妹編
「あ! に! さっさと起きないと学校に遅れるよ ぉ〜 」
ん?これは麗綺(妹)の声か?
「ごめん...今何時だ? って、 今もう7時かよ! やべぇ、サッカー部の朝練に遅刻するぅ! 」
部活は6時半に始まる。そして8時に終わるから合計1時間半。30分後に起きてどんな顔で行けばいいのやら。
「な〜に〜が! 朝練に遅刻するだ! 何にも部に入ってないくせに、入ってるふうにするな! しかもサッカー部って! あの運動神経の兄じゃ到底無理だと思うけどね」
妹は俺から視線を逸らし、小さく笑う
「あ、そういえばそうだったな、って! 俺は別に運動神経悪くないっつうの! はぁ...まっきーのせいでなんかお腹空いたな、今日もまた買いに行――」
「――何言ってんのおにぃちゃん今日はまきの手作りだよ?」
げっ...まじかよ...! こいつの朝ごはんはいつもいつも激マズ。前なんてオムライスに納豆とオレンジジュース入れやがった。
加減ってもんを知らないんだこいつは...。
「まじか! やったぁ! 今日はまっきーの朝ごはんか! 」
自分でいうのもなんだが演技力は高い方だ。
「じゃあ下に降りてきてね!」
麗綺はふ〜んふ〜んと鼻声で歌いながら階段を降りていった。俺もそれに続いて降りていく。
というかさっきの夢は一体なんだったんだ?俺は必然的に疑問に思ってしまった。というかあの夢の中の俺頭おかしすぎるだろ...。
正夢にならないといいんだけどな。いやちょっとまて、こんな事を言ったらフラグが立ってしまう。よし前言撤回。正夢なんて起こればいいさ!
こう言えばフラグは回収されるだろう。
「今日の朝ごはんは何だ? きまきま?」
俺は心の中の恐怖を隠し、そう言った。
「ふふ〜ん!今日の朝ごはんは朝にさっぱり! りんごジュースとプリンの出汁からできたラーメン!オマケに兄が好きなチョコシロップもかけてあるよ!どうかな...?」
妹は机にそのラーメンを置いたあと、上目遣いで聞いてくる。
「......なんだこれ! めちゃくちゃ美味そう! いやぁ、さすが俺の妹だなぁ(涙)」
あまりの衝撃に軽く泣いてしまった。妹がこんなに馬鹿だとは思わなかった。
「そんなに泣くほど嬉しいのかぁ...!まきも嬉しいなぁ!」
麗綺は満面の笑みで指をつんつんしながら照れる。
「それじゃあ頂きまぁ〜す!」
「ちょっと兄!大丈夫?」
俺は1口、口に入れた瞬間、あまりの味に気絶していた。ほんともう...勘弁してくれ(涙)