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英雄に憧れた少年は!!!魔王になる???  作者: 寝巻小唄
デスペラード編
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デスペラード編 第34章〈ならず者Ⅳ〉

毎週日曜月曜のどちらかで投稿させていただいております。


面白かったり興味があれば星やブックマークをしてお待ちいただければ幸いです。


その他の詳細は後書きにて書きますそれではお楽しみください

ロブロム王国とアラヴィス公国を北に抜け魔龍の谷を抜けた先、そこは魔導の聖地、魔法学園都市ガーデンが存在しその周辺には多くの国々が点在した。


その魔法学園都市から少し離れた賢者の棟と呼ばれる魔法学者(マジックスカラー)達が魔法の研究を行っている棟のそこし先にある小屋、その小屋の扉を茨の騎士(ナイトオブホーン)が叩く


「…入れ」


少しした後、扉の向こう側から声がして彼女は迷いもなく扉を開ける


「久方ぶりです、師匠、お耳に入れておきたい事があります故、少しの間お時間をいただけませんか?」


丁寧な口調で彼女は未だこちらを見ず研究資料を漁っている師匠を凝視する。


「その様な熱い眼差しを送らんでもすぐ終わる、少し待て」


彼女の視線に気づいたか、一言だけそう言うと彼女は頷き近くにあった椅子に座る


(変わらないなこの人は…)


いつもの光景、茨の騎士と呼ばれるようになる少し前から私は此処にいた。


家の重圧から逃げるために…


ローズ家と呼ばれる100年以上前に貴族になった家があった。


私はその分家、ロサ家という家に生まれた。


しかしこのロサ家は貴族と言えるほど裕福ではなく、親兄弟は欲望に忠実で家の中に私の居場所はなかった。


しかし私だけではどうにもならない、声を上げても誰も助けには来ない…


そんな時、魔法の研究で家を出た伯父が久方ぶりに家に帰ってくると言う、伯父は父とは20以上も年が離れている異母兄弟だった。


そんな伯父が家に来て私はすぐに懐いた。


外の世界は危険が多いが、それ以上に面白い事が数え切れないほど沢山あると伯父は幼い私に寝物語で語る。


そんな私が外の世界を見たいと思ったのは必然的だった、そして伯父が家を出る私は勇気を振り絞り「連れていって!」と叫ぶように伯父に懇願する


「厳しいぞ?」


たった一言だけ伯父がそう言い、私は首を縦に振る、すると伯父は踵を返して父のいる部屋に行き


「この娘を貰うぞ?」


と一言だけ言って大金をその場に置いて私を連れて出ていった。


伯父についていってもう10年以上になる、私は26才になりそして今年伯父と同じ冒険者の最高ランクSランクの試験に挑む…


「それで?話とはなにかの?」


彼女が席に座り伯父との思い出を噛み締め終わる頃、その伯父本人であり師匠が自身の研究を切り上げ彼女の前に座った。


「実は私達の本家、ローズ家の太古の魔女エイミー・ローズが生きていることを、確認しました」


茨の騎士の言葉に伯父の瞳が大きく開くのがわかる、ローズ家いやその分家のロサ家にまでその噂が耐えぬ魔女、エイミー・ローズ嬢…


彼女はトレントという魔物とローズ家の天才魔術師の娘から生まれた子供だった。


魔力に、聖霊に好かれ神にさえ好かれた彼女はその絶大な力を当時の魔王黒騎士の為に使ったと言われているが、真相は違う…


ローズ家やロサ家の者だけが知る本当の事実、彼女が魔王の為に使ったのは事実だがその魔王は黒騎士ではない、当時のロブロム王国の姫であり魔王に落ちた始めての人間である彼女の為に当時の侍女であり彼女を慕っていたエイミーが彼女の為にその力を使ったのが真実だ…


「そうか…彼女が…」


しかし茨の騎士の伯父である彼の瞳にともった好機の目は直ぐに陰りを見せる


(やはり伯父さんも私と同じ考えに至ったか…)


