年上の幼女
「な、な、なんじゃあこりゃああああっっ!!?」
「見てわからないっスか? パンツっスよ。もし入部してくれたら差し上げるっス」
「い、いいい色仕掛けか!? 僕にそんなもの通用すると思ってるのか!?」
「……思いっきり動揺してるじゃないっスか。あんた童貞っスか?」
「ど、どどど童貞ちゃうわ!」
「童貞が許されるのは小学生までっスよねーっ!」
「うるせえ! ガキが……舐めてると潰すぞ!」
「ガキ? はっはーん、さてはこの魅惑的なロリボディに騙されたっスね? 私は三年生っスよ?」
「な、なんだってー!?」
「ふっふっふ、驚いたッスか?」
絶壁のような胸を張る苔河。
「……どうして小学三年生が高校に……!?」
「ち、違うっス! 高校三年生っスよ!」
「嘘だ!!!」
「本当っス! レンタルビデオやのR18コーナーだって入れるお年頃っス!」
「そうですか先輩! それは凄いですね! では僕はこの辺で失礼します!」
僕は苔河先輩に背を向け校舎の方へ進―――。
「待つっス! 返事を聞いてないっス!」
―――めなかった。
苔河先輩は僕の制服をがっちり掴んだまま岩のように動かなかった。
「……申し訳ないですけどねえ、僕は演劇なんかまったく興味ないんですよ」
「そんなこと言わないで欲しいっス! 大人のお姉さんからのお願いごとっスよ~!」
「大人って言うなら、その語尾に『っス』ってつけるのをやめなさいよ!」
「ううーっ! やだやだやだやだ! 入ってくれなきゃやだ!」
「駄々をこねるなッ!!」
ふと僕は、周りを通る生徒たちがチラチラこちらを見ているのに気が付いた。
改めて自分の置かれた状況を確認してみる。
地面を転がりわめいている自称高校三年生。
平凡な男子高校生、僕。
そして僕の右手には純白のパンツ……。
うわ、いっけねえ。
これじゃ通報されてもおかしくない。
「入ってよーっ! ねえ、お願いっスからーっ!」
苔河先輩が号泣しながら僕の袖に縋りつく。
「ちょ、ちょっと、泣くのはやめてください! ―――って、僕の制服で鼻をかむなっ!」
先輩に激しいツッコミを入れる僕の耳に、下校中の生徒の声が聞こえてくる。
「うわ、幼女虐待じゃん……」
「警察呼んだ方が良いよね?」
「え、あの人が握ってるのってもしかして下着?」
このままじゃまた要らぬ誤解を受ける。
仕方ない。
「一度ここを離れますよ、苔河先輩!」
「う、うわいきなり何をするっスかやめ」
僕は暴れる先輩を抱え上げ、その場から離れた。
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