ボッチくんは新しくできたドーナツ屋に向かうそうです
学校の授業が終わり、俺は駅前に新しくできたドーナツ屋に向かっていた。
「はぁー、遠っ……」
学校からドーナツ屋までは歩いて15分ぐらいかかる。
言っておくが、俺は別にその店のドーナツを食べたいわけじゃない。
昼休みにリコが作ってくれたあの弁当を無心で食べていたら、リコが――。
「ねぇ、綾人くん」
「ん?」
「河原木駅の近くに、新しくできたドーナツ屋さん知ってる?」
「いや、知らない。あそこの近くに、新しくドーナツ屋ができたんだ~」
「うん。そこのドーナツ屋さんの『ハートストロベリークリーム』っていうドーナツが美味しいらしいよ」
「へぇー、そうなんだ」
「ハート型のドーナツの周りにストロベリーチョコをコーティングしてあって、中にカスタードクリームが入っているんだって」
「……なるほどな。リコ、お前はそのドーナツを食べたいから、俺にわざと聞いてきたんだろ?」
「……その通り!」
「だと思った……」
「綾人くん! 今日の帰りに、そこのドーナツ屋さんで待ち合わせして、一緒にドーナツ食べよう!」
「……了解だ」
と、まあこんな感じで、そのドーナツ屋で待ち合わせをして、リコとドーナツを食べることになったわけだ。
だから、俺はドーナツ屋に向かっているんだ。
★ ★ ★ ★
「やっと……着いた」
ドーナツ屋に着いたが、リコの姿がない。
俺はドーナツ屋の前で、リコが来るのをしばらく待っていると……。
「綾人く~ん! 待たせてごめんね!」
「俺もさっき着いたばかりだから……気にするな」
「……ありがとう」
「えっ? 俺、リコに何もしてないけど……」
「綾人くんは気づいていないだけだよ……。そんなことより、綾人くんは何のドーナツにするか決まった?」
「あ……あぁ」
「どれにするの?」
「この『ハートミルクチョコクリーム』にしようかな」
「私は前から食べたかった『ハートストロベリークリーム』にする」
「んじゃ、店入って注文するか」
「うん」
俺たちはドーナツ屋に入店して、注文しようとしたのだが……。
「あれ? リコが食べたいドーナツ……なくね?」
「ええっ!? なんでないの?」
俺は店員に聞いてみることにした。
「すいません。あのー、『ハートストロベリークリーム』っていうドーナツを注文したいのですが……」
「大変申し訳ございません。『ハートストロベリークリーム』はご好評につき、開店からわずか2時間で完売いたしました」
「そうですか……。どうする? リ――」
――リコは『ハートストロベリークリーム』が食べれなくて涙目になっていた。
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