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英雄に憧れた少年は!!!魔王になる???  作者: 寝巻小唄
デスペラード編
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デスペラード編 第2章〈運命Ⅱ〉

寝巻小唄です!




第2の日曜日から火曜日


第4の日曜日から火曜日


のどれかで3〜4回を目指して投稿します


概要は後書きで

『ああ…またかこの国はまた選択を間違えたみたいだ』


 ロブロム国上空から黒いフードを被った白い仮面の者はつぶやく、その姿は神々しくだがどこか恐ろしさも覚える、そんな仮面の男は空に溶けるように消えていった


 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜


(ロブロム国の現国王のおじい様は優秀な方だったのに、孫がこれでは遠くない未来この国は崩壊するかもしれないな)


 国王の書斎の扉の前で待機をしていたピュートンは書斎から聞こえてくる内容に頭を悩ませていた。


 《魔王》を作り上げて勇者を召喚し、他国への侵略の〖兵器〗とする


 馬鹿げた話だが、実際ここ何年か不審な魔力反応が城内をうろつくことが多かった、勇者の力は確かに絶大だが、まさか自国民の犠牲の上でその力を我が物にしようとしているとは、やはり“あの人”の言葉を信じて二人を向かわせて良かったとピュートンは考えていた


(城内で出回っている噂に引っ掛かりを覚え、独自に調査を進めながら義父の信頼を勝ち取り、今こうして堂々と二人の話を聞ける立場になっておいてよかった、しかしまさか義父までこの件にかかわっていたとは思わなかった、やはり“あの人”の言っていることは正しいのか…)


 数年前、ある任務中に出会った真っ黒なフードに目の部分だけ空いた真っ白の仮面を着けた〖神の使い〗を名乗るものから聞かされた、この国の滅亡そしてその原因となる事件


 ある村の少女が魔王と名乗る魔族に殺害され、それを目撃したある少年の“禁忌の力”に触れこの国は崩壊する、この危機を退けなければその脅威はこの国だけではなく世界さえも滅ぼし、この星は消えてなくなってしまう、そのすべての始まりの事件がこれから起こると、その原因はこの国の国王が発端だという事も、ピュートンが一番腑に落ちないのは義父がなぜこの件にかかわっているのかだった


(義父さん、あんたは民を犠牲にしてそんなことをする愚かな人間じゃないはずだ…あの紛争で俺を助けてくれたあんたが何でこんなことに手を貸してるんだよ)


 言いようのない怒りがピュートンを包み込む、義父のやさしさも厳しさも本当の息子のように育てられたピュートンだから義父のこの行動の意味が分からなかった


「二人とも何とか間に合ってくれ」


 小さくつぶやいた願いは誰にも届かずはかなくその場に消えていく


 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜


「遅い!!なんでいっつも時間通りに来るのよ!もっと早く来てもいいんじゃない?!それとも何?私とそんなに稽古したくないの?」


 村の近くにある森の入り口で木剣を二本背中に背負い、右手にはバスケットを持ち待っていた水縹色(みはなだいろ)の髪の少女テミスは後から来た黒髪の少年バドンを横目で睨みながら文句を言っていた。


「ごめんごめん!少し早めにつくと思ったんだけどナオに家を出るときに怒られちゃって、今日の稽古はお昼までしかできないのにほんとごめんね?」


「ナオに怒られたなら仕方ないわ、この稽古は完全に私たちが悪いしなんだったらバドンに手伝わせてる私が一番悪いし、まあ今日のところはナオに免じて許してあげる」


 バドンたちが村に戻り5日の時間が経過していた、彼らが疑似勇者になる為に王都での二年間の修行に向かうまであと一週間と少ししかこの村に居れず、長いことバドンと離れるのは初めてのことでテミスはどこか心の中で不安に感じていた。


 そんなテミスの心情を理解してバドンは彼女に対して何も言わない、自分自身彼女と長い間離れたことがなく、今や彼女は村の英雄としてその小さな背中に大きなものを背負ってしまっている、今この村に居る間だけでも彼女の拠り所でありたいと、それにこれは彼女なりの甘え方だとバドンも理解していた


「今回も村の近くの森の少し開けたいつもの場所でいいんだよね」


「当り前じゃない!私が疑似勇者になるからってすぐに強くなることはないし、私たちに何かあればあそこならすぐに逃げられるし見張りに人だってお昼ごろに見に来てくれるもの!安全に越したことはないに決まってるじゃない」


「そうだね」


 村の近くの森だとしてもゴブリンやオークなどはたまに出る、しかしバドンやテミスがそんな相手に遅れることはないのだが、二人でも勝てない様な相手が出た場合の保険として奥にはいかないことをしっかりと決めていた。そして二人がいつも稽古している稽古場には冒険者や村の自警団の方がたまに様子を見に来てくれる、万が一に越したことはないとバドンもそれに同意し二人は森の中に歩いていく


