第014話 繋がる人の輪
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公園に着くと班の三人を探した。
しかし、公園はあまりにも広く見つけるのは困難。
仕方がないので諦めて、教師達が待機している場所まで向かい事情を説明する。
そうした後に教師の指示を待ったが、案の定公園内に入れば自由に行動して良いとの事。
何から何まで緩いイベントだなと思ったが、その方が気を張ることもないので楽で良い。
貸し出されているブルーシートを広げて、弁当を食べることにするか。
普段は学食で弁当を食べている俺もそれでは風情がないと思ったので、冷凍食品を詰め込んだ弁当を作ってきた。
「星海の弁当は自分で使って来たのか?」
「はい!お母さんの料理とかよく手伝うので料理は得意ですよ!」
そう答えるだけあってか中身も凝ったものばかり入っている。
俺の手作りとは無縁の弁当とか掛け離れているな。
「・・・佐倉さんは料理得意な人が好きですか?」
一瞬、どんな意図がある質問かと考えたが、友達作りの参考にするのかも知れないと思い素直に答える。
「料理が出来るってのはステータスの一部だからな。出来るに越したことはないだろ。」
「そうですか。じゃあ、もっと頑張ってみようかな。」
個人的には同性の友達を作るなら、お菓子作りの方がおすすめだけどな。
そんなことを考えながら雑談を楽しみながら弁当を食べていると、見覚えのある人物が近付いてくる。
「邪魔じゃなければ、アタシも一緒に食べて良いか?」
「俺は良いぞ古東。隣は異様に震えてるけど、悪気があるわけじゃないから気にするな。」
俺の後ろに隠れてブルブルと震え出す星海。
誰だって初めて古東と会った時は恐いものだろう。
話していれば、そのうち悪い奴じゃないと分かって慣れて来るんだけどな。
そんなことは今の星海に言ったところで納得出来ないはずだ。
会話に無理矢理入って来いとは言わないが、これも友達作りの練習だと思うので頑張って欲しいものだ。
「アタシ、古東華って言うんだけど。やっぱり恐いかな?」
「い、い、いえいえ!あの、違うくて。そうじゃなくて。」
「ゆっくりで良いよ。別に怒ったりとかしないし、アタシが見た目恐いのも知ってるから。」
「違います!すごく格好良いと思います!」
意外な返答に戸惑って俺を見る古東。
星海は嘘を付くような人間ではないので恐らく本心から出た言葉。
俺も格好良いとは思うので、その意見に後押しをしておく。
「漫画とかだったら人気の出そうなキャラだよな。」
「そうですよね!喧嘩強いけど、無駄に人を傷付けない優しいキャラですよ絶対!」
自分の意見を共感してくれた事によって饒舌に語り出す。
そして、ふとした瞬間に我に返り恥ずかしくなって、顔を真っ赤にして隠れる。
「あはは!面白いねアンタ!」
「・・・ウチ、星海凛です。うぅー恥ずかしい。」
「でも、嬉しかったよ星海。そんなこと言ってくれる奴いなかったから。てか、アタシ同じ学年の友達なんて、佐倉と柊くらいしかいないんだけどな。」
くらいって言うな。
真はさておき、俺と友達になるのはレアだぞ。
なんせ俺は変な噂ばかり立てられて、人が寄りつかないからな。
希少価値ってやつだ。
なんだ?自分で言って悲しくならないのか?
・・・勿論悲しいに決まってるだろ。
「ウチも今日一日仲良くしてもらって、佐倉さんと友達になれたんです!」
「それならさ、もしこんなアタシで良ければ連絡先交換してくれないかな?」
「ウチとなんかで良いんですか?面白いことも言えないし、話題だってつまらないし。」
「友達って面白いとかつまらないとかじゃ決まらないだろ?それに、これはチャンスじゃないか?」
俺の言葉で交換することを決意したようだ。
古東は、携帯を借りて慣れた手付きで入力を進める。
それを感心しながら、二人で覗き込んでいた。
日々進化していくテクノロジーに少しでも追いつきたい気持ちと単純な興味の半々だ。
「はい、終わったよ。これからよろしくね星海。」
「不束者ですが、よろしくお願いします。」
どんな挨拶だよ。
友達同士でするものではないことは確かだよな。
その後の雑談は意外にも盛り上がりを見せた。
どうやら、古東もスマホのゲームを嗜む程度にはプレイしているらしい。
俺もハマっているゲームだったので、三人で永遠にその話をしていた。
そこにまた知り合いが寄ってくる。
が、コイツは無視しても良いな。
「陽太がハーレムを形成している!」
「発言には気を付けた方が良いぞ真。古東様の鉄拳制裁パンチを喰らいたくなければな。」
「勝手にアタシの名前を出すなっての。」
彼女といると思っていた真だったが、女子五人の班になったので買い物を楽しんでいるようだ。
互いの時間も尊重し合うカップルなので、無理にでも一緒にご飯を食べることはしなかったらしい。
その話をしている最中の笑顔が腹立たしいことこの上ない。
「つまりは、誰もお前と話してくれる人がいなくて彷徨っていたということか。」
「陽太と一緒にするなよ。お前が一人で寂しい思いをしているかと思ったから来てやったのに。」
「残念だったな。俺にだって友達の一人や二人ぐらいいるんだよ。」
「なんだろう。俺は怒りよりも親心に似た嬉しさがあるよ。」
シクシクをと泣いている演技を見せる真。
腹立たしいのでデコピンを一発喰らわせてやった。
「いてぇーー!!!」
大声でアピールをしているところへ、また別の客人がやってくる。
今仲と岡田のカップルだ。
あの事件以来今仲と話すことはあったが、岡田は会って直接話をする機会に恵まれなかった。
たまに屋上から見える様子から上手く行っているのは知っていたけど。
「この間のお礼を言いに来たんだけど、ここは賑やかだね。」
「・・・二人とも、この前は巻き込んで悪かったわね。」
大事になる一歩手前だったので、罪悪感というのが少なからずあったのだろう。
俺として停学や退学になることも無かった謝られるようなことは特に。
それに俺よりも古東の方が活躍してたしな。
「相談とかは置いておいて、結果的には二人が幸せそうだし良いんじゃ無い?ね、佐倉。」
「そうだな。しかも、俺に至っては何もしてないから気に病む必要すらない。」
「出た!これが噂の恋愛支援部で起こった話してるんだろ!俺も混ぜてくれよ〜。」
暗い空気を明るく変えるのが得意な真。
俺達の間で難しい空気が流れているのを察して戯けた感じで割って入る。
正直、重苦しいのは好きじゃないので助かった。
「あのね、相談者の個人情報なんだから勝手に言えるわけないでしょうが。」
「ちょっとだけ、最初の方だけでも良いから。」
漫才が始まったので横で眺めていると、状況を分からないであろう星海が小さな声で質問してくる。
二人が話しているのを邪魔しないようにと配慮したのだろう。
まぁ、この二人にそんなもの必要ないけどな。
「恋愛支援部ってなんですか?」
「俺と古東が入ってる部活なんだよ。一応、人の恋愛を手助けするって目的があるらしい。あの今仲と岡田も最初の相談者だ。」
「恋愛支援部ですか・・・。」
俺はこの時に見せた彼女の表情が何を物語っているのか分からなかった。
気になるような、気にならないような。
ただ、その場で問い掛けなかった。
それは近い内に知れる、そんな気がしたから。。
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