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英雄に憧れた少年は!!!魔王になる???  作者: 寝巻小唄
デスペラード編
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デスペラード編 第22章〈街道〉

ロインズとバドンが家を出て浮遊魔法を使用し直ぐに街道に着く、人の目がない場所で二人は降下すると街道に沿って歩き始める。


「お、おい!!あんた等今そこの森から出なかったか!?」


森を抜けてすぐにガラガラッと音を立てて二人の後方から商人らしき人物が声をかけてきた。


「それがどうしたの?」


ロインズは何事もないように後ろを振り返り商人に向かって首をかしげるポーズをとった。


「うぉ!すっげぇ美少女!」


「ほんとね」


ロインズが振り返るとそこには商人の姿だけではなく彼の後ろから顔をのぞかせる男女二人の姿が見える、バドンと同い年くらいの青年は背中に剣を携えて、その横に居る少し年上の女性は神官の格好をしているのが分かる。


「ここって魔物の森だろ!?聖王国ダーハールムにある魔の森と同等って言われるくらい危険な場所を二人で抜けてきたのか?!」


商人らしきおじさんは未だに興奮をしている様子で馬車の上からロインズに語り掛けてくる、その後ろの二人も目をキラキラとさせながらその返答を待っていた。


「そうなの?」


「みたいですね…」


ロインズの質問に答えたのは隣に居るバドンだった。


彼はこの森がなんであるかを子供のころから理解はしていたが、この森は剣の師匠であるロンが彼を連れまわした所為でこの場所が他の人達には危険だという事をすっかり忘れていたのだ。


曰く、この魔物の森と先ほど上がった聖王国ダーハールムにある魔の森は危険度Aランクの場所に指定されていて、ダンジョンの次に危険な場所である、この森ではごく稀ではあるが、Aランクに到達しうる魔物が出てくる、この前バドンが戦ったオークもBランクではあるが野放しにしていたらいずれかAランクにも到達している可能性もあった、それにあのオークは実力だけで言うなら既にAランクと言ってもいいほどだった。


馬車に乗っている3人が驚きを隠せていないのも無理はなかった。


この森はAランク以上の冒険者が潜る場所なのだとバドンは再認識する。


「見ての通りだけど私たちは二人で抜けてきたの、これからこの子のギルドカードを発行してもらうためにアラヴィスに行くのだけどあなた達は?」


「俺はこの二人を雇ってる行商人のアルバだ、本当にこの森を二人だけで…」


「私達はこの人に雇われているBランクの冒険者で私がホルンこっちがソルト、私達今二人だけどアラヴィスには他のパーティーメンバーがいるからそのついでに護衛の任務を請け負ったのよ」


「よろしく!!」


行商人のおっさんとその背後の二人はロインズの質問に正直に答える、この人たちは珍しい部類のタイプだなとロインズとバドンは心の中で思う、この世界は非情な世界だ、力があるが故に楽をしようと略奪をしたりだましだまされることも多い、そんな中で馬鹿正直にあったばかりの他人に自身の事を語る人たちは珍しいのだ。


「私はロインズこう見えてあなた達より年上なの、だから子ども扱いだけはしないで」


「俺はバド…バルド!!バルド・アポロ!よろしく!」


バドンは自身の名前を言おうとして咄嗟に偽名に切り替えた。


彼らがアラヴィスに行くのなら冒険者局で会うこともあるだろう、その時登録名と名乗った名前が違えば怪しまれるのは間違いない、そしてその咄嗟の一言が神官の女性が興味を引く原因にもなってしまった。


「アポロ…?本当に?!あの詩歌,音楽,予言,弓術,医術をつかさどるほか,法典を裁可し,道徳を鼓吹し,哲学を庇護するなど,人間のあらゆる知的文化的活動の守護神とほとんど同じ家名なの?!」


「さ、さすがは神官様で…」


ホルンと名乗った神官の女性は行商人のアルバの背中を踏み台に前のめりになってバドン、改めバルドに強烈な眼差しを浴びせていた。


「お、おい!おっさんが!」


「ねえ!おじさんこの二人も護衛に着けたら!?魔物の森を抜けたってことはAランクの実力はあるんでしょ!私もそっちのアポロさんに話聞きたいし乗せていってもいいんじゃない?!目的地も一緒だし!!」


「か、金が…」


ソルトと名乗った青年はあたふたとしながら彼女を止めようとするが神官とは思えない力でその静止を振りほどく、そして下敷きになっているおっさんはどこか嬉しそうな声を漂わせていた、まあ彼もやはり男なのだ。


「お金はいらないから乗せてくれるならありがたく乗せてもらうの、この森を抜けるので疲れてしまったから」


「こう言ってることだし!!」


「わ、分かった!」


ロインズの言い分に二人は納得していた、実際に二人は浮遊魔法でここまで来たのだ、疲れているはずなど無いのにロインズは彼らから聞いた情報で即座に嘘を吐いた、その咄嗟の判断にバドンは苦笑いを浮かべる。


「助かったの、この森を抜けるのは苦労したから」


「やっぱり高ランクでもこの森は流石に抜けるのきついよね、そうだこれ!」


ロインズの隣に座ったホルンがそうだと思った!と手を叩き同意しながら自身のポーチの中からオレンジ色の液体が入った小瓶を取り出しロインズに手渡す、その中の液体には気泡がぷくぷくと浮いていた。


「これは?」


「これはねぇ~最近いろんな国で流行ってるポーションドリンク!!昔のポーションは苦かったりまずかったりしたんだけど最近出た商品でね!おいしく体力を回復することができるの!」


