第005話 よく目立つ二人組
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「そもそも人が少ないよな。」
「大体の生徒は部活あるんだから仕方ないって。」
「望み薄だけど、とりあえず岡田真衣のクラスに行ってみるかぁー。」
糸井さんの話によると彼女は一年D組。
もう人が残っていないだろうが、少しばかりの希望を胸に教室へ。
移動中の俺達は無言だった。
古東に何を聞いて良いのか分からなかったので、自分で話すのを待つしかない。
「佐倉はアタシが恋愛支援部に入ってるの見て笑わないのか。」
どうやら、気になるのはそこだったらしい。
部室で最初に会った時も恥ずかしそうにしていたからな。
だけど、この年齢の女子が恋愛に興味を持つのは全く可笑しな話ではない。
可笑しくないどころか寧ろ健全だ。
例え、それがオタクだろうが、ヤンキーだろうが関係のない話。
「人の興味あるもの笑うのは流石に道徳的じゃないからな。それに古東も普通の女子だと知って安心した。」
「いきなりなんだよ。アタシじゃなければキモがられてた。」
「それは知らなかった。今後のために覚えておくか。」
「勉強になって良かったな。」
彼女の顔を見ると楽しそうに笑っている。
今までの無言が嘘だったかのようだ。
どんな漫画を読んでたのか聞いてみたが、まだそこは恥かしかったようで教えてはくれなかった。
「ここで合ってるよね。てか、中にまだ人がいるみたいだ。」
「なぁ、やっぱり今からでも戻らないか。」
教室にいる生徒は楽しそうに会話をしていた。
そこに全く面識のない生徒二人が詰め寄ったら、いくらなんでも不審に思う。
しかも、古東と俺の組み合わせなら尚更だ。
「相談者がいるんだから、それは出来ない。アイツ、勇気出して恋愛支援部に来たと思う。だから、その想いに応えてやりたいでしょ。」
「か、かっけー。そこら辺の男よりイケメンに見える。」
俺がここにいる元凶になった真には見習ってほしい。
「バカ言ってないでさっさと行く。」
「分かったから、腕引っ張るなって!」
古東によって半ば強引に教室内へ連れ込まれる。
よろけながら入ったからか余計に視線を集めた。
仲間内のコミュニティに突如侵入する部外者に向けられる目線は、決して優しいものではない。
「あのさ、聞きたいことあんだけど。」
話慣れていないのかぶっきらぼうに語り掛ける古東。
それが一層彼女達の不安を掻き立てる。
悪い噂が広まっているので勘違いしてしまうのは仕方ない。
俺は古東の肩にポンと手を置いて、ドンマイと労ってやる。
努力は認めるが今回は残念だったな。
後は俺に任せて欲しいものだ。
「ちょっと聞きたいことがあるから少しだけでも話を。」
「きゃーー!変態で女子を見ると見境がなくなると噂の佐倉くんが喋り掛けてきた!!!」
なんで古東と違って悲鳴が上がるんだよ。
てか、誰だそんな根も葉もない噂流した奴!
陰湿すぎるのにも程があるだろ!
今回は偶々本人がいるから訂正できるが、毎回そうしていく訳にもいかないだろ。
いじめか?これっていじめに分類されるのか?
後でネットを調べておこう。
それよりもまずは、俺が酷い言われようなのを聞いて大爆笑している古東をどうにかしないといけないな。
「薔薇姫が笑ってるの初めて見たかも。」
「薔薇姫じゃなくて古東華だっての。それに横にいる佐倉も悪い奴じゃないんだ。噂ってのは信用できないもんだよ。」
「ごめんなさい。私達勘違いしてたみたい。」
古東だけでなく、俺にも謝罪の意を示す。
悪いのは、信憑性の全くない噂を流す奴らであって彼女達ではない。
いや、鵜呑みにしてしまう部分は問題視するべきかもしれないが、自分の身を守るためなら俺でも信じてしまうだろう。
俺達にとっては謝られるどころか好機だ。
少しは心を開いた今なら話が聞ける可能性がある。
「岡田真衣って女子生徒のことを聞きたい。」
「岡田真衣?真衣なら私達の友達だけど。」
これは幸運が続いている。
どうやら話し掛けたのは岡田の友達らしい。
交友の深い人物であるなら聞けることも多いだろ。
「実はそ、友達が岡田さんのこと気になっているらしくて、趣味とか聞けたらなーと思って。」
「それくらいなら良いけど。」
一瞬、顔色が曇っているのが気になった。
しかし、話を続けようとしているのを遮ることはやめておこう。
「最近は漫画が好きって言ってたっけ?」
「そうそう、なんでも弟が好きで読んでる週刊誌にハマったとからしいよ。」
「意外とオタク趣味なんだな。」
「ゲームとかも好きだから確かにそうかも。そのせいで色々勘違いさせちゃうこともあるんだけどね。」
ここで含みのある発言が出る。
勘違いさせてしまうというのは、色恋のことだと思ってまず間違いない。
オタク文化というのは異性の関係を持つのが難しい文化だと勝手ながらに思う。
だから、女性が一人いるだけで勘違いしてしまうのも分からなくはない。
色々という言葉を聞く限り、それが一度や二度ではないと分かる。
「それに今もストーカーの被害に遭っていて、恋愛支援部っていうところに相談に行ってるし。」
「まずいよ、ナオちゃん。それは内緒だって真衣ちゃんが。」
「うわぁー!!!そうだった!今の無し無し!じゃあね!」
言ってはいけないことを口走ったからか慌てて鞄を持って教室を出た。
彼女達が出て行った後、考える時間が生まれる。
俺は椅子を引き出して座り、古東は机を椅子代わりに。
「今日のもう一人の相談者。岡田真衣だったのか。」
「それなら糸井部長はなんで言わなかったんだろ。部員のアタシぐらいには言って欲しかったけど。」
「しかも、相談内容はストーカー被害だったとはな。相談内容は事前に知れないのか。」
「飛び入りの場合は知らないだろうけど、今回は事前に予定が入ってたみたいだから知ってたと思う。」
だったら、なぜ受けたのだろうか。
ストーカー被害は恋愛と結びつく要素もあるが、事件性の高いと普通なら考える。
高校生が介入して良い問題ではないはずだ。
「サツは証拠がないとまともに相手もしてくれないだろうし、頼れるのは恋愛支援部しかなかったのかも。」
「だから、善意で受けたということか。」
ある最悪の仮説が俺の中で作り出される。
確証のないことを言葉にするのは無責任だが、古東も同じことが脳裏を過ったはず。
「どう思う。」
「アタシ、推理系の漫画は得意じゃないけどさ。・・・それでも分かる。やっぱりこの一連の流れ、ちょっとばっか臭うな。」
「戻ろうぜ。多分だけど、部長と副部長から何かあると思うから。」
岡田真衣を知りたいという相談者とストーカー被害に会っているという本人。
今仲という男を見たからなのか、彼がストーカーのような行為をするとは思えない。
だから、全くの無関係であって欲しいと願うばかりだ。
恋愛支援部の部室に戻る最中も考えがまとまらない。
聞き込みに向かう時と同様に沈黙が続いているが、気まずいと感じることはなかった。
それだけ情報が交錯しいているのだ。
答えが扉の先に待っていると信じて、二人は部室の扉を開く。
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