第2話
三毛猫ワールドに最初来るつもりはなかった。
だけど、きえによって来てしまった。
三毛猫ワールドに来てみたら、空はピンクで不気味だし、三毛猫らしき姿はどこにもない。
グレーのシルクハットに、グレーのスーツやマント、グレーの革靴の仮面で顔が見えない二人が現れた。
「やはり、来ましたか」
「来たぞ」
「グレーボーイに、グレーキッズ‥‥」
きえが呟いた。
「我はグレーボーイですぞ」
「我は、グレーキッズだぞ」
「君たちは何者ですか‥‥?」
「今は語れないですぞ?」
「語れない事情があるんですか?」
「それは答えられないぞ?」
「秘密の多い人たちですね?」
その一言があれば、さすがに正体明かすしかなくなるだろう。
「秘密があって、こそだ」
頑丈な奴だ。
「ところで、どうしてここに?」きえが口を開いた。
「事件が起きたからですだ。
三毛猫の行方がいまだにわかっておらん。
三毛猫の第一王子マッケや第二王女ミッケの二匹がさらわれて、いまだ見つけられないですぞ?
となると、三毛猫ワールドには存在してないことも考えられる」
「存在しない?」
「つまり、生きてないか、別の異世界に転送したか」
「三毛猫刈り隊には、転送の力はないはず‥‥」
「なくても、ボスの力を使うか、ミッケの力を悪用するなり、すればいいだろう‥‥」
グレーボーイは最初、敬語で話していたのに段々敬語でなくなっていっている。
「まず、黒幕となるボスは誰なの?」
「我もわからん。
聞く話は沢山あるが、本当かどうかわからなくてな」
「うん‥‥」
「では、これで失礼すっぞ」
グレーキッズとグレーボーイは人間とは思えない程の高いジャンプをして去っていった。
まず、顔を隠しているんだから、人間であるかどうかも怪しくなる。実は、怪物だったりしてな。
俺ときえは二人で町へ向かった。
「私はこれからやることもあるから、事情はスモモに話しておいたから」
「スモモ‥‥?」
俺は一瞬果物の方の李すももを思い浮かべた。
果物と会話したのかな?
だけど、現れたのは人間の女の子。
「スモモ」
「遅かったね」
「ごめん」
「もっと早くしてくれない?待ちくたびれたよ」
「この通り、謝っているじゃない?」
「謝るだけじゃだめなの、反省してるの?」
なんだ、この上から目線な子は‥‥?
「紹介するね。こちらは、スモモ。私の友達」
「優しくしてね」
普通、これは「よろしくね」が常識じゃないのか?
「スモモ、後は任せたよ。
やっぱり、私は妹が心配だから」
「オッケー」
スモモ
柊きえの友達の一人らしい。(きえは他に友達がいるのかな?)
一人称は「私」。
中性口調で話し、年上に敬語を使わない。
武器は、長い棒やスプレー。(このスプレー、何の効力があるんだ?)
「きえから話は聞いたよ。まず、戦えるよう修行をしなくちゃ」
「戦うって‥‥?」
「この世界に来るってことは、そうゆう使命が与えられたということだから‥‥」
「使命だなんて、俺は強引にきえに連れて行かれただけで‥‥」
「細かいことはいいの。修行だよ、しゅ・ぎょ・う」
俺はこうしてスモモにお店で武器をどれにするか選ばされたし、
剣を持って戦う修行なんてどうするの?
だけど、スモモはお構い無しだった。
師匠とやらに修行に連れて行かれた。
「何じゃ?」
見るからに子どもに見えそうな師匠だった。
「師匠、この子を修行させて下さいよ」
「いきなり何じゃ?」
そうだよ、いきなり何だって話にはなるよ。
「何故、ワシがどこのどいつかわからぬようなやからを、修行させなくてはならぬのだ?
才能も感じないし、報酬はあるのか?」
「ないに決まってる」
「ないなら、帰るのじゃ。
下手にワシから会得した力を誰これ構わず教えて、悪用されたくないのじゃ」
「ケチ」
「ケチではないぞ。今、三毛猫ワールドは三毛猫がいなくなっとる。
誰の仕業かはわからんが、三毛猫刈り隊のボスは、ワシの元弟子だったようじゃ」
「元弟子さんの共通点はあるの?」
「ない。三毛猫や人間を弟子にとってはいたが、相違点はあっても、共通点はない」
三毛猫刈り隊なんているのか?
そもそも会ったことないし。
この様子だと、戦えるようになるための修行なんかさせてくれなさそうだ。
だけど、スモモは諦める様子が見えない。
これから先、どうなることやら‥‥。
師匠とスモモの喧嘩をしているし、喧嘩の内容は聞きたくない。
聞かないでおこう。




