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英雄に憧れた少年は!!!魔王になる???  作者: 寝巻小唄
デスペラード編
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デスペラード編 第41章〈ならず者XI〉

毎週日曜月曜のどちらかで投稿させていただいております。


面白かったり興味があれば星やブックマークをしてお待ちいただければ幸いです。


その他の詳細は後書きにて書きますそれではお楽しみください

静かな夜の森の中でバドンと青髪の男が見合う。


「あんた疑似勇者だよな?なんでこんな事してんだ?それに…」


そう言葉を濁しバドンは青髪の男の後ろに居る見知った人物に声をかける


「なんであんたがそっち側に居んだよカビタさん」


その言葉にビクッと体を震わせてカビタがおずおずと出てくる


「お、俺は第五に入るって決めたんだ!そのための献上品を持ってきた!お前に、お前に何が分かる!!アラヴィス公国の冒険者でそんな強いお前には俺の事は分かんねーよ!!」


震えた声でそう叫ぶカビタにバドンは焦りや不安といった感情を精霊から感じ取る。


「俺も、俺も分かりますよその気持ち…同じくらいだと思っていた実力の奴がどんどん先に行って焦る気持ちも不安な気持ちも、守っていたはずの奴の守られる気持ちも…だからカビタさんこっちに…」


「ぺちゃくちゃ喋ってねーで始めようぜ?今は俺らは敵同士だ、んな御託並べるくらいなら実力で俺らを止めてみな!」


「キヒッそうだぞ小僧!」


青髪の男はバドンの言葉を遮り後ろに居たスキンヘッドの男が顔を出し青髪の男の言葉に相槌を打つ、バドンの言葉には底知れぬ説得力と力がある、あれを聞き続けたらカビタは向こう側に行ってしまう、こちら側は三人対してバドン側で戦えるのは彼とフラウの二人だけだろう。


こちらが優勢の今しか勝ち目はないと男はそう確信する。


その理由は目の前のバドンから放たれる底知れぬ魔力を感じ取ったからだ、彼はこの嫌な魔力の流れを知っていた。


だから劣勢になる事だけは避けバドンの言葉を遮ったのだ。


「冥途の土産に俺の名前をもってけ、第五騎士団のマルス、神マルスの名を家名に持った名家の長子!第二騎士団副団長のアレスとは違い神の名に恥じぬ戦いをしよう!!」


「キヒヒ!このジャルダン、マルス様の怨敵を撃ち滅ぼしましょう!」


「…騎士道にのっとり名乗ろ、俺はカビタ」


三者三様に名乗りを上げバドンに剣を向ける。


「フラウさん青髪の男はお任せします!後の二人は俺が食い止めておくので!」


バドンはそういうと剣を構える


「わ、私ですか?!む、無理です!!勝てません!!!」


そんなバドンとは裏腹にフラウは弱気な姿勢を見せた。


ハルと一緒に戦った時でさえカビタに勝つのはギリギリだった、彼のオリジナル魔法はとてつもなく厄介でかなり苦戦をしてしまうだろう。


そしてあのスキンヘッドの男もフラウから見たらかなりの手練れだ、ピュートンと訓練を行ったといっても未だに殺し合いの経験はない、昨日初めて死を実感したばかりなのにこうも立て続けで来られては身が持たないとフラウはそう思う


「フラウさん?貴女は自身の実力を卑下しすぎです!貴女は過小評価されるべき人間じゃない、貴女は貴女の実力をもっと信じるべきだ、準備ができるまで俺が何とか抑えます!!勝ちましょう!!」


