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9/12

仁井名リコは嘘をつくのが上手いそうです

「あ……綾人くん、どどどど、どうしよう!? 私たちが交際していること、あの女にバレちゃうよ!」

「ど……どうすれば……」


 俺たちの交際がバレたら……アイツ、何しでかすか分からないけど……もしかしたら……いや、多分アイツは、俺たちの関係を崩すだろう。そうなったら、元も子もない。


「綾人くん!」 

「ん?」   

「トイレ……早くトイレに隠れて!」

「あ……あぁ!」


 俺は急いで男子トイレに向かい、身を潜めた。


「リコ、大丈夫かな……?」




★ ★ ★ ★




 綾人くんがトイレに隠れてからおよそ30秒後に、外道な女がドーナツ屋さんに入店してきた。


「あれ? 仁井名さん?」

「ほ……星宮さん。き……奇遇だね」

「仁井名さん、一人で来たの?」

「う……うん。一人……一人で来た」

「そうなんだ~。……ん? 何でドーナツのお皿が二枚もあるの?」


 ギクッ!!


「そ……それは~」

「それは?」


 ヤバいヤバいヤバいヤバい! 何て言って誤魔化そう? …………よし! 一か八かこれで……!


「私、ここのドーナツが大好きで……10個以上食べちゃうんだ~」


 ど……どう? 誤魔化せた、かな?


「……仁井名さんって以外と大食いなんだね!」


 ご……誤魔化せた!!


「そうなの! 私、実は大食い女子なの!」

「……いいな~」

「何が?」

「仁井名さん、そんなにドーナツ食べても痩せてるから」

「あぁ……。だ、だけど、私は食べたあとに走ったりしてカロリーを消費してるよ」

「そうなんだ……」

「うん……」


 私、自分でもビックリするぐらい嘘をつくのが上手くない!?


「あっ、もうこんな時間! 妹がここのドーナツをどうしても食べたいらしくてね……」


 コイツ、妹いるんだ……。


「妹さんのためにドーナツを?」

「うん。買いにきたの」

「……星宮さんは優しいね。妹さんのためにドーナツを買っていってあげるんだから」

「そ……そうでもないよ」


 ……そうだよね。お前みたいな外道な女、優しいはずないよね!! 


「じゃ、じゃあ私はこれで……」

「うん」


 外道な女は、妹のためにドーナツを買って帰っていった。


 私はトイレで隠れている綾人くんに声をかける。


「綾人くん、もう出てきて大丈夫だよ」


 綾人くんがトイレから出てきた。


「アイツを上手く誤魔化せたのか?」


 私は親指を立てて「バッチリ!」と言った。


「はぁー、あの時はマジで肝が冷えた……」

「アイツ、妹のためにドーナツを買いに来たんだって」

「そうなのか……。まあ、リコのおかげで俺たちの関係がアイツにバレずに済んだ。……ありがとう。リコ」


 ――綾人くんは私の頭を撫でてそう言った。

 

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