「それじゃここら辺に荷物を置いて早速始めますか」


 テミスはそういうと背負っていた木剣を一本バドンに投げ渡し、持っていたバスケットを木の木陰におろして木剣を構える


「それじゃ先生!お願いします!」


 そうテミスは叫びバドンに突撃していく、テミスから振り下ろされた木剣はバドンをしっかりと捉え、バドンの顔の寸前で流れを変えられテミスは体制を崩してしまう。


「フェイントもなしにそんな真っ直ぐ素直に振り下ろせばどれだけその剣に力が加えられても受け流せてしまうからフェイントはしっかりと入れないとだめだよ?」


 テミスの攻撃をスルスルと避けたり受け流しながらバドンは逐一テミスのダメなところを指摘する、確かにテミスは疑似勇者の選抜を抜けはしたが、あくまでそれは加護の力による物でそんなテミスをもう一つ成長させるために、二人は村に戻った翌日から大切な授業以外すべて訓練の時間にあてていた。


 この村で今剣術をうまく使えるのはバドン以外に居ない、理由は彼の父親が疑似勇者の団長を昔にやっていて5才の時まで基礎を教えてもらっていたことに加え、その父親亡き後他国から村に来たsランクの冒険者に剣術の指南をしてもらっていた、そんな背景を知っているテミスだから彼を師として教えを受けていた。


「まただよ?フェイントを入れようとすると目が次の攻撃の場所を直視してしまってる、それじゃ上級の剣術使いに全部筒抜けてしまって攻撃がなかなかはいらないよ?相手がどう受け流しどう攻撃するかしっかり頭の中で考えて!」


 飄々とテミスの攻撃を躱すバドンの教えに耳を傾けながらテミスは剣をふるう、しかしその攻撃は一切バドンに当たる気配すらなくテミスは体力だけをどんどんと消耗していく


「はぁ…はぁ…一発もまともに入らない…」


 テミスは肩を上下させながら息を整えバドンを睨む、そんな彼は息一つ切らしてない


「いい攻撃は確かにあるんだけどね、考えて戦うのは慣れないと俺でも難しいからな…だったら考えの幅を広げる為に一撃必殺をテミスに教えた方がいいかな?あれなら相手の不意もつけるし」


 バドンは戦いの中でテミスの成長を確かに感じていたが、その成長ぶりは思わしくない、ゆえに彼自身が冒険者に教えてもらった“もう一つの”剣術を教えることにしたのだ。


「この5日間考えながらの戦闘は確かによくやってたけどこれからはもう一つ追加で、その考える時間を与えるための戦闘スタイルを教えていくね!考える時間を与えるのであって考えなくていいわけじゃないしさらに頭使うから難しくなるけど、この5日の修行は無駄じゃないからしっかりやろう」


 彼自身が教えてもらったもう一つの剣術を、一つ一つ思い出しながら覚えていてよかったという気持ちと、その技は自分では扱いきれなかった悔しさ、そしてこれを剣術と呼んでいいのかわからなかったあの時の何とも言えない感情が蘇り、聞かされた時の事を思い出していた。


「テミスの戦闘スタイルは悪く言えば脳筋だけど、よく言えば一撃必殺向きなんだよね!例えば振り下ろすとき受け流されると分かったならそのまま地面まで思いっきり振り切ってしまえばいい、そうすると大概の人は地面に剣が刺さるけど、テミスの攻撃は加護ありきの力だから地面は割れだろうね、そしたら相手は急に足場を崩されてバランスが取れなくなる、次の攻撃を防ぐ余裕がなくなるからそこをたたけばいいし、当たったら当たったで儲けもの、それに横に剣を振るった場合は相手はガードするか飛びのくと思うけどスキルを組み合わせたりしたら斬撃を剣から飛ばして追撃もできるし、要は一振り一振りが一撃必殺の技、もちろん力技だから剣術と呼べるかわからないけどテミスも工夫次第では剣でも僕に勝てるようになるはずだよ!」


 そんなバドンの説明を目をキラキラさせテミスは食い入るように聞いている、確かに彼女自身もそれを考えたことはあるが実践で使えたことはない、しかし聞けば聞くほどにそれはテミスにとって正しい知識となって身についていく、戦術としては拙いかもしれないけど、加護のないバドンが同じことをやろうとしても地面はきっと割れないし、相手を後ろに吹き飛ばす力もないので空しい結果になるが、これをテミスがやればきっと強力な彼女自身の武器になると思ったのだ。


