トーナメント編 序章<可能性>
眠い中書いたので誤字脱字もしくは変な言葉遣いになっている可能性があります。何かあればコメントまでお願いします。
「今年もまたこの季節がやってきた!!!!異世界の勇者様を模したロブロム王国最強の騎士団!!“疑似勇者”騎士団の団員を決めるこの闘いの日が!!!」
“音声拡張”の魔法を使い、よく通った声の男がそう叫ぶと壮大な音楽が流れ始める
「この大会はトーナメント形式で行われ、世界の終焉に現れるとされる勇者様を模した疑似勇者を数多くの参加者の中から8ブロックごとの優勝者として選び出し、のちに疑似勇者見習いとしてこの国の騎士団に入団する8名を決める名誉あるこの国ロブロムの名物ともなっているこの大会、それを勝ち抜き8つの席を手にするのはいったい誰だ!!!!正午の鐘が鳴った時新たな疑似勇者の誕生を決める戦いが始まる!!!!その目で刮目して見よ!!!!!」
ロブロム王国が主催する“擬似勇者”選別の大会のアナウンスが流れる。
ここロブロムでは“10月”頃になるとこの様な催し物を開催する、今回の大会で確か37周年する名誉ある大会だったはずだ。
“擬似勇者”とはこの世界を度々救う為に召喚される“勇者”を模してそう名付けられた、この国の騎士団の別名でもあり、勇者の補佐をする役割を担う事もある。通常他国では勇者の補佐をする人物はその国の英雄や冒険者の中のsクラスの者にこの役割が与えられる。
疑似勇者は他の国の騎士団と何ら変わりない組織体系をしているが、“擬似勇者”と呼ぶだけあって彼らは他国の騎士団と比べ物にならない実力を誇っているのだ。彼ら疑似勇者は一人一人が片足を人外の領域にまで突っ込んでいる戦士達、先に説明した通り他国の英雄と呼ばれる存在や冒険者ギルドに所属する最強のsクラスに匹敵する実力を持つ騎士団なのだ。
どれほどか?と疑問に思うのも無理はないだろうが、強いて言うなら通常の騎士団の兵士が1000人束になっても勝てない存在が英雄やsクラスの冒険者そしてこの国の疑似勇者達なのだ。
「なあ聞いたか?海の沖の方に空から大きな火を纏った巨大な石が振ってきたらしい」
「知ってる!!!ばあちゃんが“隕石”って呼んでた!!魔王誕生の前触れだと顔を青くして騒いで神様に祈りを捧げていたよ!」
すれ違った二人の男性は先日起きた隕石騒ぎで盛り上がっている、そしてあの二人の口から出た言葉が疑似勇者が必要な理由となぜ未だに勇者召喚が度々されるのかについての答えなのだ。
勇者召喚が行われる理由、それはこの世界に度々現れる“魔王”について話さなければいけない。
魔王は定期的にこの世界に現れる、“人を超えた存在”“人外の頂点”“外側の人類”。呼ばれ方は種族様々だが、魔王が一度現れれば世界各国は全てを投げ打ってまでこれを討伐せねばならない、理由は簡単だ、たとえ人外の領域に踏み込んでいる者達が何人居たとしても魔王にとっては赤子も同然なのだ。
現にこの世界に現れた中で最も有名な魔王は、最強の魔王〈暗黒の黒騎士〉と最悪の魔王〈オルドリッジ〉だろう
オルドリッジは2000年も昔に獣人族から生まれたとされる魔王...その牙や爪で数多の人々を屠り、数多くの国家を破壊して世界の半分までを手に入れた最悪の魔王、勇者との戦いでは深手を負わされているが、それでもこの魔王は消息を絶つまで討伐されず、そして最後に世界に向けて放った言葉は印象的で文献にも残るほど。
「俺が世界を手にしなかったのは、未来を守るためだそれ故に貴様らに最後の選択肢をやる!!いまだにこの俺と戦うのなら今度も容赦などせず来たものすべてを食い殺す!!!俺の脅威が去った後、俺の愛する者に手を出してみろ?俺は舞い戻り俺をなめた者共の大事な存在を地獄に案内をしてやる!!!これはこの世界への呪いとして俺からお前らにプレゼントだ!!!」
そう言葉を残し世界の半分を手にした魔王は消え去った。
この遺言のおかげで獣人は虐げられる事は無かった、いや出来なかったのだ...その警告を無視したある国王が魔王の子孫である獣人を奴隷にし、その翌日にその国の王の妻子の首が何かに噛みちぎられた様な無残な姿で発見されたと歴史の記述にある。
オルドリッジが言い残した通りに…
オルドリッジが残した呪いを誰もが疑う事はなく無視できなくなっていった...しかし今ではその効力は切れているのか獣人を奴隷にしている国々は多い...