手渡された小瓶の蓋を開けロインズは口をつけ少しだけ喉に流すと、ゴホッゴホッとむせ返る


「こ、これ何?少し(から)い」


「それはねぇ~炭酸?て言うやつらしいんだけど慣れたらおいしいよ!!はいこれ貴方にも!」


「ありがとうございます」


初めて飲んだ飲み物の感覚にロインズは戸惑いを隠せていない、そんなロインズを横目にバドンはグビッと手渡された小瓶の中身を飲み干す。


「うまいですねこれ、味は色のままオレンジなんですね」


「いける口ね貴方!!」


「俺はそんなに一気にはいけないなぁ~」


バドンの飲みっぷりにホルンとソルトの二人が反応する、そんな三人を横目に渡されたポーションを未だにロインズはチビチビと飲んで顔をしかめていた。


「ガハハハッ兄ちゃんそれ気に入ったかい?なんでもその商品は海渡った魔族大陸アルガノスから来たものらしい、俺も伝手を使って手に入れてな!良かったらまだまだあるから金の代わりと言っちゃなんだが報酬として受け取ってくれや!」


馬の手綱を引きながらアルバがそんな事を聞くとそれに反応したのは一気に飲み干したバドンではなくいつの間にか飲み終えたロインズが答えた


「報酬20本で請け負うの」


「いいぜ!それ嬢ちゃんも気に入ったか!!」


「ええ慣れると本当においしいの」


そんなロインズを見て他の三人にも笑みがこぼれる。


そんな馬車が和気あいあいと走っていると唐突に商人のアルバがロインズとバドンに向けて質問をする。


「そんで嬢ちゃんと兄ちゃんはアラヴィスに冒険者登録するってことだけどよ、なんでアラヴィスなんだ?魔物の森を抜けたってことはロブロム王国から来たんだろ?ロブロムでもできたじゃねーか?」


いたってシンプルな質問だが二人には答えずらい質問が飛んでくる


「私はもう登録してあるの、彼の修行ついでに抜けてきただけ、さっきも言ったけど私はこう見えてもう100年以上は生きているから子ども扱いしないでほしいの」


「100?!そりゃわりーな嬢ちゃん!あんた長命種のエルフかそれともエルダーの種族か何かかい?」


「エント、貴方たちで言うところのトレントの混じり物なの」


「トレントって木の精霊って呼ばれているあの?!ハーフエルフより滅多にいないわよ」


ロインズは何事もないようにそう言って語る、バドンはこのことを知っていた。


彼が彼女の元で修業を行っている時に、彼女は朝に決まって周りの木々にしゃべりかける、そのことを彼女から聞いたら返ってきた返答が先ほど三人に話した内容と同じだった。


「別に珍しい事じゃないの、魔物に襲われて子供を作ってしまった娘がいた、それだけなの」


「ご、ごめんなさい、それじゃ貴女のお母様は」


周りの空気が一段階下がったような気がしてホルンは自身の失言にしゅんとしたような表情を出し謝る


「気にしてないの」


良くある話だ、魔物に襲われ魔物の巣で彼らの相手をさせられ、彼らの子を宿してしまう女性は今もこの世界にたくさんいる、テミスを襲ったあのオークもそのうちの一体、そんな事がこの世界では日常的に起こっていた。


「ア、アポロ君の方はご家族は元気?!」


「…俺、ですか?!」


咄嗟に場の空気を換えようとホルンがバドンに話を振る、一瞬遅れてそれにバドンが気付き咄嗟に返事を返した。


名前を偽ってしまっている所為で反応が遅れたが、誰も不自然に思っていない、皆先ほどの話で残ったこの場の雰囲気をどうにかしてほしそうにバドンを見ていたからだ。


「俺の父親は10年前にあった魔王討伐の際に犠牲に、母は妹と楽しく暮らしているんで自分は冒険者になって金稼ぎにって感じですかね」


バドンは咄嗟に嘘を混じらせながらそんなことを口にする。


「そっかあの討伐戦争で」


「そりゃ大変だね」


ホルンがまたやっちゃった、と顔に出しながら言った後にソルトっも口を開いた。


「ガハハハッしゃーねーよ嬢ちゃん!!人間生きてれば不幸なことなんて数えれねーくらい起こる、そんな起こった不幸を嘆くより、その不幸を上書きできるほどの幸せをつかまないと人間、前に進めねーだから!いまそこの兄ちゃんや嬢ちゃんも前に進もうともがいてるんだぜ!俺らが暗くなってちゃ行けねぇだろ?」


他砂を引きながら起用に顔だけこちらに向けたアルバは笑顔でホルンに笑いかける。


そんなアルバの言葉にそっかと短い返事だけをして「そうだね!」と再びホルンが元気な笑顔を見せる、そんな彼女の笑顔は彼女がバドンより年上だと感じさせないぐらい無邪気な笑顔だった。


「そういう二人はどういった経緯でパーティーに?」


笑顔を取り戻したホルンやソルトに対して今度はバドンの方から質問が飛んだ。


「私たちはねアラヴィスで出会ったの、冒険者局に冒険者登録をしに来た彼を私のクランに居れるために勧誘をしてね、彼その時の冒険者の試験で一番優秀でね、だから…」


ドゴオオォォン


ホルンが続きを話そうとした時前方の森の木々が薙ぎ倒され2メートルを超える巨体が馬車の前に姿を現した。


その禍々しい姿にアルバだけでなくホルンとソルトも硬直をし、馬車を引いていた馬は馬車から逃げようと大暴れをし始めてしまった。


しかしその場にいた二人のおかげで三人と一匹の命は守られる。



寝巻です!!


前回のお話すみません変になっていたことに気づかず投稿してしまいました!!


前回を修正したのでそちらと合わせてみてください!ではまた次回!

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