第051話 話を聞いて欲しいだけの時もある
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「確認なのだけど、あの宮道くんで合っているのよね?」
「あのっていうのがどの人を指しているか分からないけとわ、他に宮道先輩って二人も三人もいるんですか?」
「いないわ。三年生に宮道くんは一人だけ。」
つまり、さっきモテたいが為に出て行った先輩は、既にモテていたということだ。
何もしないでも、相談の一つが解決したな。
「宮道くんに彼女はいないと断言するわ。」
「えっ?本当ですか!?」
「本人がそう言っていたのだから間違いない。」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の顔は穏やかな表情に。
好きになった人と付き合える可能性が生まれたという事実が、どうしようもなく嬉しいのだろう。
「あぁ、後補足事項なんだけど彼は彼女募集中みたいよ。さっき部室に来て、彼女が欲しいと相談に来ていたから。」
「チャンスじゃん!キタキタ!」
両手でガッツポーズを作る。
宮道先輩のことが本当に好きなのが伝わってくる。
「あのー、そんなに好きなら文化祭まで待たなくても良いんじゃないですか?多分だけど、今から行っても上手くいくとおもいますけど。」
「甘いねー!何か記憶に残る瞬間に告白するのが一番ロマンチックじゃんね。」
「文化祭で告白した方が成功率もより高いと思うわ。イベント事ってそれほどのパワーを秘めているもの。」
「さっすが恋愛支援部副部長!よく分かってるじゃないですか!」
七瀬先輩の両手を取って、ブンブンと振る。
それほど共感してくれたことに喜んでいるのか。
俺にはその気持ちが全く分からないけど。
これ以上口を挟んでも、相談者の気分を害してしまうかも知れないのでやめておく。
大人しく彼女の話を聞いておこう。
「相談内容は、宮道くんの彼女の有無を知りたいだったけど、これでお役に立てたかな?」
「完璧過ぎるくらいですよ!後はなんとか自力で頑張ります!って言いたい所なんですけど、どうやって告白しようか迷ってるんですよねー。」
「今まで誰かに告白したり、されたりした経験はあるの?
あるならそれを参考にしてみれば良いと思うけれど。」
腕組みのポーズをして考える。
もしかすると、数えきれないほど経験してきたのかも。
顔や明るい性格を考えると不思議には思わない。
むしろ、これで告白されたことがないと言われた方が信じられない話だ。
「告白したことはないですね。でも、恥ずかしながら告白されたことは何回か。全部、体目当ての最低野郎ばっかりだったので振りましたけど。」
ちょっと悲しいそうに語る。
男の俺には分からないが、体目当てで告白されるのは相当に精神的に来るはずだ。
自分はそれだけの価値しかないのか、簡単に体を許す奴に見えるのかと。
本人も格好が派手なのは理解しているだろうから、尚更に傷つくだろう。
それでも恋愛をしてみたいと思わせた宮道先輩は、実はすごい人なのか。
さっき会っただけでは伝わってこなかったけど。
「そうね。ここは男子の意見を聞いてみましょう。」
やばい、話を振られると思っていなかったので、何も考えていなかった。
「お、俺ですか?うーん、・・・。場所とかはこだわりある人少ないと思うんですけど、二人っきりになれる空間が良いと思いますね。」
自分で言っておいて何だが、あまりには酷い答えだ。
誰にでも思い付くようなことだし、曖昧過ぎる。
ご飯何が良い?肉料理!ぐらい曖昧だ。
「告白は二人っきりの場所で。基本中の基本だけど、忘れないようにしないと。後は後は?」
真剣に聞いているからか、曖昧さを指摘されることもなく次の意見を求められる。
しかし、そんなに求められても、引き出しの少ない俺にとってはこれ以上出てこない。
「えっと、二人はどうだ?」
逃げるようにして意見を求める。
華と凛は互いに顔を見つめ合って、何か案があるかアイコンタクトを取る。
この無言の時間が一番気まずい。
俺がいきなり振ってしまったのが悪いが、早めに何か案を出してくれると助かる。
「ウチは場所とかは分からないですけど、シンプルに愛を伝えると良いんじゃないかと。参考までにこのゲームをですね!」
「おい、しれっとギャルゲをギャルに布教しようとするな。」
鞄から取り出したゲームを凛の鞄に入れ直す。
チラッと見えたタイトルがガッツリ男向けのやつだったな。
色んなゲームに手を出すのは知ってたが、どんな気持ちでプレイするのだろうか。
がっつりヒロイン全員攻略とかか?