そして次が最強の魔王〈暗黒の黒騎士〉である
オルドリッジに比べて800年前と割と最近に現れた魔王だが、その魔王には魔法は通用せず剣技もその技量の前には通用しない、まさに最強の魔王だったらしく極め付けは、この魔王は人族から始めて出た魔王だった。
人族は魔王に成らぬと思われていた時代に突如として現れ、一国の姫を誘拐し魔王の城に連れ去るといった不思議な行動をしているが、現在巷ではおとぎ話の英雄としてだったりロマンス小説の主人公にされて婦人方には人気なんだそう。
話はそれたが、誘拐された姫を救うべく姫の父親である国王は、勇者召喚を試みて“8人”の勇者の召喚に成功、そして2年の時を経て魔王討伐に全軍を動かすがそれは戦いにすら成らなかったらしい。
魔王に対抗すべく召喚した勇者達は手も足も出ず、約数千の軍勢を一人の“死者”も出さずにその戦いを魔王は納めたと言う。
どうやって戦いを収めたのか?どうやって“死者”を出さなかったのか?そして魔王は何処に“消えたのか”などは記述にも載っていなく謎が多いのだが、しかしそう言った人の理から外れた者がこの世界には現れる。
話が長くなったが此処までが勇者が必要な理由だ。黒騎士の時にはあまり役に立っていなかったが、オルドリッジの時には何かと活躍を見せている部分もある勇者達はそれこそ魔王の切り札になりえるのだ。
そしてこの国の人々は紛い物でもそれを求めて疑似勇者という名の騎士団を作った。
今日、この“擬似勇者”のトーナメントに彼の幼馴染二人が出場することになった。
一人は彼の親友で名前はアキレシス、風魔法が得意で兎に角早い攻撃が特徴的。
そしてもう一人は彼の恋人で婚約者のテミス、彼女は打撃がメインで戦っている、格闘とは程遠いが物凄い力いわば魔力の塊を拳に溜めて放つ一撃は大の大人とて無傷じゃ済まないだろう。
その当の本人の彼はと言えば二人の応援の前に彼の妹と出店を回っていた。
「ねぇおにぃ〜お腹減った〜」
「そうだな~まだ時間あるし腹ごしらえしとくか!何か食べたい物あるか?ナオ?」
兄である少年は黒髪に少し茶色の混ざった髪色の妹ナオに向けてそう聞き返す。
「んー“焼きそば”かなー」
彼女の中ですでに出ていたであろう答え…その鼻をくすぐりお腹が減る原因になった香ばしい匂いの焼きそばに目をつけた、召喚勇者が多いこの世界では向こうの食べ物も多く開発されていて食の文化はかなりのものになっている。
「そんじゃあいつらの分も買うかな」
そう言い少年は大会に出る二人の分の焼きそばを自分達のと一緒に買ってトーナメント会場へと向かう。
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ガチャリとトーナメント会場であるコロシアムの控え室の扉が開く、扉の向こうには今か今かと闘いを待ちわびている闘士達が準備運動をしていた。
「あれ?二人ともよく入れたね!」
金髪に180はあるであろう背の高い爽やかな美少年は、今しがた扉を開いた見知った少年少女に声をかける。
「そこの衛兵さんがね!二人に応援を言いに来たって言ったら通してくれたんだ!」
笑顔で答えるのは黒髪に茶髪の入った可愛げな少女のナオだ。そして先程二人に声を掛けたのは黒髪の少年の親友のアキレシスである
「なんだ...てっきり応援には来ないと思ったわよ?バカバドン?」
そう言われ黒髪の少年バドンは手に持っていた荷物を全てナオに渡す、彼はゆっくり近づいてくる不気味な笑顔の少女が何かをすることを悟ったのだろう。その少女の髪は水縹色でとても美しい髪から、時折覗く目は金色で少し変わった耳をしている特徴の多い少女だ。
「い...いやぁ〜?それは親友と恋人の大事な日だもん応援しに行くに決まってるじゃん!」
「....へぇそんなこと言えるんだ....ふーん」
(ああまずったなぁ〜)
額に汗を浮かべてこちらに歩きながらもその速度はかなり遅い少女からバドンは目を離せないでいる、その美しさに見とれているのではないその纏っている殺気に手足が緊張するのが分かるのだ、そしていよいよ二人の間が縮まったその時
ドゴンっ
と大きな音と共にバドンは後方の誰もいない壁まで吹き飛ばされていた
「ガハッ!」
小さく呻きバドンはふらつく足を正して少女へ向き直ると、周りの闘技者達は何が起こったのか把握しきれていない様子が目の端に映る。
周りの闘技者たちには今しがた騒がしくしていた少年が気づいたら後方へ飛ばされてたといった認識をするものが多く、そのことが示す事実は飛ばした本人である少女の攻撃速度をこの場のほとんどの者が目で追えなかったことになる。