「ちょ…」


フラウの制しも聞かずバドンは三人に駆け出していく


〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜


「わ、私じゃ何にも…」


両の掌で優しく包んでいる彼女の親友である妖精のハルを見ながらフラウは瞳に涙をためる。


死の恐怖が、親友の悲惨な姿がフラウの弱気な心をどんどんとマイナスな方にもっていってしまう。


「何を泣いているの!?」


そう声を上げたのはビシュウだった。


「あ、貴女はそんな弱気な人間じゃないはずでしょ!!根暗なのに図太くて友達の事になるとすぐに怒って人一倍努力家で負けづ嫌いで…」


ビシュウの声はどんどんと弱くなり最終的に涙を流し、蹲って泣いてしまう。


「ビ、ビシュウさん?」


咄嗟に駆け寄ったフラウは仕方がないとそう思ってしまう、ビシュウは好きだった彼氏に裏切られ好きでもない男達に体を弄ばれ彼女の心は今ズタズタに引き裂かれているのだ。


「あ、貴女が戦わないで…誰が彼の味方をできるのよ!?」


蹲って泣いているビシュウは今もなお三人の猛攻を一人で凌いぎ自分達のために戦っている青年の後ろ姿を見ながら続ける


「彼は強いわ…でもね私は知ってるの見てきたの…貴女は周りからの妬みや嫉みに屈しない聞こえるように悪口を言われても不正をされても貴女は必死に頑張ってきた…同期の二人が正式な団員になって貴女はピュートンさんに訓練の変更をお願いしたでしょ?グスッ貴女は弱くないわ私みたいに周りに振り回されない、周りに屈しない、そんな貴女自身の強みがしっかりあるでしょ?!私にはなかった、それでも私がもう一度前を向けたのは貴女のおかげなの!そんな弱気なあなたは見たくない…アハハいまさら何言ってるんだろ私…ごめん…ごめんなさい」


今までフラウにしてきた事を恥じ謝罪しそれでもフラウなら勝てると涙に濡れた瞳でビシュウはフラウの瞳を強く覗がフラウの心には届かない


「あ、貴女はただ自分が助かる為にそんなウソを言っているんですよね?私が、私が勝てるわけないじゃないですか?!今はハルもいないのに…私だけじゃ…」


マイナスに進む思考を持ち直すにはまだ足りないとビシュウは思う自分がそうだったのだから。


彼女が言っている事は全てが本当だった。


彼女が候補生一年目の時、その代ではずば抜けた成績を叩き出し、教官達からも飛び級試験を受けさせて正式な疑似勇者団員にするべきだと議題にも上がる程に彼女は当時の実力者だった。


しかし彼女の周りの同期はそんな彼女を除け者にした。


集団の中から一人だけが歪な飛び出し方をしたせいで、集団から弾かれ、彼女は次第に強くなりたいという気力を失い教官達からも見捨てられた。


そんな中でビシュウはカビタと出会い交際を始めた。


ビシュウの中ではカビタは騎士団の中で唯一信頼できる先輩であり彼氏であった。


そして一年が過ぎ彼らが候補生にやってくる。


勇者の襲撃を未然に防いだ期待の二人に、それに張り合う事の出来る実力者のいる世代の候補生達が…


一年先に入ったビシュウは下からのプレッシャーに焦りや不安を感じ、そしてそれを共有していたカビタにさらに心酔していった。


新たな候補生が来て半年後にビシュウの耳に後輩の二人が一足先に正式な疑似勇者に成ったとそう飛び込んできた。


飛び級制度を用いて騎士団最強の男の息子ピュートンが教えていた三人のうちの二人がその試験に合格し、あと一人も時間の問題だろうとそう噂されていたが一か月たっても名前は聞こえてこない、彼女も自分が落ちた沼にはまっているのだろうと最初はそんなことを想っていたビシュウは演習場で戦っている彼女の姿を偶然に見かける


その戦いぶりはピュートンに引けを取らず契約している妖精との相性もかなり高いとビシュウは感じた。


(へ~やるじゃん)


そんなことを想い一足先にビシュウは食堂に向かい、そこでフラウの現状を聞いてしまう。


「努力の無駄だよな!正式な団員に飛び級じゃもう成れねーのに!」


「あの女も災難だなピュートンさんを嫌ってる教官に試験官やられて落とされてこれで三回目だぞ?まだやんのかよ…」


聞き捨てならないセリフにビシュウは驚きを隠せず噂をしている同期の二人に近づき


「どういう事?」


と二人の同期に話を聞いた。


彼らが言うにはピュートンを妬む教官達が試験官になり無茶な課題をやらされ落とされたという内容だった。


「何よそれ…」


彼女は憤りを隠せない、必死に努力をして三回落ちても諦めない彼女に自分を重ね同情して、そして彼女はすぐさま食堂を後にして彼女とピュートンにそのことを伝えに行こうと演習場に向かうと先ほどまで綺麗だった顔は泥まみれで体中も擦り傷を作りボロボロの状態なのに諦めた顔一つせず彼女はまたピュートンに立ち向かっていく