そう、彼女が、茨の騎士が彼女と会った上で感じたことを伯父は会わずとも分かったのだ


「彼女は…何と言っていた?ワシらに…人間に悪意を持っていたか?」


悲しそうな声で伯父は茨の騎士に問いかける


エイミーはトレントとの間に生まれた子供、ローズ家は血を大事にする血族主義の家、そんな中に生まれた異物の子供、そんな子供がどうなるか二人は分家にいた頃からよく知っていたのだ。


「腹をたてている様子はないです、いえそうですね彼女が弟子にした青年のお陰かもしれません」


そうして茨の騎士の彼女はアラヴィスで見た全てを伯父に話す、彼女エイミーの弟子である青年の強さを


「そうか、お前に全てを話すときが来たのか…ワシが何故冒険者になり、魔法の研究を行っているのかを、お主がSランクになるのなら話せばならない、ワシが知る世界の全てを…」


伯父の言葉にコクりと茨の騎士(ジェーン)は頷いた。


そうして伯父は語りだす、彼が見て出会った世界の理(ルール)の外側に存在する本当の怪物達の話を…


人類最強と言われる冒険者であるSランクや人外と呼ばれる英雄が霞むほどの実力をもつ怪物達の話を…


彼は知っていた人類の到達点のその向こう側にいる存在達を…


〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜 〜〜


バルドと偽名を使っているバドンが、フラウ達に出会う数十分前…


「これでここ三日間泳がせた成果が出たかな?」


バドンはそう言い馬車の荷台に乗せられている奴隷達を解放していく


「こ、こんなこと許されるはずが…」


「許されないもなにも奴隷はアラヴィス公国では違法、それにロブロムとアラヴィスの条約にはこの森での奴隷の密売は禁止されているはずだけど?何をもって許されないって?」


バドンの怒りに満ちた瞳に奴隷商はなにも言えなくなる、実際ロブロムにいる奴隷もこういった違法な奴隷達ではなく、借金奴隷や犯罪奴隷なんかを売買しているはずだがコイツらは違った。


この森は確かに危険だがこの森と共存している種族も居て周辺にはエルフや獣人族が集落を作っていたりする。


危険な場所だがそれ故欲が深い人間は立ち入れず、立ち入ったとしても村に行くまでに消耗してしまう


この森は彼等にとっては自然の城壁なのだ、そしてエルフや獣人族はこの森に住み着いているお陰で危険の察知も早い、もし彼等彼女等を捕まえる事ができる者がいるのならそれは相当な手練れだった。


だからバドンは慎重に動き彼等のアジトを後一歩のところまで特定し、そうして先に奴隷商人である彼を捕まえたのだ。


「彼女達は何処から連れてきた?彼女達以外もまだ居る筈だ!」


「…」


バドンは商人の顔をガシリと両手で掴みこめかみを力強く親指で押していく


「いっ…いた…やめ…」


「吐け、彼女達を何処に連れてこうとした?それに()()()お前はこの道を反対側に行く筈だろう?この先にお前に奴隷を売っている奴等が居るのか?」


どんどんとバドンの押す力が強まって商人は暴れ始める


「いっ言うから!助けて!」


涙目になりながらこのままでは死んでしまうと思った商人は涙目でバドンに懇願する、その言葉を聞いたバドンは、少しだけ両腕の力を抜いた。


「早く吐け俺の気が変わらないな内に」


その冷徹な瞳を見て商人は全てを話す。


「い、今馬車に居る奴隷は…しゃ、借金奴隷や犯罪奴隷等の全うに受け取った奴隷達で!こ、この後にある盗賊の根城に行ってい、違法な奴隷達を馬車にのせるところでした…」


「その根城は?」


「…」


又も商人は口をつぐむ、そんな商人をみてバドンはため息を大きく1つ吐いて抜いていた力を思いっきり入れ始める


「ご、ごめ…や…」


グシャリと商人の頭をバドンは両腕で潰し水系統の魔法で汚れた手と体を洗い流す。


「もうお前には用はないよ、()()が教えてくれる」


バドンがそう言うと彼の顔の周囲がチカチカと光だし、キレイな光景を奴隷達は目撃した。


「成る程、ありがとう」


バドンは虚空にそう言うと、馬車の方に行き奴隷達を解放し始める。


「本当はいけないんですが商人が死んでしまったのであなた達を解放します、犯罪奴隷も居るみたいですが、悪さをした人たちには商人のようになっていただくのでお気をつけを!それではあちらから森を簡単に抜けれるので!」


