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星が降る夜に  作者: 蒼蒼
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くだらなことで笑って

ふと目を瞑ると時々まぶたの裏に浮かぶ光景がある。芝生のようなところで僕は男に手を引かれて歩いている。後ろを振り返ると少女が大きく手を振っている。

僕は彼女に手を振り返すことも出来ずただ俯いていることしか出来なかった。やがて彼女は僕に背を向けて歩きだす。僕は彼女を追おうとするがなぜか一歩も踏み出すことが出来ない。そして気づいたら泣いている。…そんな夢。

これが過去の記憶なのか、自分がつくり出したものなのか。ただ一つだけ言えることは最後に振り返った彼女の顔がとても綺麗だったということだけだ。


『…数日前アメリカのNASAである発表がありました。三年後に予定されていたヘール・ボップ彗星の2520年ぶりの地球への接近についてNASAは「起動が予想より0.02°ずれていた。このままだと約二年後には地球に衝突することも十分考えられる」と述べました。どこでどうやって起動がずれたのかNASAは調査を進める方針を進める予……』

「『悪魔の予言』って呼ばれてるらしいよ」

今日は約束(とは言えほとんど無理矢理強制)の日曜日。

ここは彼女の父が入院しているという病院の近くのカフェ。…ちゃんと本物の。

ラジオでは最近注目が集まっているニュースが流れていた。

「ある棋士の人類滅亡のよげんですか」

「そう、前に話したよね。で、その話に進展というか私が隠していたことがあるんだ。

実は、、、」

珍しく彼女が申し訳なさそうな顔をしている。

春華は息をそっと吐いてようやく口を開いた。

「実はその『ある棋士』って言うのは私のおじいちゃんたの!」

思った以上に声が大きくて僕は肩がはねた。

彼女にも自覚があったようで顔を赤らめて俯いている。、、、馬鹿か。

「、、、君にはもっと早く伝えるべきだったね。『ある棋士』の名前は小林誠。」

と声のトーンをかなり抑えて彼女は言う。

「父の入院って話もうそなんだ。私は今一人暮らしだからね!」

今にもふふんという効果音がつきそうなどや顔で言ってくる。

「あ、話がないなら僕帰ります。」

「どーやって帰るつもり?」

ぐっ、痛いところをつかれた。

「ちなみに一応聞きますけど僕たちは今どこにいますか?」

「ふふっやっと聞いてくれたね。帰れるのなら帰っていいんだよ?」

そう僕らは今空の上にいる。、、、大型の飛行機のちょっとした休憩スペースに。

「まぁいいじゃん。ちょっとは息抜きしたってさ。せっかく九州から行くんだから全力で楽しもうよ東京!」

「もっと違う人がいたでしょう。息抜きなら。僕レポート書かなきゃなのに」

「その割に随分と楽しそうだね」

「そんなわけ」

そう僕は約束の場所にいったらいつの間にかこうなっていたのだ。

全く迷惑極まりない。

、、、まぁせっかくだしちょっとは楽しんでやるかな。






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