そんな彼女を見てビシュウは(バカみたい)と心の中でつぶやく


それはフラウに対してではなく彼女と自分を重ね合わせた自分自身に対してだった。


フラウはビシュウとは違う…


陰口にも不正にも負けず必死に努力して戦っていた、一方で彼女は周りからはじき出されただけでやる気を失い男に溺れた。


そんな彼女はフラウを見てもう一度だけ本気を出した。


そうして同期たちより少し早い試験を飛び級で受ける事になりそこでフラウと出会う。


彼女はフラウと仲良くしたかったが試験官が自身の彼氏であるカビタであり、そして彼の瞳がフラウを狙っている事に嫉妬してしまい彼女はフラウにキツく当たってしまった。


だが今彼女は彼氏であるカビタに裏切られ心酔しきっていた感情もさめて冷静になり本心をさらけ出していた。


そんな経緯の彼女だからフラウの気持ちが良くわかるのだ…


落ちた心はもう…


『フ、ラウ?』


そうビシュウが諦めかけた時フラウの掌で小さな妖精が目を覚ます。


「は、ハル!よ、良かった…」


『話聞こえてたよ…彼の…バルド君のところに行ってあげて…?私は今…戦える状態じゃない…彼を救えるのは…貴女だけ…』


体を起こし弱弱しい口調でハルはフラウを諭す。


目の下にできた隈が痛々しい彼女の笑顔にフラウの心は少しだけ揺れ動く。


「わ、私はハルがいないと…弱いんだよ?勝てないよ…」


それでも弱気なフラウをハルは優しく強い瞳で見つめる


『フラウ、顔を近づけてくれる?』


「何?…」


ハルの通りにフラウは顔を近づけると


ペチンッ


と弱弱しく小さな手のひらがフラウの右頬を叩く。


『ごめんねフラウ…でもね…今貴女が頑張らないとみんなが不幸になる…貴女にはあの青髪に勝てる力がある…バルド君も言ってたでしょ?…大丈夫貴女には全部見えてるはずよ…だからね彼を救ってあげて?…彼女たちを守ってあげて?…』


叩いた頬をさすりながらハルは諭すようにフラウに語り掛ける、フラウの瞳に力が戻りつつあるのを感じたハルは最後の仕上げと言わんばかりに彼女の眼鏡に手を掛ける


『このメガネはアルシェが貴女与えた鎧…でもねもう貴女はこの鎧が無くても大丈夫でしょ?…貴女の瞳を怖がる人はもう貴女の周りにはもう居ない…例え居たとしてももうあなたの周りには友達が助けてくれる人が大勢いる事に気づいてるでしょ?貴女の両親も貴女を怖がってたんじゃない貴女を守ろうとしてたのよ?…だからねもう恐れないでこの鎧はもう貴女には要らない…ごめんねアルシェ』


そう言ってハルはアルシェの贈り物である眼鏡を光の粒子に換えてフラウの視界をクリアにする


『あなたがこれから見ていくのは、真っ暗闇なひどい世界じゃだめなの、貴女がこれから目にするのは希望に満ち溢れる優しい世界…だから頑張って』


そう言うとハルはパタリと倒れてしまう


「は、ハル?!」


「大丈夫よ気絶しているだけ」


そう言ったのはエルフの女性だった。


「ほら行ってあげて!彼女は私達がちゃんと守るから!」


今目の前で自分ができなかったことをする青年に瞳を向けたエルフの女性はフラウからハルを優しく受け取ると彼女の背中を優しく押した。


「ハル…貴女の期待にこたえられるか分からないけどやってみるよ!!貴女達も絶対に守るから!!」


親友から託された言葉に勇気をもらいフラウは自分が周りに愛されていたことを自覚する…


周りに助けられ育てられ、そうして彼女はその瞳ですべてを見通す…


どうも寝巻です!!


今回は休みだったこともあり二話投稿です!!!


先週はすみませんでした!!!


謝罪は前の回でやったので今回は少な目で!!!


てなわけでどうでしたか?デスペラードは後一話だけ続きます…先週と言ってる事違うやん…


って思われた方すみません書きたいことが増えてしまって…(≧▽≦)


次週は本当にデスペラード編最終になります多分!!!


それではまた次回…


英雄覚醒ス…

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