逆襲の幼馴染
毒を持って毒を制すというわけじゃないけれど、一葉さんの口ぶりからして世奈もまた人気者であることは間違いないし、そういうやつなら完璧なデートプランを用意してくれるに違いない。
それに世奈だって一応女だ。女性目線からのアドバイスがあった方が心強い。
都合のいいことに、あいつとは僕の頼みを断らないって約束をしたばかりだし。
早速メッセージを送ろう。
『柊さん、デートをするならどこに行きたい?』
瞬時に既読がついた。
なんだこいつ、スマホを監視でもしてるのか?
そして、瞬時に返信が来た。
『えっ!? 何!? どこでもいいの!?』
やけにテンションの高い文面だな。
とりあえず返事をしておこう。
『柊さんの行きたいところならどこでもいいよ』
『あたし見たい映画があるんだけど』
『なるほど、映画か』
『カラオケにも行きたいな』
『へー、カラオケね。案外普通だな。大丈夫かな?』
『デートでしょ? シンと一緒なんだからどこだって楽しいわよ』
次々と返信が来る。
映画に行ってカラオケか。スタンダードすぎるようなプランだけど、確かに最初から奇を衒うのは良くないかもしれない。
悔しいが、納得してしまう。
『なるほどなるほど。僕と一緒ならどこでも楽しいのか。女心ってそういうものなんだな。参考になるよ』
『どうして急に誘ってくれたのか分からないけど、すごくうれしい! それじゃ明日、迎えに行くわね!』
……ん?
何か変だぞ?
そんなことを考えていたら、次のメッセージが送られてきた。
『そういえば、今日の怪我は大丈夫? ゆっくり休んであたしとのデートに備えなさいよね! おやすみ!』
あたしとのデート?
何か重大な勘違いを生んでしまっているような気がするのだけれど、寝不足かつ東桂木親衛隊との激戦を乗り越えた僕の体は既に限界を迎えていた。
だから、うまく頭を働かせることもできず―――僕はそのまま、深い眠りに落ちた。
※※※
威勢よく鳴り響いた玄関のチャイムに、僕は目を覚ました。
時計を見ると朝の10時。
12時間近く寝ていた計算になるが、まだ疲れは残っている。
うーん、もうちょっと寝てようかな……。
そう思って布団に入りなおした僕の耳に、勢いよく開けられる玄関の音と、凄まじい速度でこちらに接近する足音が飛び込んで来た。
直後、僕の部屋が千切れんばかりの衝撃で跳ね開けられる。
「シン! いつまで寝てるの! 映画観に行くわよ!」
底抜けに明るい声に、布団から顔だけ出した僕の目に飛び込んで来たのは。
黄色いワンピースの上に薄いカーディガンを羽織った、ショートヘアの活発そうな美少女の姿だった。
「……誰?」
「はぁーっ!? 幼馴染の顔を忘れたとは言わせないわよ!」
え。
まさか。
……こいつ、世奈?




