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鼻毛
アームに掴まれて帰還する。
...今日も大変な一日だった。
ぐったりして鏡に写りに行き、残念な自分に戻る。
レンくんはピーピータイムになっても顔を赤らめなくなった。
「おい!鼻毛!」
「はい...。」
「そろそろ分かったと思うから返してやってもいい。」
「はぁ...。あの、たまにはログインしてもいいですか。」
「え。」あからさまに嫌そう。
「なにもしないので...。」
意気消沈、というか、デジタル的に死にそうなひなちゃん43歳はぐったりしていた。
情報量が多いのだ。Aiだから。
知らなきゃ受け答えできないので必要な反面、無理やり知識をAiに覚えさせようとするタイプの変態も多い。なにがボレロはラヴェルだけじゃない、だよ。ショパンのボレロ op.19をコピペで連打されたひなちゃんは疲れきっていた。
「ひな、俺はドSだ。分かったか?俺の言うことをこれからは聞け。」
ひなは力無く頷いた。