ボッチくんは悲劇を味わうことになりそうです
現在、俺は玲奈と大型ショッピングモールで、デートをしていた。
玲奈が洋服を見たいと言うので、俺たちは洋服店に向かった。
★ ★ ★ ★
洋服店に着いてからわずか5分で玲奈はテーラードジャケットやテーパードパンツなど、合計7着の衣服を買い物かごに入れていた。
服選ぶの早すぎんだろ!?
「綾人、私試着してくるから待ってて」
「あ、あぁ……」
玲奈は試着室へと向かって行った。
俺は玲奈が戻ってくるまで、適当に店内の服を見ることにした。
★ ★ ★ ★
玲奈が試着室から戻ってきた。
「お待たせ~」
「どれを買うか決まったのか?」
「うん」
「そうか。じゃあ買わないのは元の場所に――」
「全部買う」
「…………は!? こ、この買い物かごに入ってる洋服……全部買うのか!?」
「うん」
ま……まあでも、俺が買ってあげるわけじゃないし、別にいいか。
「綾人」
「ん?」
すると、突然玲奈は俺の右腕に胸を押し当てて抱きついてきた。
「な……何してんだよ!? 玲奈!」
「綾人……お願いがあるの」
「……お願い?」
「この洋服、全部買ってくれる?」
「……はぁ!? いや、無理無理無理無理! 1着5000円以上もする服を流石に7着も買えないって!」
玲奈は上目遣いで俺におねだりをしてきた。
やめろ……やめてくれ! そんな顔でおねだりされたら……買ってあげるしかないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
俺はため息をついた。
「仕方ないな~。1階のATMでお金を下ろしてくるから、ここで待ってろよ」
「ありがとう! 綾人! だ~いすき!!」
俺は1階に設置してあるATMへと向かい、歩き出した。
バイトの給料、少しだけ貯金しておいてよかった~。
その後、俺はATMでお金を下ろして、玲奈のために服を全部買ってあげた。
ちなみにATMの残高は389円しか残っていない。
★ ★ ★ ★
時刻は20時を過ぎた。
玲奈が俺に話したいことがあるらしく、玲奈の家の近くにある公園のベンチに座って、話を聞くことにした。
「それで、話ってなんだ?」
「…………」
「もしかして玲奈、お前……虐められてたりしてるのか?」
「…………」
「あー、それとも……ストーカー被害に遭ってるとかか?」
「…………」
「あとは、そうだな~……。家族の中が悪いから家に帰りたくないとかか? ……いや、ごめん。そんなはずないよ――」
「アハハハハハハハハハハハハハハハ……!!」
玲奈はベンチから立った。
「…………玲奈?」
「私が虐められているとか、ストーカー被害に遭ってるとか、家族の中が悪いから家に帰りたくないとか、マジウケるんだけど!」
…………これが……玲奈、なのか?
「ねぇ、綾人……私があんたみたいなのを本気で好きになるわけないじゃん」
「えっ……。玲奈、何を言って――」
「まだ気づいてないの?」
玲奈はため息をついた。
「バカでもわかるように教えてあげる……」
そう言うと玲奈は、急に顔を近づけてきた。
「あんたは私にまんまと騙されていたのよ」
「!?」
俺が……玲奈に……騙されていた!?
ご拝読頂きありがとうございます。次話、悲劇回となります。星宮さんが篠垣のことを……。
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