バドンの脅しの言葉奴隷達は恐怖を覚えながらそそくさとその場から指示された方に逃げていく


「それじゃ俺も行きますかな…」


そう彼が言った瞬間周りにいた聖霊達が急に霧散していく


「ピュイーーーーーーーー」


「なんだ!?」


ただならぬ殺気を感じバドンはその殺気がする方に走っていく、感じるプレッシャーは師匠であるエイミーを怒らせた時のような重さを感じそしてその向こうで誰かが戦っているのが見えてくる


「下がって!」


咄嗟にバドンはそう言い今にも殺られそうな女性に声をかける


『され愚か者共!!ここは我が居住であるぞ!!』


バドンはその頭に響く声の主を見て驚愕する、ドラゴンを単独で刈ることのできる此処には居ない筈の空の王者の鷲獅子(グリフォン)が目の前に居たからだ。


「彼の目を見たままゆっくりでいいから下がってくるんだ!」


バドンがそう言うと女性は理解したのかグリフォンの目を見ながらゆっくりと下がってくる


『それでいい、次前に出てみろ?貴様らを雛の餌にしてやる!!』


その言葉を聞きバドンは胸を撫で下ろす、彼にとっても最悪の相手、グリフォンはその卓越した魔力操作で魔法の壁さえも貫く熱光線を放つ事ができる相手の魔法を無力化しながら、自身の魔法を相手に押し付けるかなりヤバイ相手で魔力量が多いだけのバドンでは太刀打ちできない相手だった。


「もうここまでなら大丈夫!お疲れ様、彼のテリトリーから外れたからこっちに牙を向くことはないよ」


彼女が安全地帯に来てバドンは彼女の背中をポンッと押す


「あ、ありがとうございます!助かりました!」


と彼女はバドンに深々としたお辞儀をする


「いえいえ疑似勇者の皆さんに御助力できてこちらこそ感激です!」


バドンは照れたように自身の頭を掻く仕草をし、三人を安心させようとそんな言葉をかける


「邪魔すんじゃねーよ!俺らだけでやれた!」


「そうでしたか!これは失礼をしました」


「カビタさん!!!」


カビタと呼ばれた青年はあからさまにバドンに突っかかるが「いいんですよ、大丈夫です」とバドンは内心のちょっとしたイラつきを抑え答える


「先輩が失礼を、私はフラウです!お名前をうかがっても?」


「俺はバルドBランクの冒険者です!よろしくフラウさん」


フラウと名乗った女性にいつもの偽名を使いバドンは握手を交わす


「バルドさんは何故ここに?」


「受けた依頼を調査していたらここの森が怪しいとなったので来ました、皆さんは何故グリフォンに襲われそうに?」


盗賊の討伐の依頼がとんだ災難を呼び込んだものだとバドンは内心盗賊達に怒りを向けながらフラウに話を投げる


「疑似勇者の試験で、グリフォンの下敷きになっているあの魔物の討伐に来たんです、そしたらグリフォンと出会ってしまって」


「成る程、確かにここ最近この付近の魔物のランクが一つ上がってるとは冒険者局の方でも問題になっていますね、キマイラだけじゃなくグリフォンまで居るとは思いませんでしたが…」


冒険者局の方でも度々問題に上がっている内容を彼女と擦り合わせていく、そうしてバドンは大体の原因は自分等だと予想を付けた。


(あの森は前に魔力暴走した時の魔力が残ったままだったからそれが撒き餌になっちゃったか…すみません冒険者や疑似勇者の皆さん!)


