先輩幼女に癒しを求める高校生
※※※
「何をぼーっとしてるっスか!? 新入部員の確保は死活問題っスよ!」
「……はぁ」
「だから佐藤君もどうすれば部員が入ってくれるか考えるっス!」
「……はぁ」
「もーっ! どうしてそんなに腑抜けた顔をしているっスか!? あ、そうだ、私が脱げばきっと佐藤君も男の本能を取り戻し積極的に動いてくれるに違いないっス!」
「……あぁ?」
「うわ怖っ! 佐藤君その顔やめるっス! ムショ帰りみたいになってるっス! ガラ悪いっス!」
……はぁ。
どうして僕は苔河先輩と演劇部のこれからについて話し合ってるんだ?
「えり好みしなければすぐに集まりますよ。暇そうなやつを片っ端から入部させればいいんです」
「し、しかしそれでは演劇部の質が……。いつか帝国劇場を満員にするって言ってたじゃないっスか! あの頃の熱い気持ちはどうしたんスか!」
「勝手に記憶を捏造しないでください!」
「うう……なんか佐藤君怖いっス。嫌なことでもあったっスか?」
そりゃまあ。
色々あったけど。
結局昨日はあのまま二人で帰ったのだけれど、どうにも気まずくて会話も弾まなかった。
原因は明白。
世奈の、あの泣き顔だ。
目を瞑るたびに世奈の顔が浮かんできて、僕は昨日の夜ろくに眠ることもできなかった。
それなのにつまらない授業ではしっかり眠くなるんだから人間って不思議だよねえ。
「先輩には関係ないですよ」
「関係あるっス! 部員の心身の健康を守るのは部長の役目っス! さあ佐藤君、酸いも甘いもかみ分けた大人のお姉さんに悩み事を相談してごらんなさい?」
妙に色っぽい声で苔河先輩が言う。
どこからこんな声出してんだろう……。器用な人だな。
「相談したところで、先輩に恋愛のことなんか分からないでしょ」
「ほほう、恋愛っスか。思春期っすねー、少年から大人に変わる真っ最中っスねー! 何を隠そう私もこの幼児体型で数々の男を虜にしてきたっスからね。きっといい助言ができるっスよ!」
いやそれは……。
なんかちょっと違う気が……。
「実はですね、彼女がいることが幼馴染にバレたんですよ」
「ほうほう、それで?」
「いや、それだけです」
「……何か問題が?」
「いえ、特に問題はないです」
表面上は。
だけど、僕が世奈を傷つけてしまったという事実は相変わらずそこにある。
「っていうか佐藤君彼女いたんスね……私はそれがびっくりっス」
「ですよねー、実は僕もびっくりしてるんですよ」
「怪しい壺とか幸せになるペンダントとか買わされてないっスか?」
「今のところ大丈夫ですね。今後気をつけます」




