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プロローグ

 空には鯨が泳いでいる。下を向いた瞬間、足下を七色に光る魚が追い抜いていった。

 なんてトンチキな光景だろう。毎日思う。

 そのくせ同じ道を通っているはずの誰もが何も言わない。何も気にしない。


『おい、サッサと行けよ。魚どもなんておまえにゃ珍しくないだろ』


 日差しのわりに濃い影がズルズルと轟いて、声がした。ぎょろりと赤い瞳が光っている。


 つまり、そういうことだった。




 もともと、我々人間のような生き物と妖怪等といったこの世のものでないモノの世界は文字通り分かれていたらしい。だけど、はるか昔、とまではいかないわりと昔。コチラ側と向こう側が衝突して、中途半端に融合した。……いや、癒着したというべきか。現にアヤカシモノやわたしのような視える人間にとって、『月』というものは二つある。


 時は現代。コンクリートジャングル。舞台は、私立結豪学園中等部――陰陽科。


 言い忘れていたけどこれはわたし、御影(みかげ)(ゆかり)が、赤い目をした黒いコイツ――影吉(かげきち)を相棒にするまでの物語だ。



『いや、何十回も言ってるけど、ならないからな。相棒なんて』

「影吉」

『だからァ、オレぁ影吉じゃねえって言ってんだろ。いい加減学習しろ! ……で、なんだよ』

「……迷った」

『お、おまえ、アホだアホだと思ってはいたがここまでアホだったのか! だから橘花(きっか)と一緒に行けって言ったのによう、今日入学式だろ!?』

「お母さん忙しそうだったし、影吉がいるから大丈夫だと思って。どっち?」

『その変な信頼をどうにかしろっつってんだよ……あーもう、次のとこを左だ!』



 これは影吉と呼ばれるこのアヤカシが――御影縁に絆され、根負けするまでの物語である。


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