デスペラード編 第6章〈気勢〉
寝巻小唄です!
第2の日曜日から火曜日
第4の日曜日から火曜日
のどれかで3〜4回を目指して投稿します
概要は後書きで
真っ暗な世界、意識が海に溶けて出していくような感覚の中で遠くからか声がした
『すまない、我々の戦に君を巻き込んでしまった、私の力ももう随分と奪われた…君に私の最後の力を譲ろう、その力で君はこの先何を見て何を知るのだろう、君の成長の見届け人は彼に任せるとしよう、私の永劫の命の物語もここで終わりだ。すまなかったな__君、約束だ私の最後の時、その約束の者を君に送ろう、彼が君と白織の子供に成れる様に。』
初めは自分に語り掛けていたその声の主は、遠い記憶を思い出すように自分ではない誰かに語り掛ける、その声は温かさにあふれそれでも何かを懺悔しているようなそんな悲しくも優しい声、そして溶けだした意識が一つに戻り始め彼は覚醒をする。
セ回Deさいgお之マ王のハじまrいノ物語…
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バドンが亡くなり一週間が立とうとしていた
テミスたちが疑似勇者として出発するまであと2.3日ほど、しかし二人は万全な状態ではなかった。
テミスはバドンがいなくなった事をきっかけに部屋から一歩たりとも外へは出ていない、そしてアキレシスは毎日ぼろぼろの姿で街中を歩いているのが確認されていた。
「テミスねぇ…いつまでそうしてるつもり?もうおにぃは帰ってこないの…それでもおにぃが守ったその命でおにぃみたいな人をこれ以上出さないであげてよ…ねぇさん」
テミスの部屋の前でそう語り掛けるナオの言葉にも反応を示さず、テミスは布団にくるまりもう一週間も水や食料を口にせず自分が餓死するのを待っていた。しかし一週間がたっても飢えないその体に、やはり自分が普通の人間ではないんだと再認識させられる。
睡眠も取っていないそのうつろな眼であの時のことを繰り返し繰り返し思い出し嘆いている、勇者と対峙した自分はあの魔人に手も足も出せなかった、あの時の自分はきっと勇者に勝てたからとどこかで慢心していたに違いない。
自分がもっと強ければバドンの役には立てたかもしれない、そう負の感情がグルグルとテミスの頭や体を動けなく蝕んでいく、時間が一秒と流れていくそんな退屈な世界、バドンのいない世界で生きていたくないと思いながら生きていくしかない事にテミスの目から自然と涙が零れ落ちる、早くこんな退屈な世界終わってしまえ...そう願った時ふと体から力が抜けるのが分かった。
(ああやっと死ねるんだ…)
そう思い目をつぶる、そして懐かしい匂いと声が聞こえた。大好きだったあの人の声、もう会えないと思っていたあの人が迎えに来たんだと…
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体がふわっとする感覚に襲われ途端、目の前を激しい閃光が包む
「こ…こ…?」
掠れた声が喉から絞り出され、目を開こうにも瞼は重く今しばらくは開けそうになかった。この状況はいったい何なのかと混乱していると突然目の前から声が聞こえてきた。
「あれ?ネクロマンスは正常に作動したようだけれど…貴方もう意識があるの?」
「あ…た…」
問いかけてきた声に答えようとするが掠れた声しか出せず上手く喋れない、(しかしネクロマンスとはどういうことだろう?自分は死んだのだろうか…)状況がさらに分からなくなり恐怖を覚え始める。
「まぁいいわ、暫くは四肢も動かせないし目も開かないから状況を説明してあげるの。貴方はこの墓場の骸の一体で私にネクロマンスで復活させられアンデットになったの、要するに私の駒なのね、でも私にも誤算があったみたい、それはあなたの意識がはっきりとしていて自我を持っている事なの、なぜそうなったのかは謎なんだけど、そろそろその体にも慣れて喋れるようになるだろうからあなたの口から説明してほしいと思うわ」
大人のようででも幼い雰囲気のその声はいまだ混乱している自分に問いかけていた。
「おれぁ…も…まらわかあらないれす」
呂律は回ってはいなかったが確かにしゃべれるようにはなっていた。しかし今不用意に声を発してよかったのだろうか?なぜ自分は警戒もせず答えてしまったのだろう…そう不安に思ったがすぐに答えはネクロマンサーの口から出た
「なるほど…支配下に置いた状態での質問でもわからないって答えたってことは、本当にあなたには心当たりがないのね、それはとっても困ったことになったかもしれないの…あなたに意識がある以上私の術を自ら解除してしまう危険性がある、だから貴方のその魂砕かせて?そしたら貴方には私の人形になってもらうの!貴方の体は死後一週間とは思えないほど綺麗な体をしているのだから」
その声が言い終わると同時に閉じていた瞼は開き再びその瞳に光を通した、そしてその瞳が写した声の主の姿は真っ黒のローブに真っ白な骨…目の前にいたのは正真正銘の死霊術師でスケルトンの上位魔人であった。
「さぁ私の人形になりなさい!!!」
そうして目覚めて早々彼の絶望的な戦いが始まる。
幾重にも重ねられた魔術を咄嗟に拾った自分の墓にあったであろう木でできた十字架を、木剣に見立てて魔術を防いでゆく、よく見ると相手は魔法を唱えているそぶりがない、それに鑑定眼を使用しても周りの精霊の数値が爆発するように膨れ上がるだけ、この現象は王都の試合で見た勇者の無詠唱と同じ状態だった。
「目覚めたばかりなのにここまで戦えるなんてすごいのね」
「ハァハァ…いきなり心を砕くって言われて無防備に待ってるなんてできないんでね!」