 テミスの一撃必殺の技がある程度完成したところでバドンはふぅっと一息入れ、太陽の位置を確認し真上に差し掛かっている事に気づきお昼の休憩を入れようとテミスに話しかける。


「これで一通り終わったけどそろそろ時間になっちゃったね、お昼食べて学校行こうか」


「もうそんな時間なの!!まだ教えてもらいたいことがあったのに!」


 バドンとの楽しい時間が過ぎて、テミスは少しうなだれるが午後の授業はテミスにとっても大事な授業なので外すわけにはいかないのだ。


「そういえば今日はなにつくってきたの?」


 バドンはバスケットがある木陰に腰を下ろし昼食の準備をするテミスに声をかける。


「今日はサンドイッチを作ったの!それにバドン好きな“おにぎり”もあるよ!中身は食べてからのお楽しみってことで!」


 先ほどとは打って変わりテミスは嬉しそうにバドンに話す、いつもみんなの前で見せる表情とは違い今はバドンだけしかいない、彼にだけしか見せない彼女の満面の笑みがそこには浮かんでいた。


 テミスはバドン以外にあまり心を許していない、二人の幼馴染のアキレシスにさえテミスはあまり心を許していないし、ナオにだってここ最近やっと心を許し始めたところなのだ。


「いつも笑顔でいればいいのに…」


 そんな可愛らしい顔をみて小さくバドンはつぶやく、いつものみんなの前で見せる不愛想な表情より今しがたバドンに見せている人懐っこそうな笑顔をみんなにも知ってもらいたいのだ。


「いやよ!私はバドンだからいいの!他の人にこんな姿見せたらなんて言われるかわからないし、他の人は信用できないの!」


 そういいながらテミスはバドンの膝の上に頭をのせる、そんな愛くるしい姿に頬を緩ませながらバドンはテミスのその透き通った髪を撫でる。するとテミスは眼を細ませながら気持ちよさそうにしていた。


「それじゃ食べよっか」


「んっ」


 バドンが食べ始めようとすると寝ながらの状態でテミスは口を少し開けて食べさせてもらう準備をする、そんな姿に彼は苦笑いしあけられた口の近くまでおにぎりを差し出し二人は食事を済ませていく


 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜


「姉さん本当に村に俺らが来たことこの村の冒険者局(ギルド)に報告しなくていいんすか?後が怖いっすよ?」


「黙ってアレス!!この村に来たこと自体命令違反なのよ?だから早く噂の真相を確かめに村の奥の森に行きたいの!もし噂が本当なら一刻も早く討伐しなきゃ」


 王都での会議の後、早馬に乗り加護やスキルを駆使して午後の14時過ぎについたことを腕に巻いている時計を見ながら確認をし、迅速な確認のために村を迂回しながら森の奥の方に入るエレナたちは細心の注意を払い行動していた、噂が嘘であれ本当であれこの村には何らかの脅威がいる可能性をピュートンが自分達を向かわせた事で理解していた、その存在を調べるべくエレナの足も思わず早足になってしまっていた。


「大丈夫っすよここにはあの勇者と戦った二人がいるんすから何かあっても耐えてくれるはずですし、なんたってこの村は魔物の出現も多いから冒険者も大勢います、めったなことは起きないっすよ」


「そんなこと言うなら残ればよかったじゃない!ほんとなんでついてきたのよあんた」


「いや~姉さんが心配でね!おじさん達に泣かされちゃってたし疑似勇者って大体二人行動でしょ?姉さんに何かあっても嫌だし保険すよ保険!」


 お気楽なアレスを横目にエレナは頭を抱える、しかしこんなお茶らけたアレスでもエレナより強いのが現実、自分はお飾りでこの地位にいるだけで本当はアレスが適任だということもエレナは自覚していたのだった。


「ほらいくよ?今まさにだれか襲われているかもし…」


『いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ〗


 そこまで言いかけて森の奥の方からの悲痛な叫び声を聞いた、若い少女の叫び声、冒険者も多いこの村で上がるこの悲鳴は尋常ならざる事態が起きている事の証であった。


 それを聞いた二人は一瞬で真剣な表情になり叫び声の方に駆け出していく…最悪の事態にならぬように祈りながら


どうも寝巻小唄です!


デスペラード編第2章どうでしたか?

修行だったり勉強だったり難しいことも覚えなきゃいけないことも多くて嫌ですよね!

自分は大っ嫌いでした((笑))


ちょっとネタバレ!次回は魔物?との戦闘とあの叫び声は誰の叫び声だったのか


それと新たな謎…

腕時計?ファンタジーの世界に?っとこれを読んでる方がいたら謎な部分を探してみてください物語に深くかかわってきます!


それではまたTwitterやってるのでよかったらフォローオネシャス!また次回~

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