ボッチくんはクラス一の美少女と交際していたそうです
初投稿です。
俺、篠垣綾人には彼女がいる。
彼女の名前は星宮玲奈。学年は高二で、俺と同じクラスだ。星宮はクラスの男子の中で『クラス一の美少女』と呼ばれている。
玲奈とは、高二になってから初めて同じクラスになった。
一ヶ月前、新しいクラスの教室に入った俺は、指定された窓際の席に着き、校舎のグラウンドを見下ろして、新担任の先生が教室に入ってくるのを待っていた。
すると、隣の席に誰かが座ってきた。
俺は隣の席に座ってきた奴の顔をチラッと見る。
「!?」
隣の席に座ってきた奴は──目を見張るほどの美少女だった。カスタードクリーム色の長い髪に、ほっそりとした体つきだが、胸部にはそこそこ大きい二つのあれが付いていて、この美少女からフレッシュフローラルの香りがした。
俺は咄嗟に校舎のグラウンドを見下ろして、視線を戻した。
落ち着け……落ち着くんだ……。
隣に美少女が座っているのは一旦忘れて、他のことを考えよう。
俺は今夜の夕飯がなんなのか考えることにした。
昨日の夕飯がスーパーのお弁当で……一昨日の夕飯は……え~と…………確かコンビニのお弁当だったはず。で、三日前の夕飯は…………テイクアウトした牛丼だったな。
…………あれ? 俺の母親、全然料理してな――
すると誰かが俺の肩を軽く叩いてきた。
「ん?」
俺は肩を叩かれた方向に振り向く。
「私、星宮玲奈。あんたの名前は?」
「えっ……」
「ん? どうかしたの?」
「あっ……いや、なんでもない。俺は篠垣綾人」
「よろしく。篠垣」
「よ……よろしく」
…………可愛すぎるだろ。
★ ★ ★ ★
そして一ヶ月後、俺に転機が訪れた。
午前中の授業が終わり、昼休みになった俺は、普段と変わらず一人で購買で売っている焼きそばパンとハムカツバーガーを購入して、教室に戻って自分の席で食べていた。
すると、クラスの女子たちと昼食をとっていた星宮が、ぼっち飯をしている俺の方へ向かって歩いてきた。
クラス一の美少女が、ぼっち飯をしてる俺なんかに何の用だ?
「ねぇ、篠垣」
「な……なんだ?」
「今日の放課後、なんか用事ある?」
「……いや、ないけど」
俺がそう言うと、星宮が耳元で「じゃあ今日の放課後、体育館裏に来て」と囁いて、一緒に昼食をとっているクラスの女子たちの方へと戻って行った。
★ ★ ★ ★
放課後、俺は体育館裏でしゃがんで星宮が来るのを待っていた。
「まだかな~」
しばらく待っていると、星宮が小走りでやって来た。
「篠垣、待たせてごめん!」
「お……俺も今来たところだから気にするな」
さすがに嘘だとバレるか……。
「あっ、そうなの」
嘘がバレなかっただとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?
「篠垣、一度しか言わないから」
「えっ……? 何を――」
「私……篠垣のことが好きなの!」
「…………えっ」
「だから……私と付き合ってくれない?」
「…………えっ……ええっ!?」
これ……夢じゃないよな? 現実、だよな?
今、俺……あのクラス一の美少女と呼ばれてる星宮玲奈に告白されたんだよな!?
…………最高の気分だ~!
「付き合おう」
「えっ……」
「俺も星宮と付き合いたい。だから付き合おう!」
「……うん! これからよろしくね! 綾人!」
「こちらこそよろしく。星宮」
「苗字じゃなくて、名前で呼んでよ! 綾人!」
か……可愛すぎるっ!!
「そ、それじゃあ玲奈……よろしく」
「うん! ……あっ! そうだ! 綾人、今週の日曜日って予定空いてる?」
「今週の日曜は~……空いてる」
「じゃあデートしよ!」
「で……デート!?」
「いいじゃん! 私たち付き合ったんだし!」
「……確かにそうだな。でも、どこでデートするか決めないと――」
「それならもう決まってる」
「速っ!!」
「あっ、そうだ。綾人、マイン交換するからスマホ貸して」
「あ、あぁ……」
俺は玲奈にスマホを貸した。
「――はいこれ」
玲奈がスマホを返してきた。
「デートの内容はマインで連絡するから」
「わかった」
「それじゃあまた明日、学校で」
「あぁ、また明日」
俺はスクールバッグを手に持ち、自宅へと帰った。
これが俺と玲奈が初めて出会い、付き合うまでの話だ。
そして現在――
ご拝読頂きありがとうございます。次話、デート回とあれになるのですが……星宮さんがデート中にとんでもない行動をします!
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