「あははは!ちょー面白いね!ちなみにそのゲーム、弟が持ってるやつと同じだね。」
「本当ですか!ならば、是非とも一度プレイを!」
いや、やめてあげて。
弟が可哀想だから。
ただでさえ、姉にギャルゲしているの知られているだけで恥ずかしいのに、貸してとか言われたらどんな顔すれば良いんだよ。
「機会があればやってみようかな。それで、そっちの子は何か案ない?」
「アタシは特に。そういうのって自分の気持ちをぶつけるものですよね?なら、気合いだけあれば良いと思いますよ。」
「・・・そうだよね、それが一番だよね。もう迷うのやめた。性に合わないし。ありがとうね、そこの金髪の子。名前は?」
「古東華ですけど。」
「あぁ、君が古東華ねー。それじゃあ解決したんで、ウチはこの辺で。良い結果になったらまた来ます。」
華の言葉が強く刺さったらしく、席を立って帰る準備を始める。
到底授業を受けれるとは思えない軽そうな鞄を持ち、携帯をいじりながら扉へ。
そのまま帰るかと思ったが、扉から出る前にこちらに向かって一礼。
見た目からは想像が付かないほど、礼儀正しい先輩だな。
「これは解決ってことで良いんですかね?」
「まだ成功したかどうか分からないけど、とりあえずは本人が満足したようだし良いんじゃない。」
「それよりも華ちゃん。勉強の進行具合について詳しくお話しをしましょうか。」
無言で逃げ始める華。
それを逃さないよう距離をジリジリと詰める。
「佐倉くん。その子、逃げないようにして。」
「了解。」
七瀬先輩の命令に逆らうことが出来るわけもなく、言われるがままに。
ただ、絶対俺に遠慮などしない華を武力で止められるはずもない。
それならば、唯一の逃げ道である扉を封じるのみ。
「裏切り者ー!」
「悪いな。上の命令なもんで。」
「こうなったら、これしか。」
俺の背後に隠れて盾の代わりにする。
待て待て、何で鬼の形相で迫って来てるんだよ。
このまま行けば、何もしてない俺まで説教されてしまいそうなんだけど。
「動かないでね佐倉くん。」
「何されそうになってるんですかね俺達。」
「大丈夫、何も怖くないから。」
信用できるかそんな言葉。
「ここは逃げるか。」
俺が扉を開けたら、偶然部室に入ろうとしていたハイラ先生と目が合う。
スーパースターが目の前にいるとかでは無く、一教師相手として気まずい。
「放課後であってもあまり騒ぎ過ぎないように。」
「すみませんでした。」
結局、俺だけが注意を受けることになったが、あの顔をしてた七瀬先輩に説教されるよりは良いだろう。
俺の教訓に七瀬先輩を怒らせないという項目を追加しておこう。
「さて、久しぶりの部活ですね皆さん!張り切って頑張りましょー!」
非常に言いづらいですが、もう二つも相談を解決してますよ。
遅いタイミングのハイラ先生の登場。
一緒に相談を受けることは出来なかったが、教師を始めて初のテスト期間はどうだったかの話で盛り上がった。
どうやら、何問か英語のテストを作ったらしい。
どの問題だったか問題用紙を見直すことにしよう。
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