第7話
俺は、初から告白されるようになった。
「あのさ、私と付き合ってくれる?」
「初が好きなのは、間扉じゃなかったのか?」
「だけど、今は軽扉が好きなの」
今まで誰からも告白されたことがなくて、初恋とかもない。
「俺で良ければ‥‥」
俺と初は付き合うようになった。
初とコナユキは仲がいいため、三人でいることもある。
だけど、二人の男から異様な嫉妬を受けるようになった。
杏助と今日透先輩からだ。
二人は初が好きらしいけど、俺にとられて悔しいらしい。
なら、告白すればよかったのに。
初から聞く話によると、間扉の親友だったらしい。
初も異性にそれなりにモテるみたいだ。
救いなのは、今日透先輩も、杏助も他校の生徒のため学校では接点がない。
まさか、俺も殺されるかな?
間扉は颯と付き合って、愛珠に殺されたなら、
俺は初と付き合って、今日透先輩や杏助に殺されるかな?
そんな不安をコナユキにぶつけてみたら、
「大丈夫でしょ?愛珠はヤンデレに近いような情緒不安なところがあったけど、あの二人はそんなことのために殺しにかからないわよ?
せいぜいいじめを行うか、暴力沙汰にしてしまうかくらいよ」
「暴力沙汰って‥‥?」
「本当に危ないようなら、コナユキが助けるわよ。
失恋には妬みがつきもの。今日透さんや杏助は失恋をしているのよ。この恋を諦めきれなくて、君から初を奪おうとしている。
実際、今日透先輩には初の双子の妹とも付き合っているから、二股できない状態なのよ」
「初が好きなら今の彼女と別れるとかは?」
「別れたくないみたいなのよ。どっちも好きだから。
初の思いを諦めなくてはいけない自分と諦めきれない自分で葛藤しているし、二股をかけてまで付き合うか、今の彼女一筋にするか迷っているのよ。
一番問題は杏助よ。彼は初に対して一途に思い続けて、誰とも付き合う気がないみたいよ」
結局、暫くして今日透先輩からは何も言われなくなってきたけど、杏助からの攻撃はなくならなかった。
杏助は初に対して本気だから別れさせようとしたかったんだろう。なら‥‥俺の答えは決まっていた。
「別れよう‥‥初」
「どうして?」
「杏助と付き合う方が眺めがいいと思ったからさ」
「その理由は何なの?」
「とにかく別れたいんだ」
その後、初と杏助は付き合い始めた。
初とはもう友達関係もないし、連絡先も変えられた。
「軽扉‥‥」
コナユキが心配そうな顔をしていた。
「どうして、初と別れたの?」
「杏助との攻撃なんかうんざりだ」
「軽扉、君の気持ちはそれだけで冷めてしまうの?」
「冷めたんじゃない。最初から好きではなかったけど、告白されたから付き合っただけ」
「軽扉は本当はどうしたいの?」
「どうしたいとかないさ。俺が重荷になるようなことが起こるくらいなら‥‥いっそのこと捨ててしまおうかってことだよ」
「いつもそうなの?」
「そうさ。責任、義務感、使命感なんて言葉が嫌いでさ、そんなものは昔から切り捨ててきた。
三毛猫ワールドにいた時もそうだ。
俺は何もしたくないんだ」
「軽扉、あたしも責任とか、義務感とか、使命感なんて好きになれないわ。
だけど、果たさなくてはならない時もあるの。
特に今回の件があれば、連絡に対していい思いが持てないかもしれないわよね。
恋が人生の全てじゃないって中学生にわからすのは大変よ。
長い人生さ、好きな人も変わるだろうし、失恋が懐かしい思い出に変わるかもしれない。
チューリップもさ、失恋を何回も繰り返していたからわかるんだ。
軽扉が巻き込まれて困るなら、それが正解って思えるわ。
軽扉、もし決断しなくてはならない時が現れたら‥‥」
「決断なんかしたくないし、そんなんで人生を決めてほしくない」
「間扉もそれができたら、生きていたかもしれないわね。
間扉は異世界で転生してるかしら?」
「転生なんて信じるの?」
「本当にあるからさ。
間扉なら三毛猫ワールドで使命を果たせそうな気がするの。
颯の心を救えるかはわからないけど、颯を救えるのは間扉しかいない。
あたし、軽扉の心の支えになりたいわ」
「どうして急に?」
「軽扉が頼りなさそうとしか思えないから、軽扉を守れるのはコナユキしかいないような気もしたし、軽扉の側にいさせて?
これがコナユキの願いだから」
「俺は‥‥何もできないと思うのに?」
「間扉みたく何でも一人でできたら、コナユキがおいてかれそうな感じがするからさ‥‥。
軽扉の頼りないところ、あたし好きだな。
あたししかもう好きになれないと思うわ。
コナユキを本気にさせたのは、軽扉なんだから」
「本気って‥‥?」
「三毛猫ワールドを救うとか考えなくていいの。
救わなきゃいけないのは、あたしよ」
コナユキは何を言いたい?




