ボッチくんは海苔弁を食べて嘘をついたそうです
「えっ……? 綾人くん……私に一目惚れしてたの!?」
「……あぁ。入学式の時にな……」
「なら、なんで星宮さんと付き合ったの?」
「だって、リコに告白しても振られると思ってたから」
「そっか……」
「うん……」
「てことは、私たち……両思いだったんだね」
「そうだったんだな……」
「綾人くん」
「ん?」
「私、綾人くんのことが……大大大好きなの。だから、私と……結婚を前提に交際しない?」
「俺もリコのことが大大大好きだ。だから、俺たち……結婚を前提に交際し……」
「ん? どうしたの? 綾人くん」
ちょ……ちょっと待てよ。
「な……なあ、リコ」
「何?」
「俺たち……交際をするんだよな?」
「うん。結婚を前提にね」
「ちょっと待てーい!! け、けけけ、結婚を前提にってどういうことだよ!?」
「えっ? 私は綾人くんのお嫁さんになるのを決めていたんだけど……。綾人くんは私と結婚したくないの?」
「リコと結婚したい気持ちはあるけど……。仮に結婚するとして、いくつで結婚するんだ?」
「成人の年齢が18歳だから……高校を卒業したら結婚しよ」
「高校を卒業したらって……」
俺はため息をつく。
まあ、細かいことはそのときに考えるとするか。
「綾人くん?」
「了解だ。リコ、結婚を前提に交際しよう」
リコは満面の笑みで「うん!」と返事をした。
こうして俺たちは――結婚を前提に交際することになった。
★ ★ ★ ★
――翌朝
俺は電車に乗って通学していた。
すると、俺のスマホにリコからマインのメッセージが送られてきた。
『綾人くん、昼休み空いてる?』
『今日もボッチ飯する予定だけど』
『私、綾人くんのためにお弁当を作ったんだ』
きたーーー!! 彼女の手作り弁当イベント!
『食べる!!!』
『昼休みになったら屋上に来てね!』
『了解!』
リコの手作り弁当……楽しみだな~!
★ ★ ★ ★
――昼休み
俺が屋上に着くと、既にリコが弁当箱を持って待っていた。
「綾人くん、はいこれ」
リコが俺に弁当箱を渡してきた。
「ありがとう!」
俺はワクワクしながら弁当箱の蓋を開けた。
「えっ……!?」
弁当箱の中に入っていたのは――ぎっしりと詰められた白米の上に、ハートの形をした海苔をのせただけのTHE・海苔弁だった。
「綾人くん、どう?」
「…………お……美味しそうだ」
俺は弁当を一口食べた。
……うん! 見た目通り、海苔とご飯の味しかしない!
「どう? 綾人くんのお口に合う?」
「あぁ。お……美味しいよ」
「それならよかった!」
――交際してから1日目、俺はリコに嘘をついた。
ご拝読頂きありがとうございます。
第5話の誤字脱字報告を受けて、修正させていただきました。
誤字脱字報告をしてくださった読者様、本当にありがとうございます!
そして、これからも誤字脱字がありましたら報告してくださると助かります!