わない内容だった。
いろはは勉強はするがテレビをあまり鑑賞しないため最新のニュースには疎い。
そのため今真実を知りとても反省した。
いろはは顔が真っ青になった。
『どうしよう…。』
いろはは授業中に勇輝のことで苦悩していた。
「はい、ここはx=7ですね、正解!
次佐倉さん!佐倉さん!!」
「あ、はい!!」
「佐倉さん、あなたにしては珍しく聞いてなかったのね!
ちゃんと聞きましょうね!!
授業中ですよ!!」
「すみません…。」
生徒の視線は更にいろはという存在を目立たせた。
いろはは赤面した。
『プルルルル…。』
いろはは母の彩子に電話をかけた。
「はい、佐倉です。」
「お母さん、いろはだよ!
少し用があるから帰り遅くなる!
19時くらいには帰るから!」
「分かったわ。
いいけど最近夜暗くなってきてるから気を付けなさいね。」
「はあい!」
淡々且つきびきびとした彩子の口調にいろはは少し緊張する。
電話を切った後いろはは、とある場所へ向かった。