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ゲーム 1
ここは私立桜海中学校。
共学の学校である。
制服が個性的で洒落ている。
男子も女子もベレー帽にセーラー服である。
勿論、男子はズボン、女子はスカートだが。
その制服目当てで多くの子供たちが受験する。
しかし、ここの生徒、佐倉いろはの理由は違った。
親のエゴイズムでここへ来た。
つまり望んで辿り着いた道ではないという訳だ。
『はあ、勇輝くんに会いたいなあ。』
ここは公立海老中学校。
いろはが受験しなければ通うはずだった中学校である。
制服は男子は紺色の学ラン、女子は紺色のセーラー服とシンプルだ。
そして、この中学校はイジメが多い。
ここの生徒、水瀬勇輝もイジメられっ子の一人。
今日も彼は世間で俗に言う「パシリ」の被害にあっていた。
「俺が言ったのはメロンソーダだろ!
イチゴソーダじゃねえよ!ボケ!」
不良の怒りの鉄拳が勇輝を襲う。
「ごっ、ごめんなさい…。」
「分かったら買い直しだ!いいな!」
「はい…。」
『ああ、いろはちゃんがいたらなあ…。』
そういう想いが今日も勇輝の頭の中をかけ巡る。
そういう想いが常にいろはの頭の中をかけ巡る。