「フフッおかしな話ねもう私の術の半分が効かなくなってるのね、それに私が蘇らせたアンデットだっていうのにあなたは私の命令に従う気配もないし、あなた本当に普通の人間だったの?」
「おかしいのはあんたもだろ?俺が戦った鬼人よりも強いと感じるあんたが魔王になって死者の軍隊を作るつもりかは知らないけど、見たところ蘇らせたのは俺一人以外に居ないみたいだし、本当に何を考えてるのかさっぱり分からん!」
そんな疑問を口にしながらネクロマンサーの魔法攻撃をよけ的確に隙を突き攻撃を入れようとする彼の剣劇は、ネクロマンサーの作った魔力障壁の前に弾かれる。
彼の肉体に傷が付かないように精神汚染の魔法を攻撃魔法に混ぜながら打っているネクロマンサーは、彼の動きが常人のそれとは違うと驚きながらもそれを表面上に出さず手数を徐々に増やしていく。
ネクロマンサーの攻撃方法は攻撃魔法にフェイクと本命を織り交ぜ、フェイクの方には相手にとって危険度が高めな攻撃だと思わせてよけさせつつ、本命の攻撃魔法は緩く防ぎやすいように放っていて、相手が剣で防いだ瞬間、攻撃魔法に織り交ぜた精神魔法が少量づつ相手の精神を蝕み精神汚染をするという手段を取っていたのだが、目の前の彼は危険度の高い攻撃魔法を起用に弾き精神魔法が混ざった攻撃魔法を的確によけていた。
手の内が割れることはしょうがないと思いつつネクロマンサーは次にランダムに精神魔法を織り交ぜた攻撃を仕掛けるのだが、なぜか精神魔法を織り交ぜた攻撃だけを彼は的確によけている。
「あなた物凄く戦いなれてるのね、それだけじゃなくて危険な攻撃を見分ける嗅覚もすさまじいの、ご褒美に先ほどのあなたの質問に対する答えを教えてあげるの、私は私の助手が欲しいだけで魔王になって世界を征服するとか別に考えてないし私が欲しい助手には知能もいらないの、だからあなた一人だけを生き返らせたそれが答えなの」
「そうですかっ!それでも俺は意思のない人形にされるわけにはいかないんだよ!」
律儀に先ほどの問いに回答した魔人の言い分だが自分にとっては関係ないのだとそう割り切り、人形にされないようにうまく精神攻撃魔法を回避して立ち回る。
誰しもが生き返ってすぐに人形にされたいやつはいないだろう、もしかしたらこの世界のどこかにはそういった性癖をお持ちの方も居るのかもしれないが、自分はそうじゃないとはっきりとしっかりと言える。
それが功を奏したのかはわからないがネクロマンサーが突然攻撃の手をやめた。
「それじゃあ私の助手になってくれる?これは決定事項だから実際聞くことは無駄なんだけど、あなた自身がいいというなら自我はそのまま残しておいてもいいの」
「なら最初からそう言ってくれれば協力したかもしんないだろ?!なんではじめっから自我ぶっ壊すっていう悪魔的発想になるんだよ!!」
「確かにそうかもだけど、この見た目であなたは信用できるの?私が魔王に興味がなく助手が欲しいって言ってたらあなたは理解してくれたの?あなたは戦いが始まったとき私が魔王になりたいみたいなことを断言してたように記憶しているんだけど、それがあなたの本音なのでしょ?だから自我はいらないの、あなたがあなたである必要はないの、私が私である必要がないのと同じように」
ネクロマンサーのその問いが悲痛な少女の叫びのように目の前の彼に突き刺さる、それは昔自分が抱いた不安に似ていた。父が亡くなり弱い自分が嫌だった時の強くなりたかった危うい自分の様に、目の前の彼女は何の為かは知らないが自分であることに存在意義を亡くしそれを捨てようとしていた。
しかし目の前の魔人は元の自分を捨てきれていないと彼は感じていた、きっとこの魔人は生前優しい人だったのだろう、魔人の攻撃の手数は確かに多いが、それはどれも傷つける攻撃じゃないのが見て取れて、目の前の魔人が本当に彼の自我を消失させる気なら彼が言葉を発したその時に消滅させられたはずなのだ。
それはまるで魔人自身が反撃を良しとするように、目の前の魔人からは悪意は感じられなかった。
「はぁ~俺も悪かった、早とちりした点は謝る、だから戦いはやめにしよう!あんたの助手にでも何でもなるからそれで許してくれ」
目の前の悪意なき魔人を見て戦う気を失った彼はため息を大きく吐きながらそう言った。
魔人はというと「本当!?」と飛び上がってうれしそうにしているそんな魔人を見ると彼は妹の事を思い出してしまう。
「本当だ、まずは自己紹介から俺はバドン、バドン・A…」
「ダメなの!今のあなたはただのバドン、ラストやミドルはいらないのだってあなたはもうこの世界じゃ死人なのだから名前だけでいいの、そして私はロインズあなたと同じただのロインズ!!よろしくね!」
「そうだね、よろしくロインズさん」
こうしてロインズとバドンは出会った。この二人の出会いが新しい歯車を回しだす。
申し訳ございません。
投稿予定も守れずすみません。
遅れた理由はまあハイ、5月ダリーってなってましたこれからはバンバン書くので…
はいすみませんバンバン書くなんて多分無理ですが次回からは頑張って投稿頻度上げます。
まだうまく練れていない部分が実はありましてプロット書いとけよとか言われるかもしれませんが用意したプロットより面白いの思いついてどんどん取り入れてる感じになっちゃってます言い訳以上です。
というわけで今回どうだったでしょうか次回は早めに投稿します。来週あたりに二話連続で投稿しようと考えています、実際練っている部分ですが後半部分なのでここら辺は書き溜めたものを修正しながら投稿できたらなと考えているのでよろしくお願いします
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