「ふんっ私がいなくてもしっかり鍛錬してるみたいね!」
「当たり前じゃないか...今回はダメでも来年はテミス達と同じ所に行けるかもしれないしおちおちサボって居られないよ〜っと皆さん驚かせてごめんなさい!!」
顔を少し赤らめほほを膨らませた少女がそう言うと、パンパンと服に付いた埃を払いながらバドンは少女にそう答える、目の端では周りがざわついている事に気づき頭を下げて謝った、しかし周りの様子がざわついていたのは騒がしくしていたからではなく、様子を見ていた闘技者達は先程のやり取りを見て驚愕していたのだ。
「テミス!!バドンになんてことするんだ!君も知ってる通りバドンは僕らとは違って“加護持ち”では無いだよ?!バドンにもしものことがあったら一番後悔するのは自分だって分かるだろ!?」
アキレシスがテミスに詰め寄るが彼自身実際にバドンがどうこうなると思ってもいない、バドンと戦った事のあるアキレシスは知っているのだ、バドンは本物の天才であることを。
アキレシスは村で行われるこの大会の参加者二人を決める村の大会でバドンと戦い加護を持っている自分が加護を使用してやっと加護を持たない彼と互角だった事を…
加護とはこの世界の神が作ったとされる力、人が人外、言わば魔物と呼ばれる化け物と戦えるすべを神が与えたとされるのが始まりで、加護持ちとそうでないものとでは力の差があるのは当たり前なのだ、実際に加護持ちが持っていないもに負ける事はほぼ無い
そしてそんな加護にも色々ある、例えば《自身の力を増やす加護》や、《魔法の既存効果に別の何かを付与する加護》など様々な加護が神の数以上あるのだが、バドンにはその加護が出現しなかった、それは神にとってバドンは加護を与えるに値しない者だと見限られた証拠でもあった。
アキレシスに宿った加護は自分の速度を更にあげたり、風系統の魔法の操作をより簡単にする韋駄天の神の加護を受けている。しかしそんな彼でも加護無しであるはずの彼は引き分けに持ち込んだのだ。
もしもそんな存在に加護が与えられていたとしたら、それは召喚された勇者にも引けを取らない最強の擬似勇者になっていた可能性があった。
その事を知っているアキレシスでも今しがたのバドンには驚かされた、もし実際にアキレシスがテミスのあの攻撃を食らったなら骨の何本かは確実に持っていかれただろう、それは例えあの速度の攻撃に完璧なタイミングでガードをしてたとしても無傷ではすまないのだ。
しかしその加護持ちであるはずのテミスの攻撃を前にしてピンピンしているバドンを見て周りの者と同様にアキレシスには衝撃的だったのだが。
そんな事をよそに、彼が無事なのは当然とばかりに鼻をフンッッとならしながらテミスはアキレシスにあきれたように言葉を放つ
「あんたみたいなもやしよりバドンは鍛えてんだからこれくらい耐えられるに決まってるでしょ?しかも腰を入れて殴ってないんだからそこまで騒がないでよ」
今のテミスの攻撃が本気では無かった事にアキレシスは少し顔を青ざめさせる、そんな彼を横目にテミスは先ほどから鼻をくすぐりおなかを刺激する匂いを放つ物に目を向ける
「いい匂いがするわね!」
「あっこれさっき買った焼きそば!試合前に食べても大丈夫だと思うけど激しい運動するんだからやめとく?」
鼻をスンスンとしながら匂いのする方に居るナオの手見上げに気づいたテミスは、ナオ優しいの気遣いに首を降り、少しあきれたようなアキレシスと二人そろって
「今食べるよ」
「こんな匂いさせて食べれないなんて地獄だわ!」
と口々に言ったのだった。
初めて寝巻小唄です。
プロローグでは書けなかった設定をここで書きました。何故プロローグで書かなかったのか?と言う意見もあると思うので先に述べさせて頂きます。
まず初めにプロローグの方は全ての始まりの物語を書きたかったのであのような形になりました。そして待望の本編第一話....申し訳ございません。
プロット段階ではこの第一話でトーナメント編が終わる予定でしたが...説明入って色々押しました。
そして世界観なのですが....これは中世ヨーロッパ風の王道のファンタジー世界だと思っていただいて結構です。
自分自身これがファンタジーなのか?とプロットを書き終えて思ったのですが間違いなくファンタジーです!
出来るだけ盛り上がるところは盛り上げて落とす所は落とすので何か至らない点がありましたらコメントよろしくお願い致します。