密室ヘブンorヘル
部屋の中は当然のように広く、もちろん綺麗に片付けられていて、白っぽい色の家具で色味が統一されていた。
少し待っててと言われたけれど、一体どうすりゃいいんだ!?
なんかこの部屋、いつも一葉さんからしているようないい匂いするし。
とりあえずベッドか? ベッドとかに座っちゃってていいのか?
僕はそっと、普段一葉さんが眠っているだろうベッドに手を伸ばした。
「――真くん、お腹空いてませんか?」
「!!?」
突然声を掛けられ僕は心臓が飛び出そうになった。
振り返ると、ドアのところから一葉さんがこちらに顔を覗かせていた。
「せっかくなら夜ご飯も一緒にと思って……嫌、ですか?」
「そ、そんなことないよ。でもいいの?」
「いいんです。一人分作るのも二人分作るのもあまり変わりませんから」
「そうか、じゃあお願いしちゃおっかな」
……ってちょっと待て。
今一葉さん何て言った?
一人分作るのも二人分作るのもあまり変わらない?
ということはまさか。
「では、もう少し待っててください。すぐに準備しますね」
「もしかして一葉さんが作ってくれるの?」
「安心してください真くん、私、料理にはそこそこ自信あるんですよ」
「だ、だけど良いの? ご両親とかは……」
「お構いなく。二人とも今日は帰ってきませんから」
二人とも今日は帰ってきませんから?
それってどういうこと!?
「あ、えーと……」
「適当に時間潰しててください。テレビとかも好きに使っていいですから。……あ、でも」
「でも?」
「タンスは開けちゃダメですからね! ……その、下着、とかが入ってますから」
「ま、まさか。そんなことするわけないだろ!」
僕の反応が面白かったのか、一葉さんは小さく笑って、
「冗談ですよ」
と言い残し、今度こそ部屋を出て行った。
……からかわれてるのか、僕?
部屋を見渡すと、確かにタンスはそこにあった。
この中に一葉さんの衣類と――――下着が。
おっといけない。何か邪なことを考えてしまったようだ。
猥雑な気持ちは捨てて健全な教育番組でも見よう。
部屋の片隅に置かれたテレビをつけて、興味もない健康番組にチャンネルを合わせる。
にしてもこのテレビでかいな。僕の部屋なら絶対入りきらないぞ。
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