と心の中で謝りフラウと話をしていると。


「話し合いは終わったか?コイツら二人が疑似勇者に成るために、俺らはあのキマイラを死骸でも良いから持ってかなきゃ行けないんでね、あの鳥を退かすか殺すかするために力を貸してくれないかな?」


カビタと呼ばれていた男性はさっきの態度とは違い丁寧な口調でバドンに声をかける


「やめた方が良いでしょう、先程からただならぬ殺気を此方に向けて放って居ますし、彼のテリトリーにもう一度足を踏み入れれば今度は完全に敵と見なして攻撃をやめないでしょうね」


先程から頭の中で『まだ去らぬのか!!何を考えている愚か者共!!今なら見逃してやる!!』と怒鳴られ続けバドンは一刻も早くここを立ち去りたかったがフラウ以外の二人がそうさせなかった。


「ふんっ貴方ごとき一介の冒険者が私に疑似勇者に成るのを諦めろですって?ふざけないで!あんな鳥ごときを殺せないで何が疑似勇者よ!!ぶっ殺してやる!!」


そう言ったもう一人の女性は警戒しているグリフォンに向かって攻撃の魔法を詠唱し始める


《業火で!灼熱で!獄炎なる火炎の精霊よ、我に敵を穿つ魔弾を授けよ!!焼き尽くせフレアバレット!!!》


「ちょ!!馬鹿かあんた!?彼はこのまま引けば見逃すと()()()()()()()()()()()!」


バドンが制止したにも関わらず女性は攻撃の手を止めようとしない


『やるのか人間!』


頭の声がそう響きバドンは焦って無詠唱の魔法で彼女を止めようとするが


《拘束魔法バインド!!》


とカビタと呼ばれた男性によって防がれる


「な!?詠唱破棄!?」


「うそ!?」


「やらせねぇよ!?今テメェ無詠唱で魔法だそうとしやがったな?!何がBランクだ!馬鹿にしやがって!テメェら見てーな塵どもの所為で俺みたいな天才が埋もれるんだ!!自覚しろ!」


カビタが疑似勇者の時点で詠唱破棄を出来るだろうと踏んでいたがアキレシス並みの早さだとは思わず拘束魔法を食らってしまう、フラウも止めようとしてくれていたが彼は予想していたのか彼女の動きも止められて、もう一人の女性が放った魔法が直撃してしまう


『もう慈悲はくれてやらん!死に絶えろ俗物ども!』


「ピュイーーーーーン」


彼女の攻撃魔法は為とも容易く止められ無情にも掻き消える、グリフォンはその瞬間攻撃をしかけ、女性が腕を負傷してしまうが


「チッ立てるかビシュウ!?少し下がってポーション飲め!!ここは俺が…」


と直ぐにカビタが女性を守るように盾になるが弾き飛ばされてしまう、バドンは熱光線を避けた直後から姿を隠し女性に回復薬をかけて安全な場所に運び戻るとグリフォンとフラウが対峙していた。


バドンがフラウの横に着く頃にはフラウの右肩辺りに小さな妖精が飛んでいるのが分かる。


「妖精付きですか!?助かります!」


『わわ!急に人が!?ビックリした~』


バドンは自身が隠密の為に編み出した魔力遮断で擬似的な魔力ロスト状態を作っていた所為で妖精を驚かせてしまったことを心の中で小さく謝罪する


「ビシュウさんは大丈夫ですよ!目の前の彼に集中しましょう」


その言葉を聞きフラウは「はぁ」と小さいため息をこぼし胸を撫で下ろすのが分かった。


『そこの黒髪…お主出来るな…』


疑似魔力ロストのお陰でグリフォンは攻撃してこない、その隙にバドンはフラウにある提案をする


「フラウさん、提案があります!」


「何でしょう?」


二人はグリフォンから目を話さず会話を続ける


「全力でカビタさんとビシュウさんの前で魔力防壁を建てて貰えませんか?」


その提案にフラウは驚き横目でバドンの顔を確認し否定しようとする


「出来ません!そうしたらあなた一人で…」


『分かった!そうする!!』


しかし彼の提案に賛同したのはフラウではなくその契約妖精だった。


「ありがとうございます妖精さん!!」


そう言いバドンは駆け出す、グリフォンから感じる違和感にある一筋の希望を抱いて

今回はバドン視点です!前回と同じ部分が多いので今回はちょい足しで6000文字位です同じ感じの内容だと薄いので…(*´σー`)


視点が変われば見ている相手の感じかたが変わるのは必然なので書くのが難しかった。


次回はグリフォンとバドンとの戦闘です!


バドンは何を思って一人で戦いに言ったのかご期待ください!それではバーイ

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