表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのお悩み、”恋愛支援部”が解決します  作者: 風野唄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/155

第008話 お礼は食べ物が無難である

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

今朝の感じを見ると毎日話をしているのは本当のように思える。

ただ、あれが嫌悪感を示している表情だったのかは判別が難しい。


人で溢れかえる購買部を眺めながら考える。


「何突っ立てるんだよ。早くしないと弁当売り切れるだろ。」


「古東か。どうせあの中に割り込んでも買えないから、悟り開いて別のこと考えてたんだよ。」


あんな人混みへ果敢に挑戦したら幾つ命があっても足りないだろ。

俺に出来るのは一つくらい弁当が残っているのを祈ることだけ。


「佐倉って苦手な食べもんないよね?」


「ないけど。それがどうしたんだよ。」


問いかけに答える前に購買部の方へ向かっている。

いくら喧嘩の腕に自信があるからと言って、暴力沙汰は良くないだろ。


そう思ったが、古東が何かする訳でもなく勝手に道が開かれる。


二、三分で何事も無かったような顔をして、弁当を二つ持って帰って来た。

彼女自信は満足そうに購入した弁当を見せてくるが、なんとも嬉しいような悲しいような。

当の本人が傷付いている様子がないので良しとするか。


「金額、いくらだった。」


「400円だったけど、もちろんアタシが働いた分もくれないとな。」


「バイトとかしてないからあんまり金持ってないぞ。」


「ジュース一本でいいよ、ジュース一本で。」


それくらいなら良いか。弁当を買って来てくれたのは事実だし、俺も飲み物買おうと思っていたからな。

・・・いや、待よ。

ジュース一本は自販機で大体百五〇円、それが三分の対価だと考えると時給は三千円。

ぼったくられてるのではないだろうか。


「アホなこと考えてる顔してるよ。」


「どんな顔だよ!・・・考えてはいたけど。」


古東とやり取りをしながら自販機へ向かう途中で岡田を発見した。

場所は部活棟へ向かう渡り廊下近く。

昼休みから部室を使うように生徒は多くないため、自販機で飲み物を買う生徒しか通らない。

それも最初の十分程度で、以降完全に無くなる。


こんな場所で何をしているかと思えば、もう一人男子生徒といるのが見えた。

見た目は大人しそうな感じで、一瞬今仲かと思ったが別の生徒だ。


話している様子を見ると穏やかじゃないな。

ストーカー被害に遭っていると知っているので余計にそう考える。

興奮している男子生徒は腕を掴み始めた。


古東を頼る前に体が勝手に動き始めている。

そんことより、一秒でも早く止めなければ。


「おい、アンタちょっと乱暴が過ぎるだろ。」


掴んだ腕を掴み返すとキッと睨んでくる。

しかし、甘いぞ小僧。なんたって、毎日男子生徒から憎悪の目を向けられているからな。


膠着状態が続くと冷静になったのか手の力を緩める。

その隙に岡田は俺の後へと隠れた。


「そういうことかよクソが!お前達絶対に地獄へ落ちるぞ!」


そんな捨て台詞と共に校舎内へと逃げていった。


「ありがとうございました。」


ストーカーだと思ったからと言いそうになったが口を閉ざした。

相談していない人間に知られていると思うと気分は良くないだろう。


「たまたま通り掛かったからな。」


「怖かったので助かりました。私、岡田真衣って言います。お名前聞いても良いですか?」


「佐倉陽太だけど。」


「陽太さんですね。なんかお礼に飲み物でもいかがですか?自販機近いので。」


「いや・・・」


俺はたまたま通り掛かっただけだし、古東に飲み物を奢る約束がある。

どうすれば良いか迷いチラッと古東の方を見ると姿が無くなっていた。

これは情報を聞き出して来いということで良いのだろうか。

後で何か言われたりしないよな?


「困ってたから助けただけで見返りとか要らないから。」


ここで軽く突き放してみる。

奢ってくれるの?とか言うと流石に恩着せがましいからな。


「じゃあ、一緒に昼ご飯食べませんか!少し陽太さんとお話ししてみたいので。」


こっちとしても好都合な誘いを提案される。

食事をしながらだったら、自然な流れで会話も可能だ。


「そんくらいなら良いけど。」


決して、岡田の上目遣いが可愛かったからとかじゃないよ。・・・うん、本当に。

スマホ片手に急いで、古東へ飲み物を奢れなかったことについて謝罪のメッセージを送る。


「あの〜。もしかして、彼女さんとかが居て、そちらで食べる予定でしたか?」


「彼女とかいないから気にしなくて良いよ。」


「そうですか。良かったぁー。」


中庭に設置してあるベンチに腰掛けながら、弁当を開ける。

普段なら視線を集めているはずなのに、今日はやけに快適だ。


同じく弁当箱を取り出して蓋を開ける岡田。

どんな弁当を作っているのかと思い、横目に見ているとかなり手の込んだ料理の数々。


「うまそうだな。」


思わず声が漏れてしまうほどだ。


「ふふっ、食べてみますか?自信作なので味は保証しますよ。」


料理の腕には自信があるらしく、自ら料理の味見を勧めてきた。

彼女の箸でそのまま食べさせようとして来るので、流石にそれは断って蓋の上に置いてもらう。


卵焼きを口の中に入れると、甘い味が口全体に広がる。

甘いと言っても嫌になるしつこい甘ったるさではなく、塩味ばかりの弁当の休憩に丁度良い味付けだ。


「マジでうまいな。普段から弁当を作ってる証拠だな。」


「お口に合っていたようで何よりです。十歳の時からお手伝いをしていたので、六年目になりますね。」


六年間も同じことを続けられるのは才能だ。

それに料理が得意なら男性からモテるのも頷ける。

人懐っこい性格とかなりの料理スキル、そして行動の節々から感じるあざとさ。

もしも俺じゃなければ、すぐに勘違いしてた所だったな。


「話したくなければ話さなくて良いけど、さっきの男は?」


一応、当事者に含まれるので先程のことについて尋ねても怪しまれないはず。


「あれは元カレです。入学したくらいにお付き合いさせてもらったんですけど、色々合わなくて別れたんです。」


「なるほどな。それに納得出来なかった男が逆上したということか。岡田は結構モテると思うけど、今まではそんなトラブルなかったのか?」


「いやいや、私なんて全然モテないですよ!」


踏み入った質問は上手く誤魔化されてしまう。


「私の話より陽太さんの話が聞きたいです。」


俺の話に興味を持っている?

あまり良くない意味で有名だと思っていたが、彼女はそれを知らないのだろうか。


雑談混じりに彼女の情報を聞き出そうと試みる。

しかし、集められたのは簡単なプロフィールが出来るくらいの情報のみ。


これだと普通の昼ご飯を食べただけに思うかも知れないが、気になることも一つあった。

男絡みのトラブルを経験した直後に俺を昼食に誘ったことだ。

お礼という意味合いが含まれているかもしれないが、あまりに積極的過ぎる。

好意を抱いているのではないかと勘違いしてもおかしくない。


「じゃあ、卵焼きありがと。美味かった。」


俺も彼女も弁当を食べ終わったみたいだし、この場から離れることに。


「ちょっと待ってください!・・・連絡先、聞いても良いですか?」


「ちょっと急ぎの用があるから悪い。」


これ以上岡田に接触するのは今度の動きに支障が出ると判断して、関わりの生まれる連絡先の交換は控えた。


岡田との昼食によって、複雑に絡み合った糸が解け始めている気がする。

相談が解決するまでの時間はそう掛からないだろう。

ご覧いただきありがとうございました!

宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。

毎日22時から23時半投稿予定!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