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ロマンス



※※※



 ……で、空港ってどっちだっけ?


 考えもなしに行動するからこういうことになるんだ。


 全く。

 僕の馬鹿め。


 こうしてうろうろしている間にも一葉さんは飛行機で飛び去ってしまうかもしれないというのに。


 とりあえずバスに乗って――。


「っと、あぶねえな、このガキ」


 僕の肩が誰かにぶつかった。

 顔を上げると、いつか出会ったあのヤンキー風のお兄さんたちだった。


「げ、最悪」

「なんだてめー、人の顔見て最悪だと?」

「す、すみません、急いでるんで」


 慌ててその場を立ち去ろうとした僕だったが、背後から服を掴まれ立ち止まざるを得なかった。


「待てよ。お前、どこかで見覚えがあると思ったらこの間のガキじゃねえか。あのときのお返しをさせてもらうぜ」

「ちょっと待ってくださいよ、多分人違いですよ」

「いや間違いねえ。俺は一度見た相手の顔は忘れねえんだ」


 使いどころさえ間違えなければ凄い特技だ。


 仕方ない。うまく隙を突いて逃げよう。


 僕は、僕を取り囲む男たちに視線を向けた。


 その瞬間、一番真ん中の男の体がはじけ飛んだ。


「―――は?」


 やべえ、変な声が出た。


 その時になってようやく僕は、はじけ飛んだ男の後ろに立つショートヘアの女子高生の存在に気が付いた。


「あたしの幼馴染に手を出そうなんて、あなたたち良い根性してるじゃない」


 腕を組んで仁王立ちするその少女こそ、僕の幼馴染にして最強最凶最恐(しじょうさいきょう)の女子高生、柊世奈だった。


 男たちに動揺が走る。


「な、何で世奈が」

「あんたが凄い顔で走ってるのを見かけたのよ。急いでるんでしょ、行きなさい」

「……ありがとう、世奈」

「ふん。貸しにしといてあげるわ」

「て、てめえ待ちやがれ!」

「あんたの相手はあたしよ!」


 僕の方へ手を伸ばすヤンキーを世奈が一撃で大人しくさせる。


 それを尻目に僕はその場から離れた。


 大通りに出ると、まるで僕を待っていたように、原付に跨った鬼瓦がいた。


「……待ってたんだぜェ、佐藤」

「こんなとこで何してるの?」

「行きてェ場所があるんだろ? 乗れよ」


 そう言って鬼瓦は親指で原付の荷台を指した。